We propose a simple summary statistic for the welfare of a country’s population, measured as a consumption equivalent, and compute its level and growth rate for a diverse set of countries. This welfare measure combines data on consumption, leisure, inequality, and mortality using the standard economics of expected utility. The focus on consumption-equivalent welfare follows in the tradition of Lucas (1987), who calculated the welfare benefits of eliminating business cycles versus raising the growth rate.
ここからも分かるようにGDPでは無視されることが多かった消費、余暇、格差、死亡率などを考慮に入れることによって広い範囲での厚生を測ることができると彼らは主張している。
そして国ごとの詳細なデータが得られない場合には(多くの国を扱う場合には)、
log λ i simple = ei − eu s_e_us ( u + log ci + v ( ℓi ) − _ 12 σ i2 ) Life expectancy
+ log ci − log cu s Consumption
+ v( ℓi ) − v( ℓu s ) Leisure
− _21 (σ i2 − σ 2u s). Inequality
という簡易バージョンを、家計の消費調査などが利用可能な場合には、
log λ i__y ̃ i = Σ a Δs a i ua i Life expectancy
+ log c– i / yi − log c– us / yu s Consumption share
+ v( ℓ i – ) − v ( ℓ – us ) Leisure
+ E log ci − log c– i − (E log cu s − log c– us) Consumption inequality
+ Ev( ℓi ) − v( ℓ – i ) − (Ev( ℓu s ) − v( ℓ – us )) Leisure inequality
という風に使い分けている。
Looking at welfare relative to income simply changes the interpretation of consumption in the decomposition. The consumption term now refers to the share of consumption in GDP. A country with a low consumption share will have lower welfare relative to income, other things equal. Of course, if this occurs because the investment rate is high, this will raise welfare in the long run (as long as the economy is below the Golden Rule). Nevertheless, flow utility will be low relative to per capita GDP.
ここで説明されているように、GDPに占める消費の割合が低いと(所得で見た場合に比べて)厚生が低いとされる。
To calculate consumption-equivalent welfare, we use household survey data from
the United States, Brazil, China, France, India, Indonesia, Italy, Malawi, Mexico,
Russia, South Africa, Spain, and the United Kingdom. See Table 1 for a list of the
datasets, years, and sample sizes. A detailed description of the data and programs used in this paper are available in the online Appendix.
家計調査を使用したのはこれらの国々に対してで、
このようにデータには実施された年度に大きなばらつきがある。
アメリカの場合、CEというのはConsumer Expenditure Surveyのことで、これは消費の総額がnational income and product accountのpersonal consumption expenditure(ようするにGDP統計の個人消費)よりも数百兆円少ないことが知られている(この点を無視して消費の格差を測れると主張する怪しい論文の結論に依拠している)。主な違いはCEがout of pocket(自己負担額)だけを計上するのに対してPCEではメディケア、メディケイドなどを含むすべての保険料支払いが計上される。他の国の消費統計がそれに準ずるものなのかは定かではない。
このような設定の下で、彼らは3つのポイントを挙げた。
1.一人あたりGDPは厚生を測る指標として大部分の国において非常によく当てはまっている。一人あたりGDPと彼らの指標は0.98と極めて高い相関を示す。それでもこの2つの指標間の違いは重要で、先程の13の国では乖離の平均値は35%にも及ぶ。
2.平均的な西ヨーロッパの国々の厚生水準は所得で見た場合よりもアメリカの水準に近くなる。
3.発展途上国の多くは平均寿命、消費水準の低さ、消費の格差が原因で所得(GDP)で見た場合よりも厚生水準が大きく低下する。
A second reason that welfare is lower than income in several countries is that average consumption—as a share of income—is low relative to the United States. Utility depends on consumption, not income. Of course, an offsetting effect is that the low consumption share may raise consumption in the future. To the extent that countries are close to their steady states, this force is already incorporated in our calculation. However, in countries with upward trends in their investment rates, our calculation will understate steady-state welfare.
投資がGDPに占める割合が上昇している(単に高いだけではなく)国はあまりないだろうし、
though correcting for this has a modest effect.
結果が下の表にまとめられている。
この表から分かるように、ヨーロッパの厚生の水準が(相対的に)上昇しているのはLife expectancyとC/Yがプラスとマイナスで概ね打ち消し合っているのに残りの3つ、余暇と消費の格差と余暇の格差によって大幅に押し上げられているためということが分かる。
余暇の格差をどうして取り上げたのかは分からないが、これはあまりにひどく、彼らの主張の真逆を指しているようにさえ思われる。例えばアメリカの場合、低所得者ほど労働時間が短く(高齢者がかなりの割合を占める)高所得者ほど労働時間が長いことが指摘されているが(というか所得上位1%などを除けばその要因だけで所得格差の大部分が説明できてしまう)、これは所得の格差などを打ち消す方向に働くからだ(余暇の時間が長い方が人々の幸福度が高まるとされているため)。その程度に応じてこの指標の符号は逆にするべきだった。
消費の格差については先程簡単に触れたので、余暇についてもヨーロッパの余暇の時間は実は長くないという最近の調査を無視している。よってこの3つの指標がヨーロッパの厚生の水準を押し上げるかは少しも定かではない。
そして最悪なのが平均寿命で、以前の記事でも紹介したようにせめて中央値を使用すべきだった。例えばイギリスの場合、以前の記事にもあったように中央値は平均値よりも7歳以上も長い。例えばイギリスの平均寿命を80歳とするとイギリス人が100万人生まれたとして50万人は80歳までに死亡しているような印象を与えるが実際には87歳になっても半数以上が生存しているというように現実とは大きく乖離している。というわけでヨーロッパの厚生の水準を押し上げている要因はすべて消滅して所得に占める消費の割合C/Yの押し下げ要因だけが残る…といいたいところだがこの指標もよく見ると変だ。アメリカとイギリスを比較するとこの指標の差は7%ほどだが(その数字も怪しいが)厚生の違いは-14%ポイントほどと評価されているのに対してアメリカより10%低いはずのフランスとアメリカの厚生の違いは-15%ポイントでイギリスと1%ポイントしか違わない。
ここまでをまとめると、ヨーロッパの厚生水準を押し上げていた4つの要因のうち3つはほとんど消滅して余暇の格差はむしろ符号が逆(消費の格差、所得の格差とは打ち消し合う関係にあるから評価は難しいが)、消費の水準の低さと相まって所得で見た場合よりも消費で見た場合の方がヨーロッパの厚生の水準はやはり低下する。
East Asia.—Differences between welfare and income are also quite stark for East Asia. According to GDP per person, Singapore and Hong Kong are rich countries on par with the Untied States. The welfare measure substantially alters this picture. Singapore declines dramatically, from an income 117 percent of the United States to a welfare of just half that at 57 percent. A sizable decline also occurs for South Korea, from 58 percent for income to 45 percent for welfare. Both countries, and Japan as well, see their welfare limited sharply by low consumption shares. This force is largest for Singapore, where the consumption share of GDP is below 0.5.
シンガポールと香港の一人あたりGDPはアメリカより高いと思っていたのに消費ではアメリカの半分程度というのは意外だった。
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