2012年8月13日月曜日

小渕政権の経済対策に効果あったか?

小渕政権といえば史上最大規模の財政政策を行った政権として知られている。財政政策に効果がなかったという主張に対するアンチテーゼとしてこの政権での政策が挙げられることも多い。公共事業悪玉論に対する(というよりマスコミに対する)反発から右翼の間では人気が高い。後の麻生政権もこの政権をモデルにしていることは明らかだ。

特に検証もなく右翼はこの時期の経済政策に効果があったといっているようだが本当だろうか?ここでは財政政策のラグに焦点をあててみたい。

財政政策にはその効果が表われるまでにラグがあることはよく知られている。ラグは内部ラグ、外部ラグに分かれ、そのうち内部ラグには政府が不況を認識するまでの認知ラグ、内閣で決定、国会に提出、審議され議決を得るまでの行動ラグがある。加えてこの決定が中央から地方に伝達され実際の事業主体となる地方政府が実行に移すまでにはさらに時間がかかる(この点はまた今度記事にする予定)。


(画像は拝借、ならびに自分で加工を加えたもの。麻生政権の金額は総事業規模であって実際の金額ではないので注意。麻生政権の経済対策についてはこちらを参照)

小渕政権というより90年代からの回顧になるが、政府が不況を認識してから実際に行動に移るまでのラグはやはりかなり長い。ここでの四回の不況のうち最初の不況は特に認識が遅れたように見える。97年からの不況時に、橋本政権がすでに財政政策を行っていたことはあまり知られていない。小渕政権の補正予算(緊急経済対策 27兆円)が成立したのは1998年12月11日で、景気が底を打ったのが1999年1月なので補正予算の効果が出る前に景気は底を打ったことになる。補正予算が成立したといってもここから地方議会で審議され議決されるのにまた時間がかかる(四ヶ月)のに加えて、そもそもの効果自体が出るのに時間がかかるからだ。しかも途中二回経済対策が打たれたというのに、2000年にはあっさりと不況に逆戻りしている。(少なくとも理論上は)財政政策は不況期(画像のグレー部分)に行わないと意味がないのに、回復が始まってから対策を取り出したことになる。

これでも効果があったと主張する人は一体何なんだろうか?

参考
・「ラグ」の存在を念頭においた財政運営の必要性
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2010pdf/20100901080.pdf

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