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要約
・絶対的貧困率(以下貧困率)は60年代後半70年代前半以降はほとんど下落しなかった
・かつて経済学者は所得水準(一人あたりGDP)と貧困率の間に強い関係があると考えていた
・その関係性はある時点を境に完全に消滅した
・低所得層に分類される人々の所得はここ30年中央値100万のまま変化していない
・これが貧困率がほとんど低下していない理由だ
・所得が増えていないのだから貧困率は変化しない
・貧困率に関係すると思われる指標は大幅な改善を示しているにも関わらず
・一人あたりGDPが増えた
・政府の福祉給付が拡大した
・民間の寄付も増えた
・教育水準が向上した
・絶対的貧困率はその社会で最低限必要とされる消費水準を示している
・この指数の開発者は消費水準が重要であると語っていた
・所得はあくまで消費の代理指数だ
・この指数の開発時には所得と消費は等しい水準にあると考えられていた
・実際当時のデータは大体そうだった
・ところが60年代以降、所得と消費に乖離が見られるようになった
・2000年頃には、消費は所得の二倍以上になっている
・60年代には逆に消費は所得の70%でしかなかった
・消費は所得に対して200%以上伸びた
・しかもこの数字は過少評価かも知れない
・異なる統計(しかもそちらの方が消費の総額に関してより信憑性が高い)ではこの統計よりも300兆円も消費総額が上だ
・所得と消費が乖離した理由について考えてみると…
・第一に、消費が増えたからといって債務が増えているのではない
・純資産は大幅に増えている
・資産のない世帯の比率も大幅に減少した
・住宅の値上がりも小さな影響しか与えていない
・第二に、所得の変動は特に最近大きくなっている(ある年に500万の所得→次の年200万の所得→さらに次の年500万)
・これによると一時的に低所得になる世帯数が増えることになる
・48ヶ月間連続で貧困線(所得)を下回るのは低所得層のうちの2%だ
・物質面で見ても過去の低所得層と現在では大きな開きがある
貧困率は初期に大幅に低下した後ほとんど変化していない。
所得と貧困率の間に負の関係は見られない(1973年以降は見られなくなった)。それ以前は強い関係があったらしい。
一人あたり所得が増えても、教育水準が向上しても、政府のプログラムが拡大しても貧困率は一切変動しない。しかも奇妙なことにそのことに関して誰も疑問を呈さない。
(画像が収まらなかったので上下に分割)消費が所得を上回る世帯が占める割合。
(申告消費、申告所得の全世帯版。一番下が消費が所得に占める割合で現在でも80%。60年代と比較しても変化していない)
(こちらは低所得層のみを調査したデータ。1960年には消費と所得はほとんど同じだったが消費だけが伸び続け所得のほぼ2倍に)
(純資産の中央値。債務を増やして消費を増やしたのではないことが分かる)
(高齢世帯の資産、債務、純資産の平均値)
(労働年齢人口世帯の資産、債務、純資産の平均値)
(高齢層が保有する住宅の資産価値と資産の平均値。住宅価格の上昇が与えた影響は小さい)
(低年齢層)
(低所得層で資産を持たない世帯の割合。すべての世帯の割合にどんどんと近づいている)
(先ほどのグラフを年齢構成ごとに示したデータ)
(Chronic(48ヶ月連続して貧困線を下回った割合)とEpisodic(一ヶ月下回った割合))
(貧困線を下回った期間の分布)
(貧困線を下回った世帯がその後どのぐらいの期間貧困線以下にとどまったか示したデータ。48ヶ月連続で貧困線を下回った世帯は2%)
(所得の変動の推移)
(所得階層ごとの変動の違い)
(全世帯の消費支出の構成。その過去と現在の比較。食糧が大幅に減少する一方、住宅と交通が上昇。医療は減少。その他は大幅に上昇)
(低所得層版。食糧と医療が減少、住宅、交通、その他が上昇)
((上下に分割)低所得者の物質面を直接調査したデータ。N/Aは通常計測不能を意味するがここでは当時利用可能でなかったものを意味するので注意。貧困線は固定的な生活水準を意味するので1970年と現在の低所得層は物質面で同一でなければならない)
(車の保有状況)
(年齢調整した死亡率。1980年代以前が間隔が大きく開いているのは当時利用可能なデータがなかったため(おそらく調査が毎年行われていなかったため)。それでも男性の1950年の900人から2004年の450人までの低下傾向が見て取れる。女性は元々少ないが男性と比べて行動要因が大きく影響している。男性と比べて低下傾向が小さいのはその表れの可能性がある)
(乳幼児死亡率は劇的に低下。その一方で未成熟児の割合が増加)
(高齢者の無歯顎者の割合)
(18歳以下の児童で医療機関への訪問が前年一度もなかった児童の割合。その世帯所得別分布)
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