2013年3月16日土曜日

債務比率が90%を超えると成長率が1%低下する?

要点だけ箇条書きしました。後で追加します。

I. Introduction

・26のケースで成長率は平均1.2%下落した
・それぞれの成長率は2.3%対3.5%
・高債務期の平均期間は23年
・累積損失は膨大
・産出水準は四分の一低い
・長期の関係なので高債務→低成長が一時的な現象ではないことを示唆する
・今回の方法では戦間期と平常時または金融危機とを区別する
・高債務期と実質利子率との関係も示す
・26のうち11のケースで実質利子率は低いか変わらなかった
・高債務の弊害が利子率上昇を通して伝わるのには時間がかかるのかもしれない

II. Preamble: Varieties of Debt Overhangs
・政府債務に焦点を充てているとはいえ民間債務を無視するのは問題
・暗黙の債務もある
・これらすべて低成長をもたらす可能性がある
・高債務は例えば課税の歪みや政府投資の減少を通じて低成長につながる
・高債務→デフォルトの危険が高まることにより問題は複雑になる
・不確実性は利子率を引き上げ(課税の歪みと加えて)投資活動を不活発にする
・債務に直面した家計は支出を切り下げ総需要を通して成長を低下させるだろう
・金融抑圧により政府の借り入れコストを低下させるなら、結局は同様に成長を阻害するだろう
・外部からの借り入れは問題を急激にする
・債務を減少させるのに用いる手段が限られているからだ
・インフレーションや金融抑圧が実行できない
・債務の種類の違いによる相互作用は複雑であまり理解されていない
・例えば民間債務はしばしば政府のバランスシートに吸収される
・最近アイルランドで起こった例だ

2.1. Public debt
・表1に1900-2011の先進国、発展途上国合わせた70の国の平均債務/GDP比を掲載する
・低成長と関連する閾値は先進国、発展途上国ともに依然述べたように90%
・22の先進国の2011年平均はすでに90%を超えている
・これらの国はデット・オーバーハングに陥っている

2.2. External debts: Public and Private

・表2に政府と民間のグロスの債務を示す
・相互作用は外部債務の方が急激だ
・以前示したように民間の債務は危機時に政府債務に取り込まれている
・ヨーロッパ諸国の先導により2000以降の外部債務は先例のないほど急激に上昇した
・以前の研究では新興諸国の外部債務の閾値は60%
・だが先進国では同様のデータはない
・以前の研究で先進国の外部債務の閾値も政府債務と同じ90%であることを示した
・ヨーロッパ全体で民間と政府の外部債務は既に90%の閾値を二倍超えて不確実性の源となっている
・これはユーロ間の債務も外部債務と見做したからだ。一次の近似としては正しいが債務を少し過大視している可能性がある

2. 3. Private Domestic Debt

・表3に民間の国内信用を示す
・主として銀行融資
・簡単に比較するにはわかりやすいが不完全な方法であるのに留意が必要
・表4に民間レバレッジの測定方法を示す
・危機前の国内信用の上昇は外部債務のパターンと酷似している
・これは国内信用の上昇と資本流入が結びついているので驚きではない

2. 4. Summary

・現在先進国が直面している政府、民間、国内、海外債務の範囲と規模は先例のないものに達している
・なので過去から得られた高債務と低成長の関係は現在にあてはめた場合に危機を過小評価している可能性がある

IV. Features of Episodes of High Debt

・民間債務を組み込んだより広い概念のデット・オーバーハングと国内、海外債務の区別する
・まず政府債務に焦点を絞る
・政府債務のデット・オーバーハングをGDP比90%以上を5年間越えた場合と定義する
・1800から22の先進国の26回の事例を調べる
・これには現在展開中の危機の事例は含めない
・しかしギリシャ、イタリア、日本は含める
・危機の開始が1993、1988、1995だから

1. The episodes

・表1と2にデット・オーバーハングの基準を満たした事例を掲載する
・表2に高債務ではあるが短期間で済んだ1930年代の事例を載せる
・22の先進国のうちデット・オーバーハングに陥らなかったのは9カ国だった
・残りの13カ国は一度以上経験している
・1列目はサンプル国
・次の6列は実質成長率平均、実質短期利子率、実質長期利子率
・それぞれに対して債務/GDP比が90%以下と以上の平均を示してある
・列9に90%を超えた年数の割合を載せる
・例えば1848から現在までのうち56%でギリシャの債務は90%を超えている

・表1は10年以上続いた例に充てられる
・個々の国に関してその国に別の危機があったかどうか表2と照らし合わせる
・その次から最後の行までに個々の事例の期間を載せる
・コメント欄にその債務がどのように発生したと思われるのか(銀行、インフレーション、為替変動、債務)述べる
・可能であれば債務と利子率のピーク水準とその他の関連する出来事があったか示す(デット・コンバージェンス、金融抑圧)

2. Causes and duration

・多くのケースで戦争が原因になっている
・WW2とWW1で集団を形成している
・歴史的高債務国のギリシャとイタリアは第一集団を形成(56%と48%)
・少し驚きなことにオランダとイギリスはほとんどない(3%と2%)
・これはナポレオン戦争が原因
・兌換制の前にはインフレーションや金融抑圧はWW2後ほど頻繫ではなかった
・金本位制の時代には負の実質利子率を通した政府債務の清算は簡単には実行できなかった。
・19世紀には債務を削減するには長い時間が掛かったことを意味する
・19世紀にはその他の方法が用いられた
・債務の支払と削減を容易にする移転があった
・オランダはインドネシアから債務削減のための収入を得ていた
・さらには金融抑圧を伴った利子率制限があった
・平和時の高債務集団はベルギー、カナダ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、日本がある
・短いのはカナダ、アイルランドで8-11年
・日本の巨額の債務は1991年の銀行危機を起源にもつ

3. Public debt overhang and slow growth, with and without interest rate drama

・課税の歪み以外で、教科書では公的債務と成長の関係についてリスクプレミアム経路を強調している
・高債務によりリスクプレミアムが増加し長期実質利子率が増加する
・最近の研究が示すように債務と成長率の関係は非線形で同様に債務とリスクの関係も非線形だ
・急激な実質利子率の上昇は投資や非耐久財の消費、住宅投資にとって悪い影響をもたらす
・公的債務が90%を一度でも超えた国であっても90%を下回った期間の実質成長率の平均は3.5%だった(つまり回復した?)
・高債務期は2.3%
・中央値は2.1%
・しかし例外が3つあった

・表1と表2に国ごとの成長率と利子率の違いをまとめる
・図表1と図4に期間ごとの詳細を示す
・図表1は2行2列
・上段は高債務期でも成長率が高かった国
・下段は低かった国
・右の列は低利子率
・左の列は高利子率
・真ん中は高債務と低債務の間で利子率に変化がなかった
・教科書のリスクプレミアム経路で予想されているように高い実質利子率は高債務期で一般的だ
・だが図表1が示すように無視できない期間で低成長と低利子率期が並存している
・教科書ではこれは説明されていない
・さらに高債務期において平均利子率が最も上昇した事例と成長率が最も下落した事例には関連がほとんどない
・(ようするに利子率と成長率にあまり関連が見られない)
・図4にこれを示す
・左のパネルは成長率の差分を示す
・図4の上部においてベルギーのWW1後6年間の高債務期は再建期のブームもあって3.7%とそれまでの平均を上回っていた
・戦後のインフレが大幅な実質利子率の低下をもたらした(-8%)
・WW2後6年間の高債務期の成長率は軍の展開があったので低かった(さらに都市全体を再建する必要がなかった)
・現在の状況と関わって来るのは平時の高債務が密接に低成長と結びついていて実質利子率と関連がないことだ

4. The cumulative effects of debt overhangs

・低成長の累積的影響を簡単な数値例で示す
・ベースラインシナリオでは実質成長率を3.5%とした
・23年後には100から221になる
・もう一つのシナリオでは2.3%とした
・23年後に100から169になる
・ベースラインに比べて24%低い

V. Conclusions

・省略

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