2016年1月18日月曜日

世界中に大不況と貧困をもたらした金融危機の真の原因はスティグリッツが絶対安全だと太鼓判を押して強力にプッシュした政府系住宅金融機関だった?Part4

Senator Warren Gets Taken In by a False Analysis

Peter j. Wallison Edward J. Pinto

先週、エリザベス・ウォーレン議員は政府の住宅政策とサブプライム・ローンとの関連性がセントルイス連銀に掲載された学術論文によって否定されたと発言した。我々はその論文を以前から知っていた。そして住宅市場がどのように機能しているのか理解していないと筆者たちに助言もしている。だが、その論文はまったく修正されずウォーレン議員がそれに今頃飛びついたという経緯がある。

その論文のタイトルは「Did Affordable Housing Legislation Contribute to the Subprime Securities Boom?」で筆者はAndra C. Ghent, Ruben Hernandez-Murillo, and Michael T. Owyangだ。以下で示すように政府の住宅目標がサブプライム・ローンの需要を大幅に増加させた。この理由により、ファニーとフレディがこれらのローンを担保とした証券の最大の購入者となった。以下の図で示すようにGSEは2004に発行されたこれらすべての証券の40%以上を購入している。そのわずか3年前から劇的に上昇している。シェアが劇的に上昇したのはGSEが2002、2003、2004とこれら証券の半分以上を購入し続けたためだ。

カントリーワイドや他のアグリゲーターが知っていたように彼らはGSEを迂回してPMBS(住宅ローン担保証券)を直接市場に売却することが出来た。そしてGSEのPMBS市場拡大への表面上の貢献は低下した。それにも関わらず、2007にこの市場が崩壊するまでGSEがPMBSの最大の購入者であり続けた。従って、セントルイス連銀の論文のタイトルに対する答えは疑う余地なくイエスとなるだろう。GSEの購入によってその市場は拡大し崩壊するまでそれが続いた。

The flaws in the St. Louis Fed paper

上で述べたように、我々はこの論文を読んだ後にAndra Ghentに論文の誤りについて助言を送った。だがそれが修正されることはなかった。今はこの論文がある議員によって聴衆の前で引用されているので誤っている部分をもう一度指摘しようと思う。

その論文の理論となっているのは、政府の住宅目標がサブプライム・ローンの需要を換気したのであれば(i)政府からの住宅補助を受けられる国勢統計区を起源とする住宅ローンの数と(ii)そうではない国勢統計区の住宅ローンの数とには統計的に見て有意な差があるはずだというものだ。その論文の理論の中では政府の住宅目標となっている国勢統計区でより多くの住宅ローンが貸し出されていなければならないということになっている。「原資産の数の増加は」と述べ、「貸し手が特定の集団へ意識的に貸出を行っていることを示唆するだろうしそれによりサブプライム・ローンの拡大へと繋がるだろう」と論文は述べている。筆者たちは有意差を見つけることが出来なかったので彼らは政府の住宅目標がサブプライム・ローンの拡大に対して影響を与えていなかったと結論した。

論文の筆者たちの貸し手への言及が彼らの理論の欠陥を露わにしている。貸し手またはオリジネーター(原資産の所有者)は政府の住宅目標が掲げる込み入った所得の基準や地域の基準を住宅ローンが満たしているかどうかの判断に関してまったく何の役割も果たしていない。貸し手が知っていたことといえばサブプライム・ローンに対して新規の大きな需要があったということだ。すなわち伝統的な査定基準が緩和され今ではGSEに直接売却することが可能になり以前は限られた需要しかなかった住宅ローンに対する需要が大幅に拡大したということだ。

借り手の家が特定の統計区の中にあるとかまたは借り手の所得がその地域の所得の中央値の何%であるとか、単にサブプライム・ローンの借り手を見つけることだけを憂慮している原資産の貸し手にとっては関係がない。アグリゲーターの役割は地域のレベルで貸し出された住宅ローンを大量に買い付けることだ。アグリゲーターはそれから大部分またはほとんどすべてがサブプライム・ローンで構成される住宅ローンのプールを作り上げそれを元にPMBSを発行する。このプールがファニーやフレディによって購入されるためにアグリゲーター(主にカントリーワイドのようなサブプライム・ローンの巨大貸し手、だが大手の商業銀行または投資銀行のこともある)はGSE自体から援助される。この過程で政府の住宅目標を満たすために必要なローンの詳細な情報を手に入れることになる。GSEの指導に従うことによりアグリゲーターは100%が政府の住宅目標をクリアしたサブプライム・ローンのプールを形成することが出来た。(ファニー・メイの要請に答えて)2005の9月30日にファニー・メイに宛てた手紙の中でHUDはGSEが完全に市場を押さえていないPMBSのプールの中でどのようにすれば政府の住宅目標を満たすことが出来るかを詳細に記述していた。

PMBSをGSEに売却する過程でアグリゲーターはGSEにプール上のすべての住宅ローンのローンレベルでのデータを提供した。このデータを用いてGSEは各プールの住宅ローンがどれぐらい政府の住宅目標を満たしているのか完全に把握することが出来た。これらが政府の住宅目標を満たした他の住宅ローンとともにHUDに報告された。

最近の会合で、GhentはGSEは自身が購入したサブプライム・ローンのローンレベルでのデータを持っていなかったと主張した。従って政府の住宅目標を満たすようにPMBSを購入することは出来なかったと主張した。これもまた間違っている。上でリンクを張った手紙がGSEがこのデータを持っていたことの何よりの証だ(*翻訳元の文章にリンクが埋め込まれている場合、翻訳の都合上ほとんどがリンクを無視しているのでその点を留意)。そうでなければHUDに規定を要請する意味がない。

さらに、サブプライム、Alt-Aに大きく関与しPMBSが政府の住宅目標を満たすためのものであったことを示すファニー・メイ自身によって準備された分析がある。この表はFCIC(金融危機調査委員会)の要請に答えてファニー・メイが提供したものだがFCICの報告書の中では用いられなかったまたは引用されなかったものだ。この表の中にあるPLSという単語はPrivate Label Securitiesを指す。我々がPMBSと呼んでいるものそしてGhentらがPLMBSと呼んでいるものだ。表の中で数字が強調されている部分はサブプライム・ローン、Alt-A、サブプライムPMBSの購入によって一つまたは複数の政府の住宅目標が満たされた地域を示す。その分析は様々なアグリゲーターから購入したPMBSのローンレベルのデータをGSEが持っていたことを示している。

さらに、その論文自身の中で筆者たちはGSEにReal Estate Mortgage Investment Conduit (REMIC)の購入を(政府の住宅目標の)適格要件とすることを認めたPart 81.16 of Title 24 of the Code of Federal Regulationsを引用している。

「GSEによるREMICの完全または部分的な購入または保証は政府の住宅目標の達成に向けての購入と見做されるべきだ。(中略)GSEは政府の住宅目標の達成に必要な、REMICによってファイナンスされた住宅の戸数を集計するのに必要な情報を持っている」。

この規制は仮にGSEが「REMICによってファイナンスされた住宅の戸数を集計するのに必要な情報」を持っていないのであれば必要ないだろう。

従って、GSEは政府の住宅目標を満たすように積極的にサブプライム・ローンの購入を行っていた。オリジネーターのレベルでの貸し手は政府の住宅目標に関して何一つ知る必要がなかった。彼らが知っていたことは借り手が伝統的な査定基準を満たしておらずそれ故幾分高い金利を課せられている住宅ローンの市場があるということだった。政府の住宅目標を満たす技術的な適格要件は貸し手には知らされておらずまた不要だったので貸し手は借り手が見つかればすぐにローンを提供していた。このような背景があるので異なる国勢統計区を起源とする住宅ローンの数の間には統計的に見て有意差が見られることがない。

このような理由により、ウォーレン議員は欺かれそして聴衆を欺いてもいる。

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