シティ・グループの前経営者Sandy Weillがグラス・スティーガル法を廃止したのは間違いだったと思うと発言すると彼の周りは無知なコメントで溢れかえった。以下の5つの神話では彼らの勘違いのすべてを扱っているわけではないが主たるものを扱っている。
Myth 1: Glass-Steagall was repealed in 1999 by the Gramm-Leach-Bliley Act.
間違いだ。グラス・スティーガル法は一度も廃止されていない。現在でも銀行に適用されているし銀行が証券を引受することや取引することを禁止している。1999年に廃止されたのは(商業)銀行が投資銀行と提携することを禁止した部分だ。
Myth 2: The repeal of Glass-Steagall allowed banks to use taxpayer-insured funds for risky trading.
間違いだ。1999年以降もグラス・スティーガル法の残りの条項によって銀行は証券の引受や取引を禁じられている。だが1999年の前でも後でも銀行は自身の勘定で債権やその他の確定利付証券を取引(すなわち、買いと売り)することは認められてきた。これは論理的なことだ。何故ならばそれらは単に証券の形を取ったローンだからだ。当然だがローンは銀行の商売道具だ。エクソン・モービルが原油の取引を許可されているのと同様に銀行にも彼らのビジネスに必要不可欠な資産を取引することを許可しなければならない。これにより必然的に預金保険によって保護された資金が銀行の取引に含まれることになる。これも1999年の前でも後でも許可されている。この取引を「リスキーだ」というのは卑劣な行為だ。だが銀行が昔から取引を許可されてきたという事実を変えることは出来ない。
間違いだ。銀行が困難に陥ったのはサブプライム・ローンやその他の安全性が低いと言われている住宅ローンを購入してそのまま保持していたからでそれらを売買していたからではない。2007年にこれらの債権の価値が低下すると銀行はかなりの損害を被った。これは銀行が悪い貸出を行って損失を発生させたのと変わりがない。だがグラス・スティーガル法やその架空の廃止とは何の関係もない。加えてそれらのMBSは購入された時には「リスキー」だとは見做されていなかった。銀行が購入して保持したMBSの格付けはトリプルAでMBSの中では最もリスクが低いものだった。そこから得られたリターンも最も低いものだった。本当に銀行が危険な「ギャンブル」をしたいと思っていたのであれば銀行は格付けがトリプルA以下のMBSを購入していただろう。リスクはより大きくそれに対応してリターンも大きいからだ。銀行がトリプルAのMBSを購入して保持していたという事実からは何らかの洞察が得られるかもしれない。だがそのことは銀行の売買行動や銀行のリスクテイキングに関して何も語っていない。
Myth 4: The repeal of Glass-Steagall allowed bank holding companies and bank-affiliated investment banks to use insured funds for risky trading.
Myth 5: By allowing insured banks to affiliate with risk-taking investment banks, the 1999 change in Glass-Steagall caused losses to the banks that contributed to the financial crisis.
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