2016年1月18日月曜日

(金融)規制は大きく緩和されたと故意に偽り続けていた馬鹿な経済学者に大量の人が騙された?Part4

Financial reform and the hubris of Timothy Geithner

James Pethokoukis

アメリカの第75代財務長官Timothy Geithnerはドット・フランク金融改革法案に関して自信たっぷりにこう述べた。(大幅に省略)

「これらの改革が10年前に実行されていれば被害は遥かに小さかっただろう。オバマやドット議員、フランク議員は大きな称賛に値する」。

「私の妻は金融業界の人々やロビイストがこの改革に不満の声を挙げているというのを新聞でよく目にするという。またTARPがそもそもまったく必要なかった声を挙げているのも目にするという」。

「この改革は戦うに値するものだ」。

1. そもそもドット・フランク法案はToo Big To Failを解決していない。(1ドル=100円として)資産額10兆円以上の巨大銀行は今でも規模の小さな金融機関よりもより低い金利で借りることが出来る。何故か?貸し手は巨大銀行が仮に困難に陥れば政府がまた救出に乗り出すということが分かっているからだ。事実、巨大銀行は金融危機の前よりも現在ではさらに大きくなっている。ドット・フランク法案がTBTFを終わらせていないのであればそれは完全に失敗だ。歴史に残る大失敗だ。

2. ガイトナーは金融危機の教訓を分かっていない。MITのAndrew Loは金融危機の21冊の本を読んだという。彼が見つけたことは以下だ。

「21冊の本を読んでいくうちに分かったことが幾つかある。はっきりしていることの一つは未だに金融危機の原因に関して意見の一致が見られないことだ。その対処法となるとなおさらだ。だがほとんどの経済学者にとって何に一番困惑されられるかと言えばそもそも一体何が事実だったのかということにさえ意見の一致が見られないことだろう」。

「CEOはリスクを取り過ぎていたのか?それとも彼らはそのように行動するように動機づけられていたのか?」。

「レバレッジ比率は高すぎたのか?」。

「規制当局は仕事をしていたのか?それともリスクを見逃していたのか?」。

「FRBの低金利政策が住宅バブルの原因だったのか?それとも他の要因が住宅価格を押し上げたのか?」。

「レポ市場では流動性が問題だったのか?それともソルベンシーの問題だったのか?」。

にも関わらずガイトナーとオバマは無茶苦茶な法案に飛びついた。オバマは就任してからたったの18ヶ月後にドット・フランク法案に署名した。グラス・スティーガル法でさえ1929の株式市場の暴落から4年経つまでは議会を通過しなかった。

Loは金融危機に関して事実と云われていたが事実ではなかったもののうち取り敢えず3つを挙げている。

事実と云われていたもの#1:「効率的市場仮説への傾倒が投資家を惑わせ証券化された債権の価格が適切でない可能性を見落とすように働きかけ不動産バブルを崩壊させた」。

リアリティチェック:金融危機の前から住宅ローンを担保にしたCDOは同様の格付けの普通の社債よりも高い利回りを提供していた(*格付けが同じにも関わらず利回りが高いということは投資家はCDOのリスクを把握していた可能性が高いということ)。彼が強調するように「効率的市場仮説が投資家を惑わせたとは考えにくい。何故なら彼らは安値で放置されていた証券を見つけたと考えていたからだ」。

事実と云われていたもの#2:「金融機関の報酬体系は長期のインセンティブではなく短期のトレーディングから得られる利益にあまりにも偏っていた。さらに銀行のCEOは自分達のお金ではなく他人のお金で取引していたため過度のリスクテイキングが行われていた」。

リアリティチェック:最近の研究はCEOが保有していた株式やオプションの残高は彼らの年間の報酬の8倍以上の価値であると結論した。金融危機の前にリスクに晒されていた彼らの資産のことを考えると「CEOが前もって市場が暴落することを知っていたということや知っていながらリスクの高い取引を行っていたということは考えにくい」と彼は強調している(*インセンティブ報酬のため長期のリスクを無視したという批判に対してそもそも報酬の8倍以上の株式やオプションを持っているのだったら長期のリスクを無視することによって8倍以上のダメージを被るから非現実的だと指摘しているということ)。

事実と云われていたもの#3:「投資銀行はSECのルールが変更されたことによってレバレッジ比率を大幅に引き上げた」。

リアリティチェック:ゴールドマン・サックス、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズら投資銀行のレバレッジは2006よりも1998の方が遥かに高かった(以下の図を参照)。さらに、SECのルール変更はレバレッジの制限に何の影響も与えていないと彼は述べた。

ガイトナーはワシントンが将来の金融危機を防ぐのに大きな役割を果たしたと自信を持っているようだ。そう思っているのは彼だけかもしれない。

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