Peter J. Wallison
ニューヨーク・タイムズの2008の10月3日の記事でSteve Labaton記者はSECが5つの大手投資銀行(Bear Stearns, Lehman Brothers, Morgan Stanley, Merrill Lynch, and Goldman Sachs)がレバレッジを33倍に引き上げることを可能にする規制を採用したと主張した。その記事では2004の4月に採用されたSECの「新資本」規制の改訂をSECが自由化の方向に向かっていたことの証拠と主張されていた。「その規制が緩和されて以降」、「各銀行は緩和された規制から利益を得ることが出来るようになった」と彼は主張した。その記事(専門的な知識がまったくなくニューヨーク・タイムズの記事の正確性に頼るほかない多くの人に影響を与えた)は極めてミスリーディングなものとなっている。その犠牲者の一人がスティグリッツで2009の1月のVanity Fairに書いた記事でLabaton記者の誤りをそっくりそのまま繰り返している。これは事実を確認することが出来ない人々の間で繰り返し伝えられるうちに間違った話がどのようにして真実とされていくかの格好の例だろう。
だが投資銀行がリスクを取っていたと仮定してもSECがその役割を完全に放棄していたというLabatonの主張はデータから否定される。Federal Reserve Bank of BostonのEric Rosengrenは5つの大手投資銀行のレバレッジ比率が2003の22倍(SECが監督する前)から2007の31倍へと平均で見て上昇していると報告した。だが資産の質に関する知識なしには特に際立ったリスクテイキングの増加とは言えない。投資銀行は商業銀行ではないということを認識することも重要だ。彼らは政府によって保護されているわけではないばかりか(保護された)預金を受け付けているわけでもない。(親会社の)顧客の口座を保護するためその証券子会社には自己資本比率の規制が求められているが親会社自体にはリスクテイカーであることが期待されている。その理由により、SECはレバレッジ比率よりも流動性の方(契約が満了した時に債務を支払うことが出来る能力)により関心を持っていた。
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