2017年7月17日月曜日

地球一の馬鹿と云われるマイケル・ムーア(とその信者)はどうして過去の人扱いされるようになったのか?

マイケル・ムーアについて書かれた記事を幾つか集めて翻訳してみた。
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400パウンドの人間が過剰消費の悪について我々に説教するべきだろうか?100万ドルのアパートメントに暮らす住人が自分は労働者の申し子だと主張するべきだろうか?エンロンは素晴らしい投資だと思っていた、ラルフ・ネーダー、ウェスリー・クラーク、ジョン・ケリーが勝つと思っていた、北朝鮮のキム・ジョンウンは国を良い方向に動かしていると考えていた人間が私たちに何か1つでもアドバイスできることはあるのだろうか?

マイケル・ムーアはパラドックスだ。自身の価値の証だとして富を誇示する億万長者だ。「私はミリオネアだ、マルチ・ミリオネアだ。まばゆいばかりの大金持ちだ。私がどうして億万長者なのかを知っているか?多くの人が私の映画を見たからだ。良いことじゃないか?そうだろう?」。

彼は超高級アパートメントに住んでいる。そしてそれを誇らしげにしている。「私はあの建物に住んでいる。私はアメリカのエリートが暮らすマンハッタン島に住んでいる。君たち庶民の生活を動かしている人々が私の隣人だ。私は毎日のように彼らと通りに出掛けている」。バケーションのためと称して彼はミシガンにもビーチに隣接する高級住宅を所有している。

彼は自分の子供を私立の学校に送っている(彼が擁護していると主張する労働者の子どもたちとは一切関わらせない)。そして問題を抱えている。ニューヨーク・ポストは彼がロンドンで起こした癇癪騒ぎについてレポートした。「彼の公演最後の2日間に、マイケル・ムーアはラウンドハウスの関係者全員を怒鳴りつけ自分は一晩の公演にたったの7万5000円しか受け取っていないと不満をぶちまけた。「彼は完全に正気を失っていた」とステージの関係者がロンドン・イブニング・スタンダードに語っている。「彼は一日中不機嫌そうで全員に怒鳴っていた。時給が5ポンドのバーのスタッフにさえも、彼らに対してお前たちは全員馬鹿で役立たずの無能だと叫び声を上げていた。それから彼はステージに上ってそのことを客の前でも語っていた」と暴露した。彼の公演最終日にはスタッフたちは仕事をすることもそれどころかシアターのドアを空けることさえも拒んだ」とニューヨーク・ポストは締めくくっている。

彼は自分の所得を公演ツアーで補っている。7万5000円という安い金額ではない。2004年の選挙前のツアーでは、彼はユタ・バレー州立大学に400万円を要求した。ザビアー大学には250万円をニュー・メキシコ大学には350万円を要求した。時給としては悪くないだろう。

彼をよく知る人間は彼のことをこのように形容している。「多くの人は彼のことをどこにでもいる普通の人のようだと思っているだろう。実際は金の亡者だ」。

彼の最大の主張は、自分が労働者の代弁者であるということ、資本主義の悪、(自分以外の)アメリカ人の身勝手さだ。

彼を偽善者と非難することは簡単すぎる。保守派の多くは彼を左翼だとして非難している。実際には、ごく一部に存在するまともな左翼や思考能力を失っていない左翼は彼のことを醜悪だと見做している。彼は現代版のリムジン左翼という形容がぴったりだろう。19世紀の悪徳資本家と価値観を共有している一方で、丁度上辺だけの髪型やガウンを選ぶのと同じようにベニアのように薄っぺらい上辺だけの左翼主義をその身に纏っている(左寄りのムーアの批判者はその様子をこのようにまとめている:ムーアが受けたのは富裕層の白人に労働者を蔑む機会を提供したからだと)。

ムーアの醜悪な人格に関してはこれぐらいで十分だろう。彼の主張の内容を調べてみよう。

彼の作品には一貫したテーマを見ることができる。そしてそれに必ずと言っていい程付随するのが騙しの手口だ。彼は結論を予め決めておりデータが存在しない場合は、単純にそれを捏造する。

Bowling for Columbine

この映画で、彼は話を捻じ曲げ視聴者を欺き意味が逆になるまでに台詞と音声を編集している。ある事例を見てみよう。彼は自分が狙いを定めた人間のスピーチを取り上げている。ところがそのスピーチは彼が期待していたような内容ではなく融和的で穏やかな内容だった。そこで彼は他のスピーチから台詞を抜き出し段落を切り取り文章を他の文章の前に挿入したりしている。他の場面で、彼は政治広告を批判しようとしていたがその内容が彼の望んでいたようなものではなかった。そこで他の異なる2つの広告を挿入しどこにも書かれていない題名をつけた。

Stupid White Men

彼の自己紹介と取れるこの映画ではショッキングな話を聞かされる。例えば20万人ものアメリカ人が誰にも知られることなく狂牛病で亡くなっているとか、ブッシュ大統領が選挙を盗んだとか、ネーダーが出馬していれば2000年の選挙で民主党に勝利をもたらしていただろうとか、エンロンは素晴らしい投資だったとかいうショッキングな話だ。12歳以上のアメリカ人が聞けば吹き出してしまうこと間違いなしだろう。

Dude, Where's My Country?

この本の中では、「テロ攻撃はなかった」とかニクソンは最後の民主党の大統領だったとか衝撃的な内容が記されている(さらに面白いことに、彼は8章では2004年の選挙は民主党が勝利する可能性が極めて高いと言っておきながら、11章では「民主党の指導者が、2004年の選挙を基本的に見限っている、ブッシュ大統領に勝てる可能性は極めて低い、オプラ・ウィンフリーでも出馬させることを考えていると彼に明かしたことから民主党は「プロの敗北者だ」と読者に対して語っているところだろう。
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ムーアの支持者の多くが私に対して、彼らの教祖に反対する人間は誰であれ若い無知な共和党員に違いないと主張するメールを送っている。

私は53歳だ。法学の博士号を取得している。4冊の本を出版し法学の査読誌に12本の論文が掲載されている(そのうちの1つは判決の根拠として最高裁に引用され11が13の控訴裁判所に引用されている)。最高裁とアリゾナ最高裁にまで持ち込まれた裁判に勝訴した(どちらの事例も困難な裁判だった--初めのは憲法第10条を巡っての訴訟で次のは死刑判決の取り消しを巡っての裁判だ)。1日だけ工場の組立ラインに並んですぐに辞めたムーアとは違って、本当に労働者階級だった。タイル張り職人の子供で工事現場で育ち夏にはPima Minesで働き父の店で働きながらロースクールに通っていた。その時のスキルは今でも役に立っている。今でもバスルームのタイルを張り直し家の改修などを自分で行っている。

私は共和党員ではない。機会があれば共和党員として登録しようかと考えてはいるが。

私はNRAとACLUの会員だ。Tucson Rod and Gun Clubの会長を努めている。

ところで、ムーアに賛成できるところが一つだけある(彼がその立場を表明しているということは助けにはならずむしろ同じ立場の人間を辱めているのではあるが)。それはテロとの戦いは政府の権限の拡大のために利用されているということだ。だがそれは特に新しい現象というわけではない。彼はブッシュ大統領を非難しているようだが、実際にはクリントン大統領の下で始まっている。
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車輪を再発見することに意味はない。David KopelはFahrenheit 9/11に強烈な打撃を与えている。それはFahrenheit 9/11の56の嘘として記されている。彼は新たに3つをそれに加えた。Moorewatchも映画で使用された嘘を見事に暴いている。ここではあの映画の主な2つの側面、すなわち捏造とそのスタイルに関して簡潔に触れたいと思う。

1.映画は「Dude, Where's My County」という彼の本の内容をなぞっている。それに対する反論として彼が情報を得たというソース、フロリダの選挙の話、アフガニスタンの架空のパイプラインの話、カーライル・グループの話などなどを指摘している。

2.彼が見出しでさえも誠実に見せるなどと期待してはならない。2000年の選挙に関して、彼はこのような新聞の見出しを視聴者に見せた(省略)。

そのような見出しは存在しなかった。彼は、再集計が行われてもブッシュ大統領が勝っていただろうという内容の記事に文句をつけていた編集欄の見出しの文字を勝手に書き換えていた(そのことについて彼はその新聞社から訴訟を起こされている)。

3.映画に対する関心を高めようと、彼はイラクの抑留者が虐待されている映像を所有していてその映像をもっと早くに公開しなかったことで良心の呵責に苦しんでいたと語っている。ニューヨーク・タイムズがこのように記事にしている。

「カンヌでの公開が終わった現在、彼は少なくともその映像の一部をメディアに渡すことを検討していると語っている。アメリカ軍の兵士が抑留者を笑いながら写真を取り、兵士の1人が布の上から囚人の性器に触れているという映像だ」

この「抑留者」のことをイギリスの新聞社に問い詰められると、その人間は抑留者でも何でもないということを彼は認めてしまった。「兵士たちは酔いつぶれたお年寄りをかつぎ、その際に布に覆われていた男性の性器に手が触れてしまった」というのが真相だった(自粛)。このことはアメリカのメディアでは当然一切報じられることはなかった。思わせぶりな記事を書いていたニューヨーク・タイムズも読者を欺いたことに関して何の訂正もしなかった。アメリカのメディアでは、ムーアが言うことは常に正しいということにされる。

4.ブッシュ一家とビン・ラディン一族とのつながりとされたものに関して:彼にとって大打撃だ。ビン・ラディン一族は大きな家族で構成されている。1988年に家父長が亡くなった時、彼は54人もの子供を残したと云われている(他の説では53人とも云われている。自分でさえも把握できていなかったのだろう)。それに孫や婚姻者、いとこなどが加わるとなると巨大な一族であるということが誰にでも分かる。一族の開祖は20世紀初頭にサウジアラビアへと移住し建設会社を立ち上げメッカの再建を任され、非常に宗教色の強いサウジアラビアという土地柄で宗教建築関連の仕事を一手に請け負った。一族のほとんどは西側寄りで子どもたちを教育のためにアメリカへ送っている。ようするに彼らがここにいるのはそういう理由だ。オサマは過激主義に走り家族から追放されサウジアラビアが彼を逮捕するように命じてからは1992年に国を飛び出している[Source: Frontline - About the Bin Laden Family]。

5.ビン・ラディンとブッシュ家をつなぐ鍵だと彼が言っているカーライル・グループについて:カーライル・グループは中東全土で3000億円にも渡る巨大なビジネスを展開している。ブッシュ親子はカーライルとよく結び付けられることがあり引退したブッシュ父はアドバイザーを務めていたりもする。ビン・ラディン一家は1兆3000億円の同社の資本のうち200億円を投資している[Source: Guardian Unlimited - The ex-president's Club]。だがそれがビン・ラディンとのつながりだというのであれば、彼は大問題に直面するだろう。カーライルを投資家の間で有名にしているのは、そして実際に100億円を投資しているのは他でもないジョージ・ソロスだ。そうだ、ブッシュ大統領を落選させるために30億円を投じたと云われるジョージ・ソロスだ。ソロスはビン・ラディンとつながっているのか?ムーアの定義によればそうなる。

6.ビン・ラディンが逃亡したという彼の主張について:彼はこの陰謀論を大きく扱っている。ビン・ラディンとサウジアラビア人がブッシュ大統領からの協力によって9.11直後は飛行が禁じられていたにも関わらず国外に脱出したという話だ。

9.11調査委員会がわざわざ彼の主張に付き合ってくれている(pp. 329-330)。

「第一に、飛行が再開される前にサウジアラビア人が飛行機に搭乗したという記録は存在しなかった。その逆に、搭乗が確認されるのは飛行が再開されてからだった」

「第二に、政治的介入が行われたという証拠は存在しなかった」(Discussion of how decision was made by Richard Clarke in coordination with the FBI)

「第三に、我々はFBIが国外に出国したサウジアラビア人を適切にスクリーニングしていたと考えている。FBIは容疑が掛けられている全員を出国前に尋問している。FBIは搭乗者の誰もテロ攻撃とは関わっておらずその結論を変更する証拠も見つかっていないと結論している」

クラーク(ムーアによって英雄であると描かれている)もこのことを確認している。彼(実際には捕まっていないのが不思議なほどの大罪人)はThe Hillにこのように語っている。「それは私の責任です。あれが間違いだったとは思っていません。もし同じような状況に置かれたとしても、その時と同じ決定をするでしょう」「私の権限だけではそのような決定はできません」「9月11日にせよ9月12日にせよ9月1日にせよ、私の権限でできたことは多くありません。その決定はFBIと協力して行いました」。

捏造のスタイルに関して:彼はこれまでで最高のプロパガンディストだ。これはこの領域で競争がほとんど行われていないことが原因かもしれない(陰謀論は政府型のものが多くを占めている。それらには巧妙さもテクニックもほとんど必要とされていない)。だが他にも彼の陰謀論にはこれまでの陰謀論とは興味深い違いがある。

ここでは「プロパガンダ」という言葉に特に軽蔑の意味を込めていない。彼のテクニックを理解するまでは、彼の陰謀論が他とどう異なるのか分からないだろうからだ。彼のプロパガンダの技法の幾つかの基本原則を見ていこう。

1.語り手にははっきりと語らせてはならない。視聴者に事実とは異なる印象を間接的に生み出させるのでなくてはならない

この手の手口をよく用いる詐欺師のうちで彼のようにプロパガンダの芸術にまで高めた語り手をあまり知らない。彼は自分がXについて語ることなく視聴者にXは真実だという印象を与える映像や台詞の使い方をよく心得ているようだ。誰かがXは嘘だと証明したとしても、自分はそのようなことは言ってないから「無関係だ」と主張するだろう。

他の人々が残されているというのにサウジ人たちだけが出国を許されていて、FBIは彼らへの尋問を妨害されたのだという印象をあの映画の視聴者は持つことだろう。だが彼はそのようなことは実際には言っていない。そしてサウジ人は制限期間中に出国を許可されておらずFBIは彼らを尋問する機会を与えられていたと結論した9.11調査委員会の報告書が提出されると、彼は姿をくらませた。『「Fahrenheit 9/11」のアシスタント・プロデューサーJoanne Doroshowは、ムーアは出国禁止期間中にビン・ラディンが逃げ延びたと示唆したことは一度もないと語った』とワシントン・ポストは記している。確かにその通りだ。

2.文脈を無視して新たな文脈をそこに挿入する:プロパガンディストの新しい道具は単に文脈を無視するに留まらない。そこに新しい文脈を散りばめる。コンドリーザ・ライスはフセインと9.11にはもちろん関係があると言った人間として登場する。視聴者には残りの文脈、そのつながりとは計画や援助のことではなくイスラム過激主義的側面を持つということであるということは知らされない。

彼はその発言を利用して、ブッシュ政権が人々を欺いていると示唆させる。ラムズフェルドがレポーターたちに対して「あなたたちは毎日のように事実ではない話を聞かされているだろう?事実であるかどうかに人々は関心を寄せていないようだ」と発言している映像を流している。その文脈では、彼や他の人々は毎日のように嘘を言っていてレポーターはそのことを誰も気に掛けていないようだと彼が発言しているように見える。実際の文脈では、彼は重大な情報を掴んだと主張するレポーターに対してその情報は誤りであり噂にすぐに飛びつくレポーターたちに警告を発し批判している。

3.時間と場所を移す:プロパガンディストはそれが語られた時には意味を持つ台詞を不適切で馬鹿馬鹿しく不誠実であるように見える時間と場所へと移し替える。ムーアは再び彼がこれを得意としていることを証明した。

ムーアはテロとの戦いの目的の1つは人々を混乱させることだと主張している。それから映像はテロは危険だと言いながら皆に旅行を勧めているブッシュ大統領が収められている場面から、テロは差し迫った脅威だと言いながら心配することはないとブッシュ大統領が呼び掛けている場面を幾度も往復する。それだと確かに混乱させているように聞こえる。だがブッシュ大統領が人々に旅行を呼び掛けている映像のすべては2001年にブッシュ大統領が航空会社の従業員に対して行っていたスピーチからのものでテロとの戦いに勝つには日常生活を再開させるにはどうすれば良いかをテーマにしたものだった。他の映像は2003年から2004年に掛けてのものでテロの警戒水準が引き上げられた時に語られた時のものだった。

ムーアは視聴者に対してブッシュ大統領が9.11調査委員会の設置に反対したとの情報を与えた。それから「我々はKean議長やHamilton議員と密接に協力を行っている」とブッシュ大統領が語っている映像を視聴者に見せる。その後には「必要とする資料(情報)を私たちはまだ手にしていない。特に必要な時に渡されていない」と語っているKean議長の姿が映される。

ブッシュ大統領が嘘を言っているかのように演出される。だが本当の話はこうだ。議長が不満を漏らしたのは委員会が仕事を始めた2003年の6月のことだ。そして実際には「ホワイトハウスは協力的だ。だがいくつかの機関、特に国防総省などが協力的ではない」と語っている。ブッシュ大統領が政権は緊密に協力していると言ったのは2004年の2月のことで7ヶ月と少し経過しておりその時には実際にそうなっていた(「最終的には私たちには必要とするすべての情報に対してアクセスが与えられた。要求したすべての書類を私たちは閲覧できるようになった」と議長は語っている)。だが時系列を入れ替えることで、ムーアは誠実な発言を嘘であるかのように演出した。

4.彼は奴らの手先だ:プロパガンディストにとって欠かせない重要なツールは標的を特定のグループと結びつけることだろう。それから彼らは我々とは違うと言い始める。彼らの見掛けは我々とは異なり奇妙な服を着ている。ようするに彼らは彼らだ。ナチスにとってはユダヤ人がそうだった。

ムーアにとってはアラブ人だ。彼はアラブ人を奇妙でいかがわしい人々であるかのように描いた。それから彼らをブッシュ大統領と結びつけた(それほど難しいことではない。石油業界に携わっていればアラブ人と関わらずにいるのは難しい)。

重要なのはムーアが大統領をタリバンやビン・ラディンと結びつけようとしていることだろう。最も極端な形での「彼ら」だ。従って彼らが同じ国内にいたと主張するのではまったくもって十分ではない。ムーアはタリバンの代表がアフガニスタンを通るパイプラインを建設するため当時テキサス州の州知事だったブッシュ大統領の下を訪れたと記している。私がその主張を以前検討した時に記していたように、彼らの訪問とブッシュ大統領は何の関係もなく、そのパイプラインはテキサス州に本拠を置き民主党の大献金先であるユノカルに便宜を図るためにクリントン政権が推進していたものだ。それからムーアはタリバンの代表がワシントンを訪問して(ブッシュ大統領が当選しテロ攻撃が起こる前)ブッシュ政権と会談したと語っている。ブッシュ政権が彼らに対してタリバンを政権とは認めないと言ったこと、ビン・ラディンに対して敵対的な活動を行っているとは信じていないと語ったことには言及しない。

5.目的を達成するためなら手段をまったく気にしない:建設的な批判とプロパガンダとの違いの1つはコアとなる倫理観だ。建設的な批判はそれに満ちている。プロパガンディストは自分の議論の性質を気にも留めない。ただ標的を攻撃することにしか関心がない。その結果としてプロパガンディストは自分で矛盾したことを言っていてもまったく気にしない。標的がどのような行動を取っていたとしても非難することが出来る。例えば、

2001年の9月にムーアが言っていたこと:タリバンを攻撃するべきではない:

「ホワイトハウスを占拠している男が嘆いた。いいぞ。嘆き続けろ、ブッシュ。お前が嘆けば嘆くほど人間性のダークサイドに陥る危険性は少なくなる」

「だが戦争を宣言し無実の人間を虐殺するな。私たちが選挙で選んだ大統領はビン・ラディンのテロ攻撃の後、彼が云うところのアフガニスタンの「ビン・ラディンのキャンプ地」を攻撃しに行った。だがその代わりに民間人だけを攻撃した」

「分かった、ブッシュは空のキャンプにミサイルを打ち込んでなどいなかった。彼はアフガニスタンに入りタリバンを転覆しその過程で最小限の被害しか出さなかった」

映画でのムーア:「ブッシュはより多くの軍隊と軍事力でアフガニスタンを攻撃しなかったことにより、ビン・ラディンの捜索をアメリカ人以外に「アウトソーシング」したこと、その結果としてビン・ラディンを逃したことにより混乱を招いた」

他の例:彼はブッシュ大統領に戦争以外の手段はすべて使用するように要請していたにも関わらず、上でも説明したように映画の中では大統領がタリバンの代表と会ったというだけの理由で彼がタリバンと親しすぎると示唆している。ようするにムーアはブッシュ大統領が外交を行っていても非難している。標的がどのような行動を取ろうともプロパガンディストの標的は攻撃され、その攻撃の矛盾性は気づかれることはない。
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ムーアは「嘘にどう対処するか」と題してこのサイトを攻撃しているがさらに墓穴を掘ってしまったようだ。彼の誠実性(そのようなものが存在すればだが)に対する批判に答えようというこのウェブページは実際には強烈な批判は認め、残りは無視しそして彼の主張にも幾らかの正当性がある部分に対するわずかの批判だけに標的を絞って回答している。面白いので少し見てみることにしよう。

ムーア:「有名になると、興味本位で自分のことについて他人が書いたユーモラスな作り話を所謂「大衆の目」が読んでいるということに慣れなくてはならなくなる。事実、極めて尊敬でき信頼もされているメディアが私は大学を卒業していて(していない)私が工場労働者だ(1日で辞めた)と書いているのを見たことがある」

メディアはどこからそのような情報を得たのか?恐らくは彼へのインタビューだろう:

『彼は自分のルーツが彼の仕事を形成したと語っている。「自分が労働者の出身であることが影響しているのだろう。あまり礼儀というものを教えられることはなかった」と彼は語っている』(彼は実際にはニューヨークに住んでいるのに、住所を「マイケル・ムーア、ミシガン州フリント」と偽っている。例えば、

「ニューズウィークは私がセントラルパーク西のペントハウスに住んでいると書いている(私はギャップの店舗の上に住んでいる。公園になど住んでいない…)」

彼は言葉遊びをしているようだ。まるで彼が商業地区のロフトみたいな場所で暮らしているように聞こえる。

彼は2億円のペントハウスに住んでいる。セントラルパークからわずか1、2ブロックしか離れていない場所だ。そこを探しに行ったことがある。これがその時の写真だ(ペントハウスを写真に収めることはできなかった。だが角のところにギャップ・ストアが映っているのが確かに見える。16階も下にだが…)。

Violence Figures.

ムーア:「私はアメリカの銃による殺人件数を偽ったとさえ糾弾されている。彼が言っている残りすべての事柄と同じように完全な嘘だ。映画の中で使用されたすべての統計は本物だ。すべて政府の統計を使用した。これらは事実だ」

まったくもって有益な回答ではない。具体的なことは何も明かされていないからだ。

「11127人が銃により亡くなっているという数字はCenter for Disease Controlのレポートに掲載されている」

ビンゴ!私のウェブページ上では、彼が数字を拾ってきたのは恐らくそこからだろうと予想していた。ようやく確認が取れた!

彼にとって悪いことに、彼は私の質問に答えていない。この数字はFBIが毎年公開している数字よりも数千人以上多い。

「私の映画の中の事実はすべて正しいとはっきりと保証する」

これを見た時、笑いを堪えなければならなかった。ジョークを言っているつもりなのか疑ってしまったほどだ(誠実性に関して彼が抱えている大きな問題のことを考えれば、彼にはユーモアのセンスがある)。言うまでもなく映画の中の「すべての事実」は「正しい」だろう。そうでなければ事実ではなくなってしまう。ゲッペルスやニクソン、聖ラルフなどの嘘つきも皆同じことを言っただろう。彼らが言ったすべての事実は正しいと。

ムーア:「私に対するNRAからの訴訟の数はゼロだ。そうだ、ゼロだ」

それは彼が名誉毀損罪に抵触するのを非常に気にしているからだろう。そのような状況では「公的な存在」が訴訟に勝つのはほとんど不可能だ。公的な存在に向けられた名誉の毀損は言論の自由によってかなりの程度まで守られている。それをまとめたものがここにある(省略)。

彼はそのことをもっと早く知っているべきだった。彼は「Roger and Me」という映画で公的な存在ではない個人を中傷してしまったため1993年に評決で有罪を宣告されている。この映画がテレビで一度も放映されたことがないのは恐らくはそれが原因だろう。私は彼のスタジオが敗れたこと、彼が控訴しなかったことをその時の弁護士に確認している。興味深い話:裁判所はとある社会活動家を中傷したとして彼を非難している。その社会活動家とはその時までは彼の友人だった、冷酷で彼が忌み嫌っているはずの大富豪だった。

彼は他でも有罪を宣告されている。「The Awful Truth」での意図的な侵害に対して7億円を賠償するように言い渡されている。だが被害者が公的な存在だったために評決は覆された(私が見るところでは、原告側は戦術面で誤りを犯したように思われる。それを当時無名でお金もあまり持っていなかった彼をではなく映画を公開したスタジオの方を訴えるべきだった。そのせいで原告側はムーアではなくスタジオ側が「悪意を持って」誤った言明をしたとの証明をしなくてはならなくなった。スタジオがそのような悪意を持っていたかどうか誰にも証明することはできない。スタジオはムーアが撮影した映画を公開しただけだ)。

さらに彼は他の映画に関しても訴えられている。James Nicholsという人が彼を訴えている。この訴訟の行方がどうなるかは分からないが、ムーアが訴えられているというのは確かだ。

最後に、私たちが彼から云われたことをそっくりそのまま送り返そうと思う。彼は嘘つきだとしてこのサイトを含めて、Moorelies.com、Moorewatch.com、Michael and Me、Fahrenhype 9/11、Michael Moore Hates America、Michael Moore Is A Big Fat Stupid White Manで酷評されている。彼は私たちに対して一度でも訴訟を起こしたことがあるだろうか?
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Fifty-nine Deceits in Fahrenheit 9/11

by David Kopel

メディアから聞かされたことがその人の知っているすべてであれば、その人は幻想の世界に住んでいる。だが1つの幻想の世界を他の幻想の世界に置き換えたのでは真実を知ることはできない。Fahrenheit 9/11は不誠実でパラノイド的で憎悪に満ちた空想の作り話だ。真実を学び、自分の目で判断する必要がある。

ブッシュ大統領に投票するにせよしないにせよ、それらの判断は真実に基いて行われる必要がある。ドキュメンタリーであれば真実と正しい論理によって人々を納得させるのでなければならない。嘘とプロパガンダで人々を操作しようとするのは民主主義に対する攻撃だ。

1.ゴアの「勝利」を祝ってのラリーはフロリダでの勝利を祝ってのことではない。そのラリーは開票が行われる前から行われていた。

2.他のテレビネットワークと同じく、FOXもフロリダでゴアが勝利したと誤って伝えた。誤報を最初に撤回したのはCBSであってFOXではない。

3.主要な新聞社が6ヶ月に渡って共同して調べた調査によると、ゴアが裁判で要求していたどの方法で再集計を行ったとしてもブッシュ大統領がフロリダで勝利していたことを示している。

4.Palm Beach Postやその他の調べによると、選挙管理人がある有権者たちを誤って投票資格なしとしたのは人種が理由ではない。

5.9.11以前にブッシュ大統領をレイム・ダックだと言っていたコメンテーターは誰もいない。議会は彼の減税法案を通過させ教育法案を通過させようしている矢先だった。映画の最後の場面で、ブッシュ大統領が富裕層の聴衆に向かって呼び掛けているシーンが映されているがそれは2000年の選挙資金集めの時の様子だ。ゴアもブッシュ大統領も選挙資金集めの時には富裕層に語りかけている。

6.「9.11以前の8ヶ月間、ワシントンポストによるとブッシュは休暇を取っていた。大統領に就任してから42%もの時間をだ」と彼は語っている。彼が参考にしたというその記事に記されているように、その数字には週末の休暇やブッシュ大統領がトニー・ブレアと話し合うなどして働いていたキャンプ・デービットのような「vacation locations」で過ごしていた時間などが含まれている。

7.ゴルフコースの場面では、ブッシュ大統領が聞いていたのはイスラエルでのテロ攻撃のことだった。彼はイスラエルに対するテロを非難するとの声明をメディアに向かって即座に出した。彼はアメリカでのテロ攻撃のことを喋っていたのではない。

8.ブッシュ大統領がアルカイダに関する2001年の報告書を読んでいなかったという証拠はない。

9.報告書の題名に「vagueness」と書かれていたから読まなかったとブッシュ大統領は一度も主張していない。

10.その報告書には「オサマ・ビン・ラディンが航空機をハイジャックしてテロ攻撃を計画している」とは書かれていなかった。FBIは「もしも、そのような攻撃があったとしたら対処できないだろう」と書かれているだけだった。

11.サウジ人たちは一般人にも航空規制が解除された後に初めて出国した。

12.Richard Clarkeと9.11調査委員会によると、(ムーアが英雄だと主張している)彼がサウジ人たちの出国を許可した。上からの圧力は掛けられていない、と(ムーアによれば真実の人であるはずの)彼自身が証言している。

13.映画ではクラークの考えが聴衆に対して正確に再現されているとムーアはTVレポーターたちに嘘をついた。クラークは映画の中のサウジ人たちの出国の様子をムーアが編集した「捏造だ」と呼んでいる。

14.映画での主張とは真逆に、9.11調査委員会は出国を許可される前にサウジ人たちは「詳細な尋問」を受けていたと報告している。

15.James Bathはブッシュ大統領が顧問を務めていたエネルギー会社Arbustoにビン・ラディン一族のお金を投資などしていない。彼は自分のお金を投資していた。

16.ホワイトハウスが公開したAlabama National Guardの記録から彼が黒塗りされていたのは、健康に関する個人情報の公開が連邦法により禁止されているからだ。

17.映画ではヴァンダル王子がブッシュ政権が率いるアメリカ政府に大きな影響を与えているかのように描かれている。だがアメリカ政府がサウジの王朝に対して媚びへつらうのは両党の長年の伝統でブッシュ大統領が初めたことではない。

18.Harken Energy:ブッシュ大統領は会社の弁護士がOKを出してから初めて株式を売却している。

19.ブッシュ大統領が「ラップを口ずさんだのは」彼がインサイダートレーディングに関わっていないことが証明されたからだ。

20.カーライル・グループはブッシュ大統領との関わりが特に強い会社というわけではない。ジョージ・ソロスを含めて彼の敵の多くが株主だ。

21.ブッシュ政権はクルセイダーの受注をキャンセルしたことによってカーライル・グループに大打撃を与えている。ブッシュ政権で武器の受注がキャンセルされた数少ない事例のうちの1つだ。

22.ビン・ラディン一族は株式を売却する前にカーライル・グループから手を引いている。ブッシュ家と関わりがあるとされる会社に彼らが投資した1400億円のうちほとんど大部分のお金はブッシュ大統領の父がカーライルに加わる前に同社に投資された。

23.Craig Ungerはサウジ人たちがアメリカに86兆円投資していると主張している。その数字は彼が書いた本「House of Bush, House of Saud」に記されているものだが、彼が参考にしたというどのソースもそのような額を支持していない。

24.サウジ人たちが「アメリカの7%」を所有しているとムーアは主張している。だが架空の86兆円という数字を真に受けたとしても、サウジ人たちは外国からのアメリカへの投資総額の7%を占めるに過ぎない。アメリカが100%外国人に所有されていた場合にのみ彼の主張は正しいといえるだろう。

25.サウジ大使は特別な待遇など受けていない。シークレットサービスによって警護されている唯一の大使でも何でもない。アメリカが批准した国際条約によって保護を求めた大使には警備を与えることが定められている。

26.ブッシュ大統領はサウジの命令によって動いているという彼の主張はアフガン攻撃(サウジが強力に支援していたタリバン政権を転覆させた)やイラク攻撃(イラクの石油が競合するようになるためサウジは反対した)と矛盾している。

27.テキサス州の州知事だった時代に、ブッシュ大統領はタリバンの代表と一度も会っていない。

28.ユノカルによるパイプライン建設はクリントン政権によって後押しされた。だがユノカル自体が1998年にその計画を破棄している。

29.アフガン新政府はパイプラインを建設する契約に署名した。だがそれはユノカルが提案していたものからは数百マイルも離れたまったく異なるものだ。

30.新しいパイプラインの建設は始まっていない。彼は「(クルーグマンがアドバイザーを務めていた)エンロンがそのパイプラインの建設から利益を得ている」と主張しているが、エンロンはどちらのパイプラインにも一度も関わっていない。

31.ブッシュ大統領はタリバンの外交団が2001年の月に訪問してきた時に「歓迎」などしていない。オサマ・ビン・ラディンを匿っているとしてむしろ非難している。

32.映画ではアフガンへの攻撃を支持しているフリをしているが、彼はアフガン攻撃に反対していた。そして2002年の12月にはオサマ・ビン・ラディンは無罪だろうと主張していた。

33.アフガン攻撃はサウジ家の利益を守るための戦いだとムーアは主張しているが、彼はアフガンがタリバンから開放されたという結果からは目を逸し続ける。アルカイダのトレーニングキャンプが破壊されたこと、自由選挙が開催されるようになったこと、女性の解放、150万人のタリバン難民たちの帰還などなど。

34.ブッシュ政権が9.11調査委員会に協力していないという誤った印象を捏造するために発言のあちこちが並べ替えられている。2003年の7月に議長は協力が不足していると不満を漏らした。2004年の2月には、ホワイトハウスは完全に協力していると発言した。議長はそれに同意し、「前例がないほどの」情報へのアクセスを提供してくれたとしてホワイトハウスを称賛した。

35.アシュクロフトは「死亡した男」にシアトルの選挙で敗れたのではない。Mel Carnahanは選挙の数週間前に飛行機事故で死亡した。ミズーリ州の州知事はもし有権者が許すのであれば未亡人となったJean Carnahanを指名することを約束していた。

36.FBIは航空機の訓練学校に通っていたアルカイダの容疑者を「知らなかった」。その情報はFBIの一地方支部にとどまり続け上層部にまで届けられることはなかった。

37.アシュクロフトがテロ対策予算を削減したことなどない。彼はすでに2年間に渡って使われていなかったあるプログラムに対する1年間の予算の削減を提案しただけだった。

38.Porter Goss議員は自分は「800番代の電話番号を取得している」と語った。映画の字幕では「彼は嘘をついている」と書かれている。Gossは実際にフリーダイヤルを取得している。市外局番は877ではあるが…

39.ムーアはサダム・フセインのイラクは「アメリカ人を1人も殺害していない」と言っていた。実際にはサダムはイスラエルでアメリカ人(以外も殺害されているが)を殺害した爆弾犯に資金を提供している。他にもサダムはアメリカ人を殺害したテロリストAbu Nidalと1993年の世界貿易センタービル爆破事件で爆弾を製造したテロリストを匿っている。

40.それに加えてサダムはブッシュ前大統領の暗殺とフィリピンのアメリカ大使殺害を命じている。

41.ムーアは「サダムはアメリカを一度も攻撃しようと企てたことがない」と主張している。実際には、1997年に「アラブ地域のアメリカとイギリスの同盟相手、大使館、軍艦などをアラブの政治勢力による攻撃の対象とせよ」と命じている。9.11の1年後に、サダムはアメリカに対する自爆攻撃を呼び掛けた。

42.ムーアはイラクとアルカイダの間には何の関係もなかったと主張している。実際には強力な結びつきがあったことが膨大な資料によって確認されている。ただ9.11調査委員会が言っているように、サダムが9.11のテロ攻撃に事前に参加していたかどうかは定かではないが。

43.ムーアの映画ではコンドリーザ・ライスが「イラクと9月11日に起こったことには何らかの関係性がある」と語っている場面が映されている。(イラクと9.11の間に関係があったとする証拠は見つかっていないとする9.11調査委員会の報告を事前に見せられていた)聴衆は彼女(アフリカ系アメリカ人)を笑い者にした。実際にライスが語ったことはこのような内容だった。

「イラクと9月11日に起こったことには何らかの関係性がある。それはサダム自身が関わったとか彼の政権が9.11に関与していたとかそういう意味ではなく、9.11を引き起こしたものが何であったかを考えると、人々をニューヨークのビルディングに突撃させたものは憎悪のイデオロギーの勃興であったように思われる。これは人々から自由を奪うことをその使命と定めている巨大なテロ組織、国際的なネットワークを持つテロ組織によって引き起こされた事件だ。憎悪のイデオロギーは暴力を駆り立てることによってイスラムを平和な宗教から遠ざけることになった。それらはすべてつながっている。そしてイラクがそのすべての中心地だ。イラクが平和的で民主的、繁栄した中東の中心に生まれ変わることができれば、中東が変わり始める兆しを目にすることができるだろう」

44.ムーアは開放される前のイラクは幸福に満ち溢れた素晴らしい国だったと主張した。実際には、人口の6分の1がサダムの圧政に耐えかねて国外に逃亡している。国連とアムネスティは「イラク政府は基本的人権と国際的に定められた人道に関する法を完全に踏みにじっており、その結果として(国中に行き渡っている差別と恐怖によって)ありとあらゆるところにまで精神的、肉体的抑圧が広がっている」と非難している。

45.ムーアが唯一見せたがるのは民間人の負傷者だけだ。軍人の負傷者の方が割合としては圧倒的なのだが。

46.破壊されたビルの映像を視聴者に見せる時、それらは軍事施設で民間人はその近くに立ち入ることが許されていないということは決して伝えない。

47.イラク解放軍に参戦したのは小国ばかりだと言ってムーアは観客の笑いを誘おうとしている。解放軍にはイギリス、オーストラリア、イタリアなども参戦していたことは決して伝えない。

ムーアの醜悪さをよく表すエピソードがある:戦死した空軍の少将だったGregory Stoneの葬式がArlington National Cemeteryで行われた葬儀の映像は親族の許可もなく家族が猛反対していたというのに撮られた。ストーン少将は強い信念を持ってイラクでの任務にあたっていたし彼の家族もそれを支えていた。Massachusetts National GuardsmanのPeter Damonの映像も彼の許可なく使用された。

48.ムーアの主張とは異なりアメリカのメディアはイラク攻撃に賛成などしていなかった。例えばPeter Jenningsは強く批判的だった。彼が攻撃の支持者だとしてムーアが出している証拠とやらは2003年の4月にサダム軍が敗北した時の様子を彼が伝えている時の一コマで、それ自体は嘘でも何でもない単なる事実だった。

49.アメリカ軍の兵士がシートにくるまっている男性をからかっているように見える映像は捕虜に対する虐待ではない。彼らはお酒を飲みすぎて通りで倒れていた男性を運ぼうとする際にちょっかいを出してしまっただけだ。

50.ムーアはブッシュ大統領が退役軍人の病院を幾つか閉鎖しようと提案していると主張した。だがブッシュ大統領は代わりに他の退役者の病院を解説することを提案している。

51.ブッシュ大統領は「危険地域」で任務にあたっている兵士たちに支給される特別手当の更新に一度だけ反対したことがある。ムーアはブッシュ大統領が兵士たちの給料を3分の1カットしようとしていると捻じ曲げて伝えた。

52.ブッシュ大統領が給料の削減を提案したと誤った主張を広める一方で、ブッシュ大統領が2003年に兵士たちの3.7%の昇給を議会に認めさせたことはムーアは一切伝えようとはしない。

53.ムーアはイラクに自分の息子を送り込んだのはたった1人の議員だけだと主張している。実際は2人だった(Democratic Senator Tim Johnson of S.D., and Republican Rep. Duncan Hunter of California)。ジョン・アシュクロフト議員の子供もペルシア湾で勤務している。

54.映画ではマーク・ケネディ議員の映像が意図的に編集されている。彼が議員の息子のリストの作成を拒んだかのように編集されている。実際にはケネディ議員はそれは良い考えだと語っており協力を申し出ている。

55.映画ではMichael Castle議員がムーアを無視して通り過ぎていく様子が映されている。だが彼にはそもそも子供がいない。

56.国勢局のデータによると、他の世帯と比べて議員の息子はイラクで従軍している割合が高い。

57.ムーアはミシガン州フリントを「自分の故郷」と呼んでいる。実際には彼はDavisonで育った。フリントよりも遥かに豊かで白人の割合も高い地域だ。

58.映画の中ではムーアはアメリカ軍を支持しているかのようなフリをしている。実際には彼は敵を支持している。サダムの親衛隊とアルカイダとの連合、イラク人を殺害しイラクの民主主義の可能性をわずかでも破壊したいと欲して力を合わせているイランやシリアが操っているテロリストたちを。ここにイラクに全体主義をもたらそうと活動している勢力に対して2004年の4月14日にムーアが語っている内容がある。「占領に対して立ち上がったイラク人はテロリストではない。彼らは革命者だ。彼らは勢力を増し勝利するだろう」。車爆弾で意図的に市民を殺害しているイスラム原理主義者もしくは圧政を敷いてきたバース党にイラクを支配させたいと欲している人間が、アメリカ軍を支持していると本気で思うだろうか?

59.Screen Dailyですでに記されているように、イランとシリアが援助しているテロリスト集団ヒズボラがムーアの映画のプロモーションを行っていた。この映画の中東での配給会社であるFront Rowはテロリストからの援助を受け取っていた。

「この映画のマーケティングを担当したFront Rowという会社はレバノンを拠点とするヒズボラと関わりのある組織から援助を受け取っていた。この会社のマネージング・ディレクターであるChacraはこの映画が反米ではなく反ブッシュだと感じたと主張しているが、彼らの協力がなければレバノンやシリアでは映画の放映ができないため拒否することはできなかったと語っている(Nancy Tartaglione, "Fahrenheit to be first doc released theatrically in Middle East," Screen Daily.com, June 9, 2004)。この話はSamantha Ellisも記事にしている(Fahrenheit 9/11 gets help offer from Hezbollah," The Guardian (London), June 17, 2004)。

Slate.com (6/24/04)はこの話の更に詳しい内容を記事にしている。「この会社のマネージング・ディレクターGianluca Chacraはヒズボラのメンバーがこの映画を支援するために私たちにできることはないかと持ち掛けられていたことを認めた。彼は(彼らを)恐れるでもなく、彼らの提案にむしろ興奮したと語っている。レバノンを実行的に支配しているそのような組織から援助を受けられることはレバノンの市場を押さえるにあたって非常に大きなことでまったく問題ではないと思う。これは極めて当たり前のことだ」と記している。

数百人のアメリカ人を殺害し、アルカイダや他のテロリストと共同して動き、現在はアメリカ人の兵士とイラクの民間人の殺害を目論んでいるテロリスト組織から援助を受け取ることが愛国的だと本当に思われるだろうか?
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9.11「陰謀論」は、共和党とブッシュ政権が真の敵でありテロによる脅威は存在せずサダム・フセインはイラクの村を毒ガスで滅ぼしてなどいない善人だったと主張する「Fahrenheit 9/11」により始まっている。

2007年にムーアに友好的な映画を撮影していたカナダ人たちは、彼がすべての映画で大嘘を言っていることに気が付いてしまい彼の嘘を暴くドキュメンタリーをその後に制作することになる。それを見た多くの人々はムーアの主張に疑問を抱き始めることになった。そのカナダ人の映画監督たちは極左でムーアのファンであることが知られていたので、彼らの映画の方はというとリベラルなメディアからは大絶賛されている一方で、そのすぐ横に置かれていたドキュメンタリーの方はというと(彼らのものだとも知らずに)右翼によって事実が捻じ曲げられた最低の駄作だとして酷評された。ムーアのような手口で中傷されるのを好み人間は誰もいないだろう。彼らがムーアと政治的には同じ立場にいたとしても。

2008年にNational Geographicsはサダム・フセイン統治下のイラク人の暮らしを彼らが調べたビデオを放映した。そのビデオには人々がビルから投げ落とされ殺害されているシーンやサダムが実行させている他の人道上の犯罪の様子が映されていた。サダムはそれらの映像を撮影させ人々を恐怖の底へと陥れるためにイラクTVで放映させていた。ムーアの主張はまたしても信頼のできるソース(これ以上のものはないだろう)によって完全に否定された!

彼が映画で嘘を言っていることはずっと前から知っていた。例えば「Bowling for Columbine」では、彼は映画の冒頭から嘘を言っている(口座を開いた人に銃を贈った銀行は存在しない)。そのシーンは完全に捏造されたものだ。「Roger and Me」という映画では、彼はミシガン州のフリント出身だと主張しているが実際には映画を撮影する前は彼はそこを訪れたことさえない。

ムーアはそもそも自分はドキュメンタリーを撮影しているとも事実を語っているとも口にしていない。冒頭のカナダ人たちが彼にインタビューを試みた際には「Roger and me」で非難されていたRoger Smithよりも会うのが困難だったという(実際には彼はロジャーから許可を得てインタビューを行っている。だがその時の映像はこの映画の大前提、すなわちGMの責任者には誰も話すことができないを根底から覆してしまうため映画では決して放映されることがなかった)。

彼は単なるピエロでしかない。残念なことは彼を真剣に受け取ってしまうアメリカ人がいるということ、そして彼の映画が政府への信頼を低下させ9.11に陰謀を抱かせその犯人はブッシュ大統領だという印象を特定の人たちに与えてしまったことだ。

アメリカ人は出場者が回答を与えられていたヤラセ番組から何も学んでいないのではないかと懸念している。そして議会の公聴会でCBS TVが「よろしい、視聴者たちは喜んだ。出場者たちはお金を得た。商品は売れた…だから誰も損していない」と言い放ったことも。CBS TVやムーアというクズに利用されたアメリカ人以外は損をしていないだろう。

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2017年7月11日火曜日

アラブの春はオバマによってつぶされた?

Why Is General Mattis Nominating the ‘Muslim Brotherhood’s Stooge’?

RAYMOND IBRAHIM

マティス国防長官は(ヒラリー・クリントンの側近)アンネ・パターソンを大統領の政策防衛担当次官として任命しようとしているがそれには大きな問題がある。

Politicoが少しだけその理由を説明している。

「仮に指名され承認されれば、パターソンはペンタゴンで4番目に強力な地位を握ることになり、(マティスとロバート・ワークスの両者は軍人であるため)彼女が民間人としては国防総省のトップとなる」

「パターソンは2011年から2013年の間、エジプト大使としてモハマド・モルシ元エジプト大統領と彼のイスラム主義政府と緊密な協力を行っていた。彼女は、政権との関係が緊密すぎること、政権に対する抗議行動を阻止するための活動を行っていたことに批判の声が挙げられている。ホワイトハウスの関係者は決定に対する懸念を表明している」

このような内容では読者は実態をまったく把握できないだろう。 2013年6月30日の革命に至る数ヶ月間の間、アナリストからエジプトの通りまですべての人々から「ムスリム同胞団の操り人形(もしくは手先)」と呼ばれた彼女はモルシと同胞団に抗議を行っていた数百万人のエジプト人によって最も憎まれた人間の1人だった。


彼女の顔は定期的にプラカードでオバマの隣に晒されただけではなく、ほとんどの人が知らないであろうはずの彼女が1人で攻撃に晒されていることもあった。それほどまでに彼女がムスリム同胞団と緊密であると見做されていたということを示唆している。この写真は例外的な一枚というわけではなく、これに似たプラカードが幾つも目撃されていることに注意する必要がある。





以下は、2013年6月30日の革命の前後にアラビア語のメディアで語られていた彼女とムスリム同胞団との異常とも言える関係に言及していた部分を少しだけ翻訳したものだ。

「革命に至るまでの間、パターソンはエジプト人に抗議しないように呼び掛け続けていた。彼女はコプト教の教皇と会ってまでエジプトのマイノリティであるクリスチャンに、同胞団に対して抗議を行わさせないようにと要請していた。存在自体が「アラーへの冒涜」とコプト教の信者が呼ばれていることを考えれば、モルシ政権下で最も苦しむのは誰かということは明白であるにも関わらずだ」

革命が勃発すると、彼女はムスリム同胞団が権力を握るようにと幾度も働きかけを行っていた。

50年以上に渡りエジプトの政治に携わり「アラブ世界で最も尊敬される政治評論家」であるムハンマド・ハイカルでさえ、パターソンはモルシ政権下でエジプトの首相であったムスリム同胞団のヒシャム・カンデルを擁護していたとインタビューで語っている。「いろいろな形の圧力があり、アメリカは湾岸の鍵を握っていた」。

その後、パターソンは最近任命されたばかりのエジプト軍の最高指揮官アブドゥル・ファタフ・アルシシ将軍に対して現在容疑を追求されているムスリム同胞団のメンバーすべてを解放するよう要求した。

シシがこの命令を拒否すると、エジプトは新たなシリアへと転落し内戦が勃発することになるだろうとパターソンは彼を脅し始めた。

別の報道によると、パターソンは「シシィ将軍と連絡を取り合いムスリム同胞団の指導者との対話と彼らに対する寛大な措置を要求している」と伝えられているがシシはいずれも拒否している。

Tahrir TVのライブインタビューで、政治家であり元エジプト議員のMustafa Bakariはパターソンとムスリム同胞団の副議長Khairat al-Shaterとの関係を明らかにした。

彼は、ムスリム同胞団の私邸から彼女が出入りしているのが何度も目撃されていると語っている。彼は、アラシャターに「6月30日の抗議では私たちはあなた方の側に立つ」と述べ、同胞団の指導者を「国の真の支配者」として扱ったと述べた。

「彼女は恐らくはエサム・アル・エリアンやムハンマド・アル・バルタギあたりにリクルートされた、同胞団の秘密メンバーであると考えています」と彼は語っている。

このため、6月30日の革命で重要な役割を果たしたタマロッドを含むエジプトのいくつかの革命軍は、カイロの米国大使館の前で「アン・パターソン大使の追放を呼びかける」抗議行動を繰り広げたほどだった。

それに関連してエジプトのジャーナリスト、アブドゥッラー・アル=サナウィはこのように語っている。

「アン・パターソン氏のエジプトでの存在はアメリカにとって大きな負担となっている。パターソン氏は彼女の血迷った行動が流血を引き起こしたことを鑑みて精神病院への入院が妥当であり、彼女のせいでオバマ政権は世界とアメリカ議会、ペンタゴンに対して非常に窮地に追いやられている」

その後に、エジプトの有名な新聞Youm 7(Alexa.comによると、全米で6番目に訪問されたウェブサイト)が読者にこのような質問をしている。

「アン・パターソン大使の追放に賛成ですか?」

87.93%が「はい」と答え「いいえ」は10.54%でしかなかった。1.53%が無関心だったと答えた。 Youm 7のビューワーはほとんどが世俗派もしくはキリスト教徒だ。パターソンを嫌っていたのは彼女から利益を得ていた同胞団ではなくエジプトの非イスラム派だった。

2013年には、常に民主党の側に立つことで評判の悪いForeign Policyでさえ、パターソンは「ムスリム同胞団に暗黙の支援を与えた一連の政策の重要な実施者」と共和党員の間で広く見られていると記している。このような人間がマティス将軍がペンタゴンのトップに立たせようとしている人間だ。

MORSI'S BOASTS OF A PRO-BROTHERHOOD U.S. COME TRUE

RAYMOND IBRAHIM

6月30日の革命のほぼ2ヶ月後に行われたモルシ大統領とアブデル・ファッタ・アルシシィ将軍との最終的な対話が非常に興味深いものになっている。将軍によって大統領が刑務所に入れられる前の対話の様子を(目撃者の証言を下地に書き起こしたものを)エジプトの新聞El Watanが7月5日に掲載している(原文と完全な英語の翻訳はこちら)。

MorsiとSisiの間で交わされた会話(必要に応じて私のコメントを挿入している):

Morsi:現在の状況に対する軍部の見解はどうなっている?静観するつもりか?法や秩序を守るべきではないのか?

シシ:どのような法ですか?軍は国民の意思とともにあり、報告書によると、圧倒的多数の人々があなたを望んでいません。

Morsi:私​​の支持者は多く、彼らは沈黙していないだろう。

モルシの最初の脅しは抽象的で曖昧だ。 まだ危機的状況に追い込まれていないと言っているが、彼は単に自分の支持者は「多く」、そして彼らは「黙っていないだろう」と仄めかしているだけである。

シシ:軍隊は何が起こっても国が破壊されることを許さないでしょう。

モルシ:もし私が退きたくないと言ったら?

シシ:この問題はすでに解決しており、もはやあなたに決定権はありません。尊厳を保ちたいのであれば、あなたが支持者と呼んでいる人々を使って国民を脅迫するのは止めて、流血を防ぐために彼らに家に帰るように伝えてください。

モルシ:しかし、このままでは軍事クーデターに発展するだろう。そうなったらアメリカが黙ってはいない。

確かにテクニカル的には軍事クーデターではあったが、軍は国民から大変に支持されていた。ホスニ・ムバラクに対する2011年の最初の革命よりも遥かに多い数千万人のエジプト人が新しい選挙を要求して数日間通りを埋め尽くしていた(多くのエジプト人はモルシが大統領選挙に勝ったことは一度もないと最初から主張していた)。

シシ:人々は私たちに関心を持っています。あなたは私を脅してばかりいるので率直に話しましょう。私たちには、あなたとエジプトの安全保障を損なった多くの政府当局者を非難する証拠があります。私は法廷でそのように証言し、あなたは全国民の前で裁かれるでしょう。

モルシが自分の支持者が誰であるのかを明らかにし始めると(要するにバラク・オバマとヒラリー・クリントンだったわけだが)、シシもまたモルシと彼の後ろ盾であるムスリム同胞団で構成される内閣を非難する証拠を持っていることを指摘してやり返している。最近数週間と数日の間に、この証拠の話はより広まった。エジプトの多くの政治活動家によると、オバマ政権は同胞団に対して巨額の金銭支援をしており、おそらくはオバマの弟、マリク・オバマの手に巨額の現金が渡されたと見られている。エジプト最高憲法裁判所副裁判長のタハニ・アル・ゲバリ氏は、「オバマの弟はムスリム同胞団の国際的な活動に資金を提供している主犯の1人である」と断罪している。アン・パターソン大使やグレアムとマケイン上院議員らは、モルシやエジプトの民間人に対する脅しやテロの容疑が掛けられているKhairat al-Shatterのような億万長者といった同胞団の主要なメンバーを釈放するようにエジプトに圧力をかけている。

[...]

モルシ:私を追放してムスリム同胞団が大人しくしているとでも?彼らは世界中でテロを実行する。

確かにその通りだ。「アルジャジーラ」と呼ばれているカタールのムスリム同胞団の広告塔はエジプト軍部を悪逆非道に扱い同胞団を善のように訴えるプロパガンダ・キャンペーンを24時間毎日に渡って展開している(とんでもない嘘を堂々と撒き散らすことによって)。それとは別に、同胞団とその支持者たちは特にエジプトで80の教会やキリスト教の施設、それに政府系の建物に文字通り「火を付けてまわっている」。

シシ:あなたの身がどうなってもいいのであればやってみるといい。平和に暮らしたいという人がいれば誰であれ歓迎します。そうでないというのであれば、我々はその人たちを放置しないでしょう。(先程の条件が守られるのであれば)我々は誰一人として追い出したりはしないでしょう。同胞団もエジプト人です。あなたの不快な戦争のために彼らを利用しないでください。あなたが本当に彼らを愛しているのであれば、大統領職を退いて彼らを家に帰らせてください。

モルシ:とにかく私は退くつもりはない。それに世界中の人々が私の味方だ。そして私の支持者も私を見捨てないだろう。

またもモルシは彼の支持者とは具体的に誰か、「エジプトの外の人々」すなわちオバマ政権と「私の支持者」すなわちムスリム同胞団それにエジプト内外のイスラム過激派だということを仄めかしている。

[...]

モルシ:わかったわかった、もし私が辞任すれば外国を旅行することも私を投獄しないということも約束してくれるのか?

シシ:そんなことは約束できません。あなたに判決を下すのは司法の役割です。

モルシ:わかった。君がそう言うのであれば私としては戦争を起こすしかない。どっちが最後まで生き残るか見届けようじゃないか。

シシ:勝つのは国民です。

この結果はまだ決まっていない。エジプトの運命はまだ不明瞭なままだ。はっきり分かっていることはといえば、腐敗しきったムスリム同胞団によるイスラム支配に対して立ち上がったエジプトの人々が起こした6月30日の革命をオバマ政権とムスリム同胞団、それにアルジャジーラにいたるまでが未だに貶めようとしているということだけだ。

BENGHAZI TERRORISTS: 'DR. MORSI SENT US'

Cynthia Farahat

ベンジャジにおけるテロ攻撃は、これまで考えられていたよりもはるかに深刻であったかもしれない。アメリカのメディアは完全に黙殺するつもりでいるが、このテロにはエジプト政府が関与していた可能性が浮上してきた。Youtubeにアップロードされたテロ攻撃の様子にはアラビア語のスピーカーにしか分からない重大な問題が収められている。テロリストのうちの幾人かはエジプトの方言を話している。

ビデオの1つには4人のアメリカ人が殺害されたのと大体同じ時刻に、携帯電話を携えた攻撃者の1人が映し出されていた。警備によって包囲されているはずの大使館周辺施設に犯罪者が侵入できたことをビデオは示し、テロリストははっきりと北部エジプトの方言で「Mahadesh, mahadesh yermi, Dr. Morsi ba`atna」と叫んでいる。これは「撃たないでくれ。撃たないでくれ。モルシ氏が私たちを送り込んだ」を意味する。

「撃たないでくれ」を「Mahadesh yermi」と言うのはエジプト人のアラビア語に特徴的で、ベンジャジに住むリビア人であれば「撃たないでくれ」は「Matermey」と言うだろう。

「モルシ氏」はもちろんエジプトの大統領モハメド・モルシを指す。モルシというのはエジプト人に特徴的であり他のどのアラブ諸国にも存在しない。

エジプトの政権とベンジャジがつながっていたのであれば、どうしてエジプト政府はエジプト人容疑者アボ・アハメドをアメリカ政府に尋問させなかったのかの説明が容易につく。

フォックス・ニュースによると、アボ・アハメドは2012年末にアルカイダの指導者アイマン・アル=ザワヒリと連絡を取り、「革命後のリビアの混乱に乗じて武器を購入し戦闘員を送り込むための拠点」をリビアに建設することを持ち掛けたという。

エジプトのメディアは政権に対してどうして攻撃の間にモルシの名前が言及されたのかについて説明を要求した。この質問は未だに回答されないままとなっており、アメリカのメディアでは言及されることさえなかった。

この事件をより大きな文脈に沿って解釈すると色々なことが分かる。ベンジャジにあるアメリカの大使館周辺施設が攻撃されていたのと丁度同じ日に、カイロのアメリカ大使館も攻撃を受けアメリカ国旗の代わりに大使館にアルカイダの旗が掲げられるという事件が発生した。アメリカ大使館から2ブロック離れた友人たちの話によると、エジプトの警備隊は攻撃の1ヶ月前に警備から引き上げられていたという。これまでに聞いたこともないような話だ。

著名なエジプト人の反体制派のワエル・アッバス氏を含む多くのエジプトの反体制団体の報道によると、カイロにあるアメリカ大使館周辺を取り囲んでいたのは抗議者でも何でもなく政府に雇われた「犯罪者のゴロツキたち」だという。

エジプトに住んでいる人であれば誰でも、少なくとも2つのチェックポイントを通過することなくアメリカ大使館がある地区に入ることができないことを知っている。そこではIDカードの提示、通行のための理由、その証明が求められる。10年以上もやっているのでそのことを私はよく知っている。

ムスリム同胞団(MB)がテロに関与していたとしても驚きではないだろう。 同胞団はテロを支援することを最大の活動の1つとしている。

同胞団の指導者はアルカイダとオサマ・ビンラディンのアメリカに対する攻撃を公然と支持している。2011年の5月に同胞団のメンバーで自由正義党の副会長であるエッサム・エル・エリアンはこのように語っている。「指導者オサマ・ビンラディンの暗殺は、アッラーの敵との戦争の終結を意味しない。彼が殺された方法は、アメリカの文明の醜い顔を明らかにする(と民間人を爆殺している首謀者が語る)」。

エル・エリアンがビン・ラディンに対する支持を公言しているにも関わらず、国務省の当局者は2012年12月に彼をアメリカで歓迎している。

(省略)

SAVE EGYPT BEFORE IT’S TOO LATE

P. David Hornik

イスラエルのエジプト大使Zvi Mazelは、エジプトはトラブルに陥っていると報告している。

一方、アブデル・ファッタ・エル・シシ大統領は野心的な経済改革を模索している。彼はスエズ運河の規模を倍増させ収入の大幅な増加をもたらそうとしている。彼はカイロの交通渋滞と大気汚染を緩和させるために、そして新たな商業と観光の拠点とするためにカイロの南に新しい首都を建設しようとしている。

彼はまた約2000マイルの高速道路を建設しようとしており、取り扱いの不備が原因で廃棄されていた(主なエジプトの主要作物である)小麦の貯蔵庫を清掃、再利用させようとしている。さらに石油、天然ガスの開発を進めようとしている。

石油と天然ガスの開発は「西側がエジプトを援助する決定を下すのであれば大幅に加速することができます」とMazelは語っている。「だがそのような事態はこれまでに起こったことはありません」とも語っている。

実際、2013年7月に当時国防相だった彼がムハンマド・モルシのムスリム同胞団政権を打倒して以降、オバマ政権と西側諸国がエジプトを冷たくあしらってきたことはよく知られている。

彼らは、その転覆が1400万人という歴史上で最大の平和的で自発的な抗議運動によって支持されていたにも関わらずそのようにあしらっている(URLは省略)。

彼らは、わずか1年の間に(奴隷制の復活を掲げて)エジプトの憲法を廃止しシャリア法を国法とすることによって混乱を招いた、急進的で無能な政権に抗議していた。

それにも関わらず「オバマが率いる西側諸国は」、シシ大統領のことを「民主的に選ばれた大統領」から権力を奪い取った軍事独裁者だと見做しているとMazelは語っている。モルシがイスラム独裁体制を作り上げようとしていた丁度その矢先に、(軍の助けがあったとはいえ)民主的な蜂起によって彼が転覆させられたということを認めたくないのだ、と。

西側に拒絶されたシシは他の国に援助を求めるしかなかった。中国は彼の新しい首都建設計画を引き受けている。さらに問題なことにエジプトはすでにロシアと巨額の武器売買契約を結んでおり、さらにロシアは250億ドルのエジプト北部の原子力発電所の建設を受注している。

エジプトが経済問題に苦しんでいなければ事態は簡単だったかもしれない。

それに加えて、彼は過激派の反西側テロリストによって攻撃を受けている。

「ムスリム同胞団はエジプトの地方のインフラを狙って小規模ではあるものの未だに攻撃を続けている」とMazelは語っている。そしてイスラム国も攻撃を繰り返している。最も壊滅的だったのは1年前のロシアの航空機の撃墜だろう。「そのせいで観光客がほとんど途絶えてしまった」とMazelは語っている。

経済が苦しみ続け、付加価値税(VAT)の増税のように幾つかの不人気な政策が実行されることになると、イスラム過激派によって利用される恐れのある政権交代の可能性が高まることになる。

「今は彼に時間を与えるべきです。今後数ヶ月間が非常に重要です」とMazelは訴えている。

イスラエルは安全保障と経済の両面ですでにエジプトを支援しているが、イスラエルが与えることができる援助はエジプト人のイスラエルとユダヤ人に対する敵意のせいで大きく制限されている。

今後数ヶ月間の展開はイスラエル大使も語っているように穏健派で建設的でもあるシシ政権の行方を左右することになるだろう。

トランプ大統領は9月に国連で会った時、彼のことをすでに称賛している。これは「シシとオバマの間の冷たい関係が終わりを告げてアメリカとエジプトの新しい親密な同盟の始まり」を示唆している。

実際、エジプトのメディアはトランプの勝利を歓迎した。短命ではあるが憎悪されていたモルシ政権を支援していたオバマに対する広範な怒りを反映している。

エジプトが模範的な国に生まれ変わったとか西側の民主主義に目覚めたとかそういうことではもちろんない。前述したようにイスラエルとユダヤ人に対する憎しみは平和条約が締結されて数十年も経っているというのに未だに広範に見られる。キリスト教徒に対する攻撃も続けられている。シシのムスリム同胞団と他の過激派勢力に対する取り締まりは西側が求めている基準をほとんど満たしていない。

だが現実的に考えると、西側との連携を模索していてイスラエルに対しても攻撃的な姿勢を見せておらず少なくともイスラム過激派を抑制することを望んでいるシシ政権は他の選択肢よりも遥かにましな存在だろう。

シシを支援することは、まともな政策への回帰を意味する。

以下、アメリカ人のコメント

El Cid • 7 months ago

トランプ大統領が就任初日で起こした最も重要な外交政策の動きの1つだ。シシはアラブ世界の中で残っている世俗派で最も強力な人間の1人だ。

国内政策で最も重要な動きは何か?アメリカ政府からムスリム同胞団のメンバーを追放したことだ。

aj nitzberg  Guest • 7 months ago

オバマに感謝しよう。彼の非倫理的で破滅的な政策が効果を表し始めたことに。これは、数え切れないほどにあるうちの1つでしかないのだが、ヒラリー・クリントン政権がアメリカの終わりの始まりになっていたであろう理由の1つでもある。

Peter Lounsbury • 7 months ago

オバマの8年間が私たちに与えた損害を把握するにはもうしばらくどころか後数年は掛かるだろう。トランプ大統領がオバマが大統領だった時に秘密裏に行っていたことをすべて明らかにするまでは、(損害の)手掛かりを知ることさえできないだろう。

gstarr10 • 7 months ago

Abdel Fattah el-Sisi大統領はオバマの時代をも生き残った。トランプ時代には何らの障壁も残されてはいないだろう。

aj nitzberg  gstarr10 • 7 months ago

オバマ時代を生き残るとはすごいことだ。

aemoreira1981 • 7 months ago

この記事の筆者はどうして西側がエジプトを冷たくあしらったのかその理由を知りたいようだ。それは、彼が西側を追い出してロシアと手を組んだからではないのか(もし彼がロシアと手を組んでいなければ、スエズ運河を通してカタールが天然ガスを送ることができたためシリアでの戦争は起こらなかっただろう)?トランプはエジプトに対して有利な提案をしたいと欲しているようだ。だがそれはアメリカの半分、つまり我々からの反対を受けるだろう。

Fromafar  aemoreira1981 • 7 months ago

エジプトがアメリカを追い出してロシアと手を組んだ?解釈が逆だ。オバマが彼を冷たくあしらったせいでエジプトはロシアを頼りとせざるを得なくなった。オバマの外交政策の失敗だ。

doucyet  Richard • 7 months ago

このaemoreria1981という人間は多くの保守派のサイトを荒らし回っている愚か者だ。彼は自分が投稿したものを1つも説明することができなかった。それこそが彼がそうしている理由だろう。

nightspore  aemoreira1981 • 7 months ago

このエジプト/シリアのナンセンスは一体何なんだ?エジプトを支援することはイランを抑止する意味があるというのに(君の理解不能な発言をどうして相手しているのか自分でも訳が分からないよ)。

NfldCelt • 7 months ago

ヒラリーが当選しなくて本当に良かった!トランプ政権がエジプトにどのように対処するのかまだ不明だが、ヒラリーがオバマ路線を継承するということだけは非常にはっきりとしていた。トルコがすでにそうなろうとしているようにエジプトがイスラム過激派によって乗っ取られること、それは非常に悪い事態だっただろう。

Obama’s Brother: Muslim Brotherhood Leader?

Raymond Ibrahim

エジプトの最高憲法裁判所のタハニ・アル・ゲバリ副裁判長は先週生放送のテレビ番組に出演し、エジプトに対して展開されたすべての陰謀が露呈される時が近づいていると語った。オバマ政権がどうしてあれほどまでにムスリム同胞団を援助していたのかを説明する陰謀のことだ。

彼女は、エジプトの諜報機関が保有しているという「文書と証拠」に言及し、「それらが公開される時が近づいている」と語った。それらの文書には国際的な団体とムスリム同胞団との巨額の金銭的やり取りが記録されていると説明し、「オバマの弟がムスリム同胞団の国際的な活動の資金を調達していた主犯の1人だ」と発言している。

あまりにも混乱した司会者が彼女を止め、先程言ったばかりのことをもう一度繰り返し言って欲しいと彼女に願い出る程だった。彼女は完全な自信を持って繰り返し、「必要であれば、このことを国民に知らせなければなりません」と付け加えた。オバマのムスリム同胞団に対する援助はすべてが完全に裏目に出て、アメリカと同胞団との関係がエジプトの当局によって暴かれているという有様だ。

彼女はオバマの親類のうちの誰が犯人であったのか具体的な言及を避けていたが、それは同胞団やスーダンでジェノサイドを行っているテロリストOmar al-Bashirと密接につながっているアフリカのNGOを運営しているマリク・オバマであったことが明らかとなった。