2017年8月9日水曜日

アメリカでの凶悪犯罪の98%は黒人と外国人による犯行?

Murder Most Swedish

Randall Hoven

アメリカとスウェーデンではどこが似ているのか?殺人率の低さだ。白人のみが統計の対象であればとすれば。

FBIは2011年に最新の犯罪統計を公開した。14612件の殺人(murder)、12795件の殺人(homicide)が発生していた(ここではmurderとされているが実際にはmurder and nonnegligent manslaughterのことでこれには過失致死なども含まれる。これをhomicideと呼んでいる人が多いので注意が必要。定義上はhomicideの方が数が多くなるはずだが少ないのはFBIが殺人犯の人数と被害者の人数を紛らわしく記載しているためだと思われる。前者の数字は実際には加害者の人数で後者の数字は被害者の人数だが1人の殺害に多くの人間、例えば10人が関わっていた場合などがあれば前者の方が数字が大きくなる。逆に1人の犯人が多くの人間を殺害するケースはそれよりは少ない。それだけでは両者の乖離のすべてを説明できないのだがそれはsingle victim/unknown offender or offendersを見ることにより解決する)。これは10万人あたり4.7(4.1)に換算される。この率は世界全体としては平均だが西ヨーロッパよりは高い。例えばイギリスやフランスの殺人件数は10万人あたり1.2と1.1だ。

4.7という数字はアメリカに銃が蔓延していて銃に取り憑かれたカウボーイたちで一杯の場所だというレトリックを正当化させるのに利用されている(ちなみにベネズエラの殺人率は10万人あたり45だ。ベネズエラはさぞかしカウボーイで一杯の国なのだろう)。

FBIは誰が殺人を犯しているのかというデータも公開している。FBIのExpanded Homicide Data Table 3によると加害者の人種が特定されたケースは10471件だ。黒人がそのうちの5486件を占める。割合で言えば52%だ。

その割合が残りにも当てはまると仮定すれば黒人は7656件の殺人を犯している。

だがこれで終わりではない。不法移民も多くの殺人に関わっている。FBIの統計からは不法移民による犯罪を把握することはできないが、Government Accountability Office(GAO)は25064人の不法移民が殺人のために逮捕されたと2011年に報告している。分からないのは(1)それは何年間に渡ってのもので(2)捕まっていない不法移民が犯した殺人はどれぐらいあるのかということだろう。

World Net Dailyによると、「Steve King議員(共和党)によって公開された統計によると、不法移民によって毎日12人のアメリカ人が殺害されている」という。それは1年あたりに換算すると4380になる。その数字はGAOのものとそれほど離れていない。犯罪者の全員が捕まっているというわけではないことGAOの言う逮捕者が複数年に渡るものであることを考えればなおさらだろう。

では簡単な算数をしよう。2011年の殺人件数が14612(12795)だったとする。そのうちの7656が黒人によるもので4380が不法移民によるものだ。だとすると白人が犯した殺人は2576(759)ということになる(murderとhomicideの正確な数字が黒人と不法移民では分からないのでこの2つの値のどこか)。

数字を丸めるとアメリカには2億5000万人の白人がいる。従って白人の殺人率は10万人あたり1.0(0.3036)ということになる。スウェーデンと同じくらいだ(もしくは遥かに少ない)。

1.0という数字は私たちをカウボーイと呼ぶヨーロッパの国々と同じぐらいだ。だが殺人を犯していたのは「カウボーイ」ではなかったようだ。

UCLAで歴史を教えているPeter Baldwinという人間がいる。彼はレイシストではない。彼がレイシストだというのであれば彼の記事を掲載したHuffington Postもレイシストだということだろう。彼は「The Narcissism of Minor Differences(些細な違いに熱狂する恥ずかしいヨーロッパの人たち)という本を出版した。アメリカはヨーロッパと多くの点においてそれほど異なっていないということを示した本だ。彼の本の一節にはこのような記述が見られる。

「統計から黒人を除くと、殺人率のような数字でさえもアメリカとヨーロッパには違いがなくなってしまう」

彼は黒人に対して少し厳しすぎたかもしれない。不法移民も統計から除外するべきだった。

ところで保守派は「すべての黒人は犯罪者だ」と言っているといつもの短絡思考に走らないで頂きたい。黒人の99.98%は殺人を犯していないことを統計は示している。人種に関係なく、殺人を犯す人間というのは全体のほんの一部だ。たった0.02%の人間の犯したことに基いて全体のことを語るのは愚かというものだろう。

Illegal Aliens Murder at a Much Higher Rate Than US Citizens Do

Randall Hoven

ファクトチェッカーをファクトチェックする時のようだ。ワシントン・ポストのMichelle Yee Hee Leeはトランプ大統領が「彼らはメキシコから犯罪を持ち込んでいる」と発言したことをピノキオ4つだと評した。ワシントン・ポストは「大統領は不法移民が暴力犯罪や麻薬の密売に関与していると嘘を言っている」と付け加えた。

第一に、彼は一切の数字を口にしていない。言ったのは不法移民の一部がアメリカで犯罪を犯しているということだけでそれが事実だということは私たちの誰もが知っている。

第二に、ワシントン・ポストでさえもが認めているように大統領はメキシコ人全体を非難している訳ではない。アメリカに住んでいるヒスパニックのことに言及しているのでも特にない。不法移民のことに関して語っている。

ここで問題になっているのは不法移民が平均的なアメリカ市民よりも犯罪を犯していると大統領が示唆していることだろう。ワシントン・ポストはそれに対して嘘つきだと非難している。

ワシントン・ポストの妄想とは異なり彼らの主張は間違いだということを示すデータをGAOは持っている。以下に2011年のGAOの報告書からの一節を示す(GAO-11-187, Criminal Alien Statistics, March 2011)。

「連邦刑務所に収容されている外国人の犯罪者の人数は2010年では55000人だった。州や地方の刑務所に収容されている外国人の犯罪者の人数は2009年では296000人だった。その大半はメキシコを経由している」

(SCAAPとはState Criminal Alien Assistance Programのことで、ここでは「不法移民」のことを指す)。

連邦刑務所に収容されている犯罪者に関してGAOは「2005年には連邦刑務所に収容されている外国人の犯罪者は全囚人の27%を占めていた。2006年から2010年まで経過してもその割合は25%ぐらいでほとんど変化していない」と記している。

ワシントン・ポストはこの数字が2013年には38.6%にまで上昇していると報告書から引用している。だがそれらの連邦刑務所の数字を「不法移民の全般的な犯罪のトレンドを示すものではない」と貶している。何故ならば犯罪者の多くは州や地方の刑務所に収容されているからだそうだ。

GAOによると「アメリカで暮らしている外国人の総数は1080万人の不法移民を含めて2530万人」だと2009年では報告している。

2009年のアメリカの人口は3億680万人ぐらいなので、外国人は全人口の8.25%、不法移民は全人口の3.52%に相当する(彼らは連邦刑務所の25%を占めていたことを思い出す必要がある。そして2013年にはほぼ39%を占めていた)。

彼らはどれだけの犯罪を犯しているのか?ほぼ300万件だ。ここにその内訳がある(省略)。

ここからはデータの解釈が紛らわしくなる。それらの数字を比較しやすいように率に換算するにはどのようにしたらよいか?ここではGAOの方法を参考にしている。

「不法移民が受けた有罪判決の種類を判断するため、2003年から2009年の間に不法移民が受けた判決に関するU.S. Sentencing Commissionのデータを分析した。さらに2005年から2008年のArizona, California, Florida, New York, and Texasなど5つの州のデータも分析した」

従ってここにはアップルとオレンジを比較しているという問題がある。連邦政府のデータは7年間のものですべての市民をカバーしていない。州と地方のデータは4年間のもので不法移民だけしかカバーしていない(それもSCAAPを通して報告されたものだけだ)。

殺人事件を例として取り上げよう。GAOは25064人の「不法移民」が殺人の容疑で逮捕され有罪判決を受け刑務所に収容されていると報告している。それが7年間に渡るものだとすると、殺人率は不法移民10万人あたり14.2となるだろう。4年間に渡るものだとすると、殺人率は58.0にまで跳ね上がる。どちらにしても高い数字だ。

FBIはアメリカの殺人件数は10万人あたり4.7だと報告している。ワシントン・ポストがどうしてあのような結論に至ったのかはまったくもって謎ではあるが4.7はどう見ても14.2や58.0より低い。

事件の総数で見るとどうなるか?FBIによると2005年から2008年の4年間で67642件、2003年から2009年の7年間で115717件の殺人事件があった。GAOによると不法移民がそのうちの25064件を起こしている。それは、人口のわずか3.52%から8.25%を占めるだけだというのに関わらず、外国人の犯罪者が全殺人事件の22%から37%を起こしているということを意味する。

結論:不法移民はアメリカ人よりも遥かに高い率で殺人を犯している。少なくとも3倍から10倍は高い。

そしてそれらの数字は最も低く見積もられているものだと私は考えている。一例を挙げるが、殺人事件は連邦政府によってではなくほとんどすべてが州や地方によって扱われている。よってGAOのデータは少ない年度と不法移民しかカバーしていない州や地方のデータによって歪められている。ワシントン・ポストは「連邦刑務所に収容されている囚人は全囚人の10%を占めている」と記している。

GAOが挙げている犯罪のリストの90%が不法移民によるものだとしよう(不法に入国したこと自体は除外する)。不法移民は4年間で22558件の殺人を犯している。1年あたりだと5639件で1日あたりだと15件以上だ(Steve King共和党議員などは1日あたり12件だと報告している。保安官協会などは1日あたり25件だと推計している。それらの数字がどれぐらい確かなものなのかは分からない。だがそれらの数字はGAOのデータとそれほど離れている訳ではない)。

不法移民の1日あたりの犯罪件数のデータが一部のカテゴリーに限ってではあるがここに示されている。これらはGAOが殺人の場合と同じ方法で調べたものだ。

Kidnappings:  9
Murders:         15
Sex offenses:   43
Burglaries:       71
Assaults:         131

(これらの数字とFBIの数字を比較したいと思う人もいるかもしれない。だがmurder/homicideを覗いてはカテゴリーはマッチしない。私も不快に思っていることで、プロ移民派にデータが都合よく歪曲される原因でもある)。

さらに言えば不法移民の数字は逮捕され有罪判決を受け刑務所に収容されそしてSCAAPを通して報告されたものだけに限られている。それに対してFBIの数字は解決していようともなかろうとも、有罪判決を受けていようともなかろうともすべての犯罪が含まれている。殺人などの犯罪を犯した不法移民のうちで逮捕されていないもしくは有罪判決を未だに受けていない人々の割合はどれぐらいだろうか?

不法移民の犯罪に関するデータが利用できるのは2009年までだ。奇妙なことにバラク・オバマが政権に就任した頃と一致している。そして(自称)歴史上で最も透明性の高い政権、U.S. Statistical Abstractの発行を取り止めさせ、グローバルな気候のデータを捏造させた政権は言うまでもなく少しも透明ではない(日常に笑いを求めているのであれば連邦政府のこのサイトを見てみるといい。丁度オバマケアがスタートした頃に医療保険の加入率のデータが途切れていることに気が付くだろう)。

過去6年間で事態が良くなったのか悪くなったのかは、歴史上最も透明性の高い政権のおかげで憶測することしかできない。だがこれに関してもGAOが憶測の手掛かりを提供してくれている。

「2012年以降、アメリカとメキシコとの国境沿いで保護される(保護者のいない)子どもたちの人数が急激に増加している。Customs and Border Protection (CBP)によると保護者に置き去りにされてアメリカで保護された子どもたちの人数は2012年には24000人だったのが2013年には39000人に2014年には69000人へと増加している」

2年間で187%の増加だ。

ワシントン・ポストは以下のように記している。

「移民と犯罪に関する大統領の繰り返しの発言は犯罪が移民と、特に不法移民と結びついているという大衆の認識を強めてしまう。だがそれは間違った認識だ。その認識を支持するデータは存在しないし存在するデータに至ってはその認識を否定している」

だがGAOの数字はその認識を支持している。ようするに不法移民と外国人は人口の3%と8%に相当するに過ぎないが少なくとも殺人の22%から37%を犯している。不法移民はアメリカ人の10倍以上殺人事件を起こしている。

Kate Steinleの事件(不法移民に殺害された女性)は「例外的な出来事」として貶している人もいるだろう。だがGAOはそのようなアネクドートがわずか数年の間に25064件存在するということを明らかにしている。


(FBIが公開している殺人事件の凶器毎による分類。割合としては高いもののすべてが銃による犯罪というわけではない。ワシントンポストによると、現在では銃による殺人事件は10万人あたり2.5)


(犯罪者は白人として記録されるという有名な笑い話。ちなみにこの人たちは殺人犯というわけではないが当然ながら殺人犯も白人の犯行として記録されることがある)

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