2012年10月27日土曜日

欧州はそもそも皆保険ではない?



(画像はオタワ近郊で診察を求めて列をなす人々)

下は入院患者が実際に治療を受けるまでに要した日数の中央値。
300日越えがざらにあることがわかる(画像をクリックすると恐らく拡大する)。




これをアメリカの保険に加入していないといわれる人と比較してみよう。

Changes in the Incidence and Duration of Periods without Insurance

by David M. Cutler Alexander M. Gelber

National Survey of America’s Families (NSAF)からのデータは1998-1999から2001-2002にかけて保険加入率の分布にわずかな変化しかなかったことを示す。だがこの調査には調査した期間が短いという制約がある(3年)。統計局のSurvey of Income and Program Participation (SIPP)からのデータによると80年代中頃から終盤、90年代の初期の間では保険の未加入期間の中央期間は4~8ヶ月だった。特にこれといった変化はなかった。だがこの調査はより最近のデータを用いては更新されていない。我々は保険の未加入の発生率と期間を1983-1986、2001-2004のデータを用いて調査する。全体の経済状態は2001-2004が良い。しかしどちらもリセッションからの回復期であったためバイアスを生む恐れがある。経済要因の影響を最小化しながら保険の加入と離脱に関するハザードモデルを推計する。さらに年齢と教育水準にもとづいた調査も行う。

Methods

我々はSIPPからのデータを用いる。SIPPとはランダムに抽出された世帯からなる水平的、階層的な調査だ(つまりランダムに世帯を選ぶ→この世帯をある期間にわたって追跡調査する)。参加者のすべてに調査に対する説明を提供している。1983の秋に始まった(つまり1983-1986の調査)SIPPのパネルは1983の10月から1984の1月の間に登録された個人を32ヶ月にわたって追跡している。2001に始まったSIPP(2001-2004の調査)のパネルは2000の10月から2001の1月の間に登録された個人を36ヶ月にわたって追跡している。この調査期間の差を保険未加入期間を求めるハザードモデルを推計することにより修正する。2つの調査の期間を揃えるために、保険の有無について調査する時には2001-2004のSIPPのパネルからは最初の32ヶ月のみを用いる。Current Population SurveyやNSAFよりも調査期間は長い。調査の参加者は年齢、人種や民族グループ、性別、居住地、学歴、労働所得、週あたり労働時間、資本所得、純資産、政府プログラムを受給しているか否かを尋ねられる。4ヶ月毎に回答者は世帯の各員が以前の4ヶ月に保険に加入していたか、加入していたとすればそれはどのような保険かについて回答を求められる。調査の第3期(調査開始から12ヶ月)に15歳以上の回答者は彼等の健康状態を5つの評価点(非常に良い、とても良い、良い、普通、悪い)で報告しなければならない。我々は世帯で最も稼ぎのある人物の教育水準を主な調査の対象として用いる。ここでは所得を用いない。個人の現金所得は医療給付の上昇に対して下落する可能性があるからだ。さらに教育水準は長期の所得の代理になりうる。

サンプルは1983-1986、2001-2004の各調査の開始時に61歳以下であった個人に制限されている。年齢制限は調査期間中にメディケアの受給資格を得る個人をサンプルから除外するためだ。さらに1983-1986の調査から予算の削減のために縮小されたサンプルと軍に入隊して退職支払いを受け取っているサンプルは除外する。最終的に標本サイズは1983-1986の調査で25946人、2001-2004の調査で40282人になった。

Results

表4に保険未加入期間の分布を示す。1983-1986の調査では保険未加入者の59.2%が1年以内に、73.8%が2年以内に保険に加入していた。2001-2004の調査では保険未加入者の61.7%が1年以内に、79.7%が2年以内に保険に加入していた。




Insurance Coverage and Health Status

表3に示すように2つの調査期間の間に健康状態が普通か悪いと回答した個人では保険から離脱する確率が11.2%ポイント上昇している。健康状態が非常に良い、とても良い、良いと答えた個人は3.3%ポイントの上昇だった。だがその両方の集団で保険未加入期間は短くなっている。表4に示すように2つの調査期間の間で健康状態が普通か悪いと回答した個人が1年以内に保険に加入する確率は62.8%から76.4%に上昇している。健康状態が非常に良い、とても良い、良いと回答した個人が1年以内に保険に加入する確率は51.5%から63.8%に上昇していた。


Discussion

(省略)

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