2016年7月10日日曜日

Book Review: 'The Myth of America's Decline,' by Josef Joffe

BRET STEPHENS

中国の経済がアメリカを上回るのはいつか?National Intelligence Councilの最近のレポートはその年を2030年としている。Standard Chartered Bankのチーフ・エコノミストはその年を2020年だとしている。Organization for Economic Cooperation and Developmentはその年が早ければ2016年かもしれないと言っている。

ドイツの新聞紙Die Zeitの編集者でHoover InstitutionのフェローでもあるJosef Joffeは異なる見方をしている。「The Myth of America's Decline」の中で彼が説得的に論じているように、中国はアメリカに永遠に追いつかないだろう。それは部分的には中国固有の弱さのせいでもあるが、だが本質的にはアメリカの(簡単に見落とされることではあるが)圧倒的な優位性のためでもある。

彼の主張は誤りだった過去の警鐘の長い歴史によって補強される。スプートニクが打ち上げられた1957年以降、アメリカ人はソビエトによって支配されてしまうのではないかと大パニックに陥った。アメリカは「ミサイル格差」だけでなくソビエトに「教育で敗れる」と云われていた。Paul Samuelsonはソビエトが1984年頃にアメリカを上回ると予想した。Henry Kissingerは1961年の本の中で「現実逃避だけが我々が衰退していることを認めることから遠ざけるだろう」と記していた。

同じような衰退の警告と予告が10年毎に繰り返されてきた。大抵はアメリカに新たな競争相手が現れたという馬鹿騒ぎを伴って。1979年に、Ezra Vogelは「Japan as Number One.」という本を出版した。その本は日本が21世紀を支配するというヒステリーを助長する手助けをした(コントかよ)。

1950年代のロシア人や中国人のように、日本人は勤勉だと云われていた。官僚が強固で、コンセンサスを重視する政治だと云われていた。経済は製造業に頼っておりサービスや消費よりも貯蓄を重視すると云われていた。個人的な充足よりも社会に重きを置くとも云われていた。

日本経済は停止することがないように思われた。二桁の経済成長が何年も続いた。衰退論者にとってはと、Mr. Joffeは指摘する。「パーセンテージは運命だった」、そしてそのパーセンテージは日本の方を向いているように思われた。それが運命ではなかったと発覚するまでは。1989年の12月29日に日経平均は3万9000円の最高値をつけた後、崩壊した。現在では、日経平均は1万4000円台をうろうろしている。日本経済が3回めの失われた10年に突入しているのを反映して。

Mr. Joffeの本で興味深いのは知識人と云われていた人たちの愚かしいコメントの数々だ。他に興味深かったのは衰退論がどうしてアメリカ人に受けるのかに関するMr. Joffeの説明の部分だ。『「空が降ってくる」というような言説は儲けが出るようなメッセージであってはいけません」と彼は記している。「ですがそのメッセージは太古の昔から人々の心に届きます。聖書にもあるように、破滅は輝きの裏側から訪れるのですから」。

だがこの本の核心部分は彼が中国の神話を見事に解体しているところにある。北京の経済モデルの応援団たちは中国の成長見通しに対して線形のアプローチを取る。アメリカが追いつかれるまで中国が現在のペースで成長し続けるとか呈している。だが現実には韓国や台湾、タイのように所得が低い所からスタートした国は初めは速く成長するが人件費が増加し、汚職とレント・シーキングが蔓延し、人口が高齢化し、政治的期待が高まり、輸出主導型の経済が原動力を失い始めると必然的にその成長率を低下させる。

では現在の中国を見てみよう。北京は経済の統制をやめると宣言したにも関わらずすでにそれにも失敗している。「2009年の中国の上位500の企業の利益の合計は中国共産党が支配する2つの国有企業、China MobileとSinopecを下回っている」と彼は記している。

一方で、そして数えきれないほど多くのレポートがその逆だとアピールしてくるにも関わらず、アメリカは国力を示すすべての指標で中国を上回っている。研究と開発はどうか?「アメリカは科学とエンジニアリングの論文でアジアの上位10カ国を合わせたものを上回っている。そして中国を3倍以上上回っている」と彼は記している。人口の見通しはどうか?2035年までには、人口に占める65歳以上の割合が中国はアメリカを上回る。教育ではどうか?世界の上位20の大学のうち、17がアメリカの大学だ。中国の大学は一つもない。軍事力はどうか?アメリカの海軍が縮小されたとしても中国が1隻も保有していないのに比較してアメリカは11隻の超大型空母を保有している。

そして経済の規模は、2つの国の差は拡大していくだろう。オバマが就任して以来、アメリカ経済は3%の成長率を下回ったことが幾度もあった。だがMr. Joffeが記しているように、アメリカは「数えきれないほどの活性化の源を」保有している。その一方で、中国は主に縮小していく賃金の安い労働力に依存している。

これらすべてのことが説得力のある議論を形成している。だが我々をヨーロッパ型の社会民主主義(そこでは衰退という概念が少しもファンタジーではない)へと向かわせようとする債務や給付の増加に対する議論なくしては、それも損なわれてしまうだろう。我々は、衰退がありえないから過去の困難から立ち上がったのではなくそのトレンドを反転させるようなより良い政策を選んだから衰退を回避することが出来たのだ。運が良ければ我々は再びそれを行えるだろう。だがその保証はない。アメリカの衰退が神話で在り続けるかどうかは我々に掛かっている。
Highway to Bureaucratic Hell

Labor Dayに旅行していた人であれば誰でも知っていることがある。政府は道路の管理が得意ではない。大きく改善させるためには新規のプロジェクトを10年以上も遅らせている許認可過程を一掃させてしまうことだろう。無党派の団体Common Goodがそのためのロードマップを提供している。

2009年にオバマは80兆円の景気刺激法案として知られる法案を議会に通過させた。だがインフラに用いられたのはそのうちの3兆円だけだった。インフラ工事が約束されていたように「すぐにも開始できる状態」ではなかったのはそれが幾重にも渡る環境評価を待たなければならなかったからだ。

このプロセスを監視している機関はないし、機関同士による縄張り争いが日常茶飯事だ。プロジェクトは自身を責任者/関係者だと呼ぶ連邦政府、州政府、地方政府のすべての機関のコンプライアンスに従わなければならない。例えば、サンディエゴの脱塩工場は2003年に許可申請を出して9年は待たされた。そして14の法定での訴えに耐えなければならなかった。これはカリフォルニアが現在干ばつで苦しんでいることをあまり不思議ではないものにしている。

他の例としてはNew JerseyとStaten Islandを結び150フィートの高さの大型貨物船の航行を出来なくしているBayonne Bridgeが挙げられる。ニューヨークとニュージャージーの港湾管理局は3000億円掛けて新しいトンネルを掘るのではなく橋の高さを215フィートに引き上げる計画だった。それに対する見返りとして(皮肉)、5年は掛かる環境評価を行う機関を選ぶための6か月が与えられた。規制上の意味不明なやり取りが2万ページにも及び、すでに存在するというのに橋の交通量の幾つもの調査がそこに含まれることになった。

皮肉なのは、これらの妨害行為が化石燃料の使用を増やしているということだ。大衆の消費のために投入されるエネルギーの約6%が老朽化した電力グリッドのために浪費されている。それは石炭をエネルギー源とする火力発電所200基分に相当する。同じことがハイウェイが承認されるのに掛かる6年を待つ間に交通渋滞によって消費される石油にも言える。

これらの費用は足し合わされる。パブリック・プロジェクトの6年の延期は370兆円以上掛かっていることがこのレポートによって明らかにされた。それと比較して橋、水道管などなどを更新/補修する費用は10年間に渡って、その金額の半分170兆円で済むことも明らかにされている。

Common Goodという団体はこのプロセスを2年で終わらせる提案をしている。環境評価はそれに特化した一つの機関の手に委ねられるべきで300ページ以内に抑えられるべきだ。訴えも許可が降りてからの最初の90日以内に限定されるべきだ。ホワイトハウスは州間のプロジェクトに関して「one-stop-shop」として機関に権限を与えるべきだ。

以下、アメリカ人の怒りの声。

K VOGELSANG Sep 15, 2015

80兆円の景気刺激法案のお金はたったの6兆7000億円しかインフラ投資に充てられなかった。残りは地方の政府の救済と無駄な環境評価のために充てられた。とは言え、たったの3兆円しか使われなかったというのは馬鹿げている。

Tally Lykins Sep 14, 2015

民主党が環境保護主義者と組合によって支配されている限りは改善を見ることはないだろう。

Anthony Swenson Sep 14, 2015

ここまでのコメントを見ていると、あまり触れられていないことがあるのに気付かされる。現在のところ我々は開発業者を苦しめて規制当局や環境主義者を利するように共同して動いているグループから多大な損害を与えられている。

環境評価のほとんどは環境への懸念のために行われているのではなくて、環境保護主義者が訴えてくるために行われている。規制当局は人員を増やして対応しようとするし、環境主義者(法律家によって運営されることも多い)は利益が挙がるためにどのような場合でも訴えようとする。すべての開発プロジェクトに対してありとあらゆる言い掛かりで訴えてくるため、彼らに対する注目は集まるしそのため寄付も集まってくる。

全体のプロセスがより複雑で時間がかかるようになればなるほど、官僚と環境保護主義者が利益を得るようになる。

Anthony Swenson Sep 14, 2015

このようなインセンティブがどのような影響をもたらしうるか。規制当局はこれらの訴訟に「負ける」ことが最大の利益になる。彼らは環境への調査と評価が不十分なために訴えられたと解釈する。彼らが負ければ、将来により調査と評価を行うために人員と資金、時間を今よりももっと必要とするようになる。

政府の他の官僚と同じように、彼らは失敗に対してより多くの予算とより強大な権限が与えられる(金融危機の後にも規制当局にはさらに強大な権限と膨大な予算が与えられるようになった)。

Dard Hunter Sep 13, 2015

SF-Oakland Bay Bridgeを例Aとして見てみよう。長さが2マイルほどのこの橋は1989年の地震の際に安全でない、取り替えるべきだと宣言された。この取り換えには承認されて取り替えられるまでに24年が掛かった。その費用?「6400億円」だ。信じられない?1マイルあたり3200億円だ。もしくは1マイルあたり12年だ。この話で最も面白いのは新しい耐震設備、耐震機能が施された新しい鉄筋やボルトが、建築材の錆や海水の侵食などによって使用することが出来なくなってしまったことだ。この橋が再び機能するようになるのかは時が教えてくれるだろう。ほとんど犯罪的と言ってもいい公的部門の無能さ、実際に犯罪である契約の過程、環境への異常なまでの懸念がカリフォルニアで政府の機能を停止させた。Pat Brownは墓場で嘆いているだろう。

Martin Kohlbry Sep 14, 2015

カリフォルニアといえば、州の機関であるCaltransが民間部門がこれまで行ってきたものを合計したよりも遥かに多くの無駄を行っている。

Anthony Swenson Sep 14, 2015

建設現場をドライブしてみれば、どこが民間会社のものでどこが州のDepartment of Transportationのものであるかをいつでも簡単に見分けることが出来るだろう。民間会社のものであれば全員が働いている、州の従業員のものであればほとんどの人がおしゃべりをしている。

suren rao Sep 13, 2015

もっと恐ろしいのはこの国の過半数は政府からの支配をもっと望んでいるということだ。

Martin Kohlbry Sep 14, 2015

とても信じられない。

Paul Stinson Sep 13, 2015

環境評価などやめてしまったらどうか?私たちは数世紀もの間、建築者に判断を任せてきた。今では巨大な人員を掛ける知識のない規制当局に仕事の指図を受けなければならないようになっている。私は自分の土地に道路を作った。3000万円の道路を作る許可を得るためだけに2年と1000万円が掛かった。そしてその道には小川の上に13フィートの橋を掛けることが義務付けられた。その小川の広さが2フィート以上に広がったところなどこの7年間で一度も見たことがないのだが。

道路のことはいいとして、それよりも工場の方はどうなっているのか?新しい商品が高速で組み立てられるようになっている時代に、工場を建設する許可を得るのにこれまで以上の時間が掛かるようになっていればこの国には新しい工場が建てられなくなっていくのではないか?工場を立てる許可が下りた頃には(もしくは既存のものを修正する許可が下りた頃には)、もう古くなっているのではないか?

Anthony Swenson Sep 13, 2015

すべての判断が経験を積んだ建築業者によって行われていた時代のことをよく覚えている。その頃にはこのようなナンセンスなものは行われていなかった。

Stephen Graham Sep 12, 2015

私の父は建築現場の監督官として働いていた。彼はどうでもいいような理由で馬鹿馬鹿しい費用が発生したり工事が遅れたりする場面に数えきれない程に遭遇してきたと語っていた。もし道路が沼地を横切ってしまえば、その沼地とまったく同じ大きさの沼地をどこか他の場所に作らなければならないということを知っているだろうか?

Douglas Tornese Sep 12, 2015

これは本当に私の神経を逆なでする!私の街の本当に小さな橋は耐久期限が切れたと「された」ために通行禁止されてから更新までに3年掛かった。この出来事は私の街の他の道路に大きな渋滞問題を発生させることになった!ここからが私を本当に苛つかせたことだ。ペンタゴンの建設は費用が83億円で16か月で完成した。あの建物が16か月!遥かに巨大で複雑な建物が今よりも古い道具と機械で。この記事は政府による現代の公共事業の狂気さをよく暴いてくれた。リベラル派に感謝する!進歩を妨害して私たちに不便をもたらしてくれたことに対して。
Why It Takes So Long to Build a Bridge in America

PHILIP K. HOWARD

オバマはアメリカのインフラを整備する必要性を国民に訴えるためのキャンペーンをこの夏に行った。だが資金集めは大した問題ではない。道路、橋、電力、水道、港湾らの施設が老朽化している最大の要因は果てしなく続く規制当局によるレビューだ。

インフラストラクチャーの建設の認可はRegional Plan Associationによると10年以上掛かる。Savannah Riverの川底の泥などをさらい上げる作業の環境評価には完了するまでに14年掛かった。環境に僅かもしくはまったく影響を与えないプロジェクトであっても数年は掛かる。

例えば、ニューアーク湾の入口付近にあるBayonne Bridgeの高さを引き上げる作業は新たな資金を必要としていなければ権利の買い取りも必要なく航行可能な水路の範囲を拡大させる以外はまったく認可を必要としていない。この橋の高さを引き上げることにより効率の良い新型の大型貨物船が港湾内へ入ることが可能になる。だがこのプロジェクトは規制当局によるレビューに入ってからすでに5年が経過しており、環境保護団体による訴訟によって身動きが取れなくなっている。

オバマは2009年に83兆円もの予算を要求してインフラの改善を行うと約束した。その法案は議会を通過したが大したことは行われなかった。「すぐにでも建設に取り掛かれるプロジェクト」などというものはまったく存在していなかったからだ。よってこの刺激法案のお金は大部分が州の予算の穴埋めに回されることになった。

McKinseyの研究によると、新しいインフラの建設はアメリカの国際競争力を高め、むしろ環境を保護する。それにより200万人の雇用が生まれると試算されている。だが規制をどうにかしないことにはアメリカのインフラを更新することは不可能だ。規制当局によるレビューは自由な社会のためにあるべきであって麻痺させるためにあるのではない。

他の国は他のやり方を行っている。カナダは州と地方の水準で環境評価を行っている。だが最近になって大きなプロジェクトに対しては最大でも2年の完了期限が設けられた。ドイツは意思決定の権限を特定の州もしくは連邦機関に譲渡した。今年建てられた北海の巨大な電力施設の建設の承認に掛かった時間は20か月だった。来年開設する予定になっているライプツィヒの都市トンネルの承認に掛かった時間は18か月だった。終わりのない規制から抜け出す最終的な判断に数年も掛かる国は他にない。

対照的にアメリカでは、連邦政府、州政府、地方政府による参加自由でルールのない論争を行っているようだ。参加していた全員が疲労困憊になった後で裁判所が誰に責任の所在があるのかを判断する。その影響は単に承認の遅れに留まるのではなく意思決定が共通の利益のためではなく声の大きな少数の利益団体のためへと歪められてしまう。これは民主主義の機能の仕方としては適切ではない。

アメリカでは、すでに十分なレビューがある時にも誰も決定をしようとはしない。終わりのないこの過程を避けるためには2つの方法で規制の構造を変える必要がある。

現在の環境評価は、Bayonne Bridgeの場合ではCoast Guardのように、主導機関によって行われる。それは大抵はプロジェクトの提唱機関であってそれ故信頼されていない。法律上の精査の対象にあり途方も無い証明責任が要求されるので、主導機関によるアプローチは混乱状態に陥り、しばしば数千ページもの長さの取るに足らない内容が書かれた環境保護団体による訴訟が待ち受けていることがある。

必要とされているのはどのぐらいの環境評価があれば十分なのかを決定する独立した機関だ。Bayonne Bridgeのように既存のインフラに変更を加えるだけのプロジェクトは現在のように5000ページ以上ではなく恐らく数ページで環境評価が終了するだろう。十分な時に十分だと言う独立した機関があれば、どうでもいいようなことを信じられない程長い時間を掛けて妨害行動に走るような動機もなくなりスムーズな意思決定が行われるようになるだろう(その意図がばれたらその機関の設立にものすごい反対運動が起こりそうな気もするが)。環境法の基本原則に従っていない場合にはその環境評価の範囲に反対の異を唱えることは出来る。だがその訴えは10年以上もレビューされたものではなく1年程度のものに留めるべきだ。

他の規制やライセンスの分断化された承認プロセスを変えることも重要だ。これらの承認は連邦政府、州政府、地方政府の間に官僚のパロディのように跨っている。協力体制もほとんどなく環境上や他の要請と頻繁に重複している。現在、調査に入ってから12年目が経過しているマサチューセッツ州の湾岸のCape Windプロジェクトは17の異なる機関によるレビューを必要としている(怒りで涙が出てきそうだbyアメリカの恥オバマ)。ワイオミングの風力発電所から北西部へと電力を供給するGateway West電線の建設にはその電線が通過するアイダホの(いくつあるのかは知らないが)すべての郡からの承認を得る必要がある。2007年に始まった承認プロセスは2015年に完了する予定になっている。

この解決法は他の国が「one-stop approvals」と呼んでいる機関を設立することだ。一つの機関に権限を与えることは(州や地方のものを含む)承認のスピードを劇的に速めるだろう。

ドイツでは、地方のプロジェクトは(国家的要素があろうとも)地方の機関が決定を下す。そして全国的なプロジェクトは国の機関が決定を下す(地方に懸念が寄せられていたとしても)。この方法はすでにアメリカでも行われている。州間に跨る新しいパイプラインの建設はFederal Energy Regulatory Commissionの管轄下にある。

特別利益団体、特に何もかもを止めてしまうだけの力を持った集団は、権力者が信頼を悪用すると大衆の恐怖を煽ってこの動きを阻止しようとするだろう。だが誰かに責任を負わせることは信頼を必要としない。私は誰も引用していない。だが民主的な責任と法の監視のシステムと共存することが出来る。我々が共存できないのは終わりのないレビューの繰り返しだ。我々はこのプロセスをやめさせる必要がある。

以下、アメリカ人の怒りの声

Rob Wight Nov 25, 2013

私たちは数年前にミネソタの北部に数個の山小屋を建設した。私たちは湿地帯から80フィートの砂利を敷き詰めた遊歩道を建設するのに郡、州、Army Corpsからの承認を得なければならなかった。Army Corpはそこに橋を掛けることを要求した。そのプロセスには2年掛かった。それには湿地帯に関する3つの異なる権利が関わっていた。私の妻は堤防に関してニューオリンズが問題を抱えていると示唆していた。恐らくそれが彼らの注意を私たちの遊歩道から逸らさせたのだろう。

JOSEPH MICHAEL Nov 25, 2013

私たちの街は景気刺激法案のお金を駅前の駐車場を拡張するのに使用した。記憶が確かであれば、その承認プロセスには16の異なる機関が含まれていたように思う。そして36の異なる書類がすべて記載されなければならなかった。

その拡張には完了するまでに2年掛かった。そして今では週末に4台から5台の車がその駐車場を利用している。

Justin Murray Nov 24, 2013

彼らに一時間だけ与えて、彼らがそれに反対する確固たる理由を提示できなかった場合には、そのプロジェクトは承認されたということにすればいい。

Timothy corrigan Nov 24, 2013

このレビューを効率的にしてしまったら、役に立たない政府の職員たちは一体何をすればいいと言うのか?

ROBERT CABRERA Nov 24, 2013

この喜劇は地方でも行われている。

リモデル、古くなったテナントの廃棄には長く、ストレスが掛かり、経済に悪影響を与え、ひいては規制を行っている規制当局自体の給料を引き下げる建設認可が必要とされる。

JP Koch Nov 24, 2013

私の街では、北への州間ハイウェイから南の州の高速道路とを結ぶバイパスが建てられていた。10マイルを拡張するのに10年は掛かった。南側の脚の部分はこの夏に完成したばかりだ。だが郡と州の高速道路の建設業者はコンクリートが腐食した北側の脚の部分を修理するために500億円が必要だろうと先月語っていた…

L Stevens Nov 24, 2013

地震があった後のサンフランシスコの橋の半分を補修するために24年の承認を必要とするというのは規制の恐怖を物語る象徴的な例だろう。

その一方で、規制「産業」はあまりにも巨大でその収入を減らそうとする変化には全力で持って阻止しようとするだろう。合理化されると職を失う弁護士、会計士、コンサルタント、機関のことを考えてみるだけでいい。

税制が複雑になり、その度に「専門家」が必要とされるのは同じような理由だ。

この病気のことを「regulosclerosis」と呼ぼう。

William Sweeney Nov 24, 2013

ここリッチモンドでは大衆公園の小川を流れる木製の20フィートほどの小さな橋を再建するのに調査して、レポートを書いて、ミーティングを行って、承認を得るなどをするのに1000万円以上のお金と5年が掛かる。

この橋の実際のコストは100万円ほどで架けるのに掛かった時間は週末だけだった。

William Mckee Nov 23, 2013

EPA(アメリカ環境保護局)による一切の妥協のない、「開発を何が何でも阻止したい」アプローチは我らがミット・ロムニーによって問題に挙げられた。当時、彼はこのアプローチを止めさせたいと語っていた(当然メディアからは袋叩きにされた)。規制当局の仕事は開発業者が環境にやさしい形でプロジェクトを行う手助けをするべきであって、止めさせることではないと語っていた。その時、私は愚かにもロムニーが選挙で勝利した白昼夢を見てしまった。

Mike O'Hagan Nov 23, 2013

Mr. Howardの近所に石油精製所を建設する案に1票を投じる。彼の子供や孫達がルイジアナやテキサス、ワイオミングと同じ大気の質に曝されるように。彼の近所に橋を建設して彼の財産を土地収用権で没収しよう。彼の家の下に欠陥溶接で固めたパイプラインを建設しよう。これらすべての素晴らしいプロジェクトに連邦政府、州政府、地方政府のレビューをすべてスキップさせよう。そうすれば彼の論調も変わるだろう。

JAMES MCFATRIDGE Nov 23, 2013

誰も必要な規制を廃止しようとは提案していない。今話題になっているのは包括的で重複をなくした一つの機関の下に連邦政府、州政府、地方政府の規制を統合しようという話だ。

William Sweeney Nov 24, 2013

鳥たちを虐殺している風力発電がどうやってその厳格なレビューを通ったというのか?

William Mckee Nov 23, 2013

Mike、普通の感覚に則った合理的な規制ではないから批判されている。やりすぎ、無駄が多すぎ、コストが掛かり過ぎ、過剰な規制だ。

TIMOTHY HOPKINS Nov 23, 2013

ニューヨーク州とEPA、カナダはニューヨークのBuffaloとカナダのFort Erieとを結ぶPeace Bridgeを再建するのに20年間も言い争いを続けている。数えきれない程の橋のデザインが(大気汚染とかではなく)空気の質への懸念から鳥が下や上部を通過するのではなく建物に飛び込んでくるのではないかという懸念に至るまでありとあらゆる理由で却下された。橋に突撃することを避けられない鳥は絶滅の危機に瀕しているだろう。

Macrena Sailor Nov 23, 2013

だがそのEPAが絶滅危惧種を含む数十万の鳥たちと大量のコウモリを1年間に殺害している風力発電にはOKなのか?

Jay Campbell Nov 23, 2013

そのような常識的な改革は行われることがない。政府の職員は彼らの仕事を保証する規制に大きく依存している。彼らやこの国の環境保護を名目にした寄生者は進歩を阻害するためであればどのようなことでも平然と行う。オバマの側近やその仲間たちのような寄生者たちは自分のためにこのような吸血行為を行っている。

2016年6月5日日曜日

ブラッド・デロングは対数を習わなかったのか?

Delong and Logarithms

John H. Cochrane

ブラッド・デロングはウォールストリートジャーナルに寄稿した私の記事を批判している。彼は私の書いたグラフを批判し、


自分で代わりにグラフを作成した。


(どうしてブラッド・デロングの解釈は適切ではないのか。第一に、上のグラフとは違ってこのグラフは対数グラフになっていない。第二に、x軸がスケール一定とは限らない。第三に、このグラフには(上のグラフにもだが)時間軸が存在していない。このグラフはこの指数を83から100にまで上昇させると一人あたりGDPが即座に1600万円を超えるということを示しているのではなくて83の時よりも100の時の方が(いずれは)1600万円に速く到達する(はずだ)ということを示している)

彼は私が作成したグラフと彼のものとの違いをいつものように紳士的な抑制のきいた口調でこのように表現した。

『「信じられないほどにお粗末!!」、「凄まじい愚かさ」、シカゴ大学とウォールストリートジャーナルは非常に深刻な質の問題を抱えている』

などなどだ。

ブラッドの記事を読んだ人は、あのグラフを作成するのに私がどんな不正を用いたのだろうと不思議に思うかもしれない。ここでその秘密を皆さんにお教えしようと思う。それはシカゴ大学流の数学的技法でシカゴ大学ではこのように呼ばれている。

対数だ。

私は所得の対数とビジネスのしやすさ指数とをグラフにプロットしたのだった。

ではこれがどれぐらい悪いことなのかを見ていこう。成長理論は当然経済成長を取り扱っているので対数なしではとても大変になる。成長率を考えるに際して、所得の対数で回帰分析を行うことが作為のある右翼のトリックだというのであれば成長理論と実証経済学の99%を捨て去らなければならないのではないかと憂慮している。

先程のグラフをもう一度見て欲しい。この作為ある技法(対数)が教えられている初年度の計量経済学の授業を受けている学生を連れてきて私のグラフと彼のグラフのどちらが適切か、そして水準でのフィットと対数でのフィットのどちらが適切かを教材にしてみてもいいだろう。

彼はすべての実証研究に当てはまる一つの妥当な懸念を挙げた。内生性だ(リンク先を見てもそのようなことは書かれていなかったような…)。そのグラフは相関があることを示してはいる。ビジネスのしやすさが良いビジネスを生むのであって良いビジネスがビジネスのしやすさを生むのではないということをどのように知ればよいだろうか?(ヒント、中国)。

私はこのことに記事の中では触れなかった。それは単にスペースが足りなかったためだ(950単語では少なすぎる)。だが以前の記事の中ではそのことに触れている。

「ここで見られる相関を逆因果だとして批判する人もいるだろう。だが北朝鮮と韓国、東ドイツと西ドイツ、それに中国やインドの例を見て欲しい。これらの例は悪い政策が本当に甚大な被害を起こしうるということを物語っているように思われる。そしてアメリカとイギリスはGDPが遥かに低かった時から非常に素晴らしい制度を持っていた(Hall and Jonesは操作変数法を用いてこの種の内生性を制御している)」。

(その記事は見つけるのが難しいというわけではない。私はウォールストリートジャーナルの記事の中にリンクを張っておいた。もし「ジョン・コクランは内生性に関して何か云わなければならないことがあるのではないか」と疑問に思った人がいるのであれば(当然の疑問で、私はすべての授業毎に2回ぐらい尋ねている)、メールをして欲しい)。

その記事では良い制度が経済成長にどれぐらい重要なのかを調べた多くの研究を紹介していた。

だが以下のように考えてみて欲しい。北朝鮮や東ドイツはまず貧しくなってから悪い制度を持つに至ったのか?イギリスやアメリカはまず豊かになってから法の支配や財産権の保障などを構築していったのか?逆因果がすべてという説明は本当に妥当に思えるだろうか?思いつく限りのすべての歴史的事例がその逆を示していることに気が付くだろう。

内生性は経済学ではよく問題になる。だが彼がしているような見当はずれの主張(この相関は明確に逆の方向性がすべて)は(あまりにも馬鹿馬鹿しすぎて考えたこともなかったのだが)どう見ても成立していないように思われる。

それ以前に彼はグーグルのことや、事実を確認するということ、簡単な確認のためにメールをするということを知らないのだろう。そうでなければ私がすでにシカゴ大学に在籍していないということを知っているだろうから。

大学が「質の管理」をしなければならないというのは言論の自由が制限されつつある現在では興味深い考えだ。Brad、君が望んでいるものがどんな結果を招くかをよく考えてみた方がいい。君のような人間の倫理を管理することが真っ先に挙げられるかもしれない。

まだ誰か関心がある人がいるのであれば私のウェブサイトにデータとプログラムをいつでもダウンロードできるようにしてある。このようなことが論争になるとは思ってもいなかったのできちんと整理されてはいない。だが少なくとも私がどのような手続きをしたのかは記述されている。

更新1:多くのコメントとツイッターの嵐から、読者の多く、訓練を積んだはずの経済学者までもが、この基本的な事実を理解していないことは明白だ。私のグラフはこの分野の数百の論文から得られた結論をきれいに表している。これが決定的な証拠だと言っていないし特に優れたものだと言った覚えもない。それは他に存在する。このグラフはJones、Acemoglu、Barro、Klenow、そしてその他多数を含む、成長理論からの結論を簡易に表現しただけに過ぎない。制度は経済成長に重要だ。悪い統治は驚く程の悪影響を経済成長に与える。このことをもっとはっきりとさせるべきだった。だがこの分野は平均的な経済学者にはよく知られたものだと思っていた。

更新2:所得の対数とビジネスのしやすさ指数との回帰にはEvan Soltasが暗黙的に指摘したように深刻な特定化の誤りが含まれるように思われる。私はこの指数のことをこの理由のために「単純」で「原始的」と呼んだ。だが再び、この自明と思われた点にも説明が必要なように思われる。

世界銀行が作成しているこの指数は大部分が起業のしさすさに重点が置かれている。アメリカでの規制の厳しさのことを考えるとそれは遥かに広範囲な現象、税制であったり、社会保障プログラムによるディスインセンティブであったり、医療や金融に対する連邦政府の関与の大幅な拡大であったり、オバマ政権による縁故主義であったり、オバマ政権による法の支配の無視などなどが影響してくる。これらは大企業にも影響を与えるがそれよりも中小企業に特に影響を与える。

国際間のデータを見てみれば、ビジネスのしやすさはこれら広範囲の法律的、規制的問題と相関しているだろう。全体的に悪い制度を持つ国はこの指数でも悪いことが予想できる。だが明白なことに、より大きな問題である法律的、制度的問題を解決することなしにこの指数だけを改善させても経済に対してそれほどの大きな改善は得られないだろう。

他の多くの記事で記した規制の問題は、この理由だけを取ってみてもこの指数が扱っている範囲を大きく超えている。

更新3:自明なので説明する必要もないと思っていたことに説明がまた必要なようだ(これで3度目だ)。数人のコメンテーターがこの指数をどこまで拡大できるのかに疑問を呈している。あるポイント以上からは制度が完全になるのでその改善からは新たな所得は生まれないだろう。そのポイントとはどれぐらいか?90?100?110?それは分からない。だが局所微分をしてみてもそれでも十分に高い。このラインを100まで延長できないと考えたとしても、82から83への改善はそれでも非常に大きな効果を持つ。

2016年5月23日月曜日

クルーグマンはグラフの読み方が分からないのか?

How Margaret Thatcher turned around Great Britain, in one chart

James Pethokoukis

「私の仕事はイギリスの社会主義化を止めることだ」- マーガレット・サッチャー

先日死去したイギリスの元首相はそれ以上の仕事をしたようだ。鉄の女と呼ばれた彼女は数十年にも渡って実施されイギリスをヨーロッパの病人へと変えた社会主義政策を転換させた。そしてその過程で、彼女はアメリカの自由主義革命にも影響を与えることになった。彼女は民営化、税率の引き下げ、労組の解体を行った。スコット・サムナーが記しているように、「イギリスの経済は他のヨーロッパの国々に対して数十年間も後れを取っていた。成長率はヨーロッパの大抵の国よりも低かった。サッチャーの改革は世界の中でも最も包括的なもののうちの一つだった」。

イギリスとフランスの一人あたりGDPの推移の比較をしてみよう。1979年にイギリスは市場を重視するようになったが、フランスはそうでもなかった。イギリスはフランスよりも10%貧しかったのが最終的には10%豊かになっている。


以下、寄せられたコメント。

Dolph Santorine April 8th, 2013

機能する経済政策を実行に移すには強力なリーダーシップが必要とされる。20%の相対的なGDPの改善というのはケインズ派も社会主義者も(恥を知っていれば)一度でも達成したことがあるとは言えないものだ。彼女の成功によりアメリカにおいてケインズ派を含む社会主義者たちの主張を論破することがより容易になった。欲を言えば、彼女への追悼が社会主義的政策は機能しないということを現政権に分からせてくれればいいのだが。

FactsB4Fiction April 8th, 2013

そのチャートは逆のことを示している。サッチャーが1990年に退位した時、そのギャップは少し拡大している。イギリスとフランスとの差は間違いなく埋まっていない。イギリスはブレア首相の最初の任期後と債務による公的支出の拡大だったため保守派から現在では「持続不可能だった」と凄まじい嘲笑を浴びているブラウン首相の時になって初めてフランスを上回った。現在の差は再び縮小しようとしており、そして為替レートの変動の範囲内に十分にある。

Is Paul Krugman seriously not going to give Thatcherism credit for the UK turnaround?

James Pethokoukis

Paul Krugmanによる何と奇妙なサッチャー評だろうか。

1)彼は1970年代のイギリスは「大きな経済的問題」を抱えていた国だったと認めている。

2)彼は「大転換」があったことも認めている。

3)だが彼は「イギリス経済の大きな改善は1990年代の中頃まではデータに表れていない。これほどまで実現が遅れた改善に対して彼女のおかげだと言えるのだろうか?」とサッチャーの経済政策によるものだということは一向に認めようとはしない。

イギリスの経済とフランスの経済を再び比べてみよう。1961年にはイギリスの一人あたり実質GDPはフランスの104%だった。1978年までにはこれがフランスの81%にまで低下してしまう。


(*このグラフを見てクルーグマンに賛同する自称経済学者中村亮)

何という衰退だろう。

そしてイギリスが自由市場経済を重視しようと決断した1979年の5月にサッチャーが登場した。フランスはそのままだった。

上のチャートが示すように、イギリスはほとんどその直後にフランスに対する失地を回復していった。1990年までにはイギリスの経済はフランスの87%だった。それから(サッチャー首相の政策をほとんど受け継いだ)保守派の政権による7年間が続き、イギリスの経済はフランスの94%にまで迫ることになった。だがここにKrugmanの結論がある。

「サッチャーによる政策(税率の引き下げ、労働規制などなど)が経済をよりフレキシブルにしそれによりブレア首相の下での好況が可能になったという可能性も考えられはするのだろう。だがそこには恐ろしいまでの長いラグがある」。

トニー・ブレアは1997年の5月までは首相になっていない!その頃までにはすでにイギリスはフランスに対する衰退分のほとんどを取り返していた。

最後の段落が示しているように、Krugmanは1970年代のイギリスは重税と過剰な規制と労組によって苦しめられていたということを本当は知っているのではないかと思う。サッチャー主義が完全な対策というわけではないにしても必要だったということもだ。だが現在の極めて党派主義的な世界では、そのようなことを認めてしまえば彼のリベラル派としてのブランドが地に落ちてしまうのだろう(しかもレーガノミクスが成功だったと暗に認めてしまうことになる)。彼とニューヨークタイムズのリベラル派の読者にとっては不幸なことだった。

以下、寄せられたコメント。

FactsB4Fiction April 9th, 2013

あなたが示したチャート自体がブレア/ブラウン政権時代に巨額の財政支出を行った後になって初めてイギリスがフランスを上回ったということを示している。

C H Ingoldby April 9th, 2013

そのグラフは保守派の自由主義政策の下でイギリスとフランスの間にあった大きな差がフランスが相対的に衰退しイギリスが相対的に繁栄したために縮小し始めたことを示している。

それ以前に、君は20年以上に及ぶ優れた経済的パフォーマンスはすべて無視して2つのラインが交差したただ一点のみで評価しろというのか?そのような主張は馬鹿げているように思われる。

SeattleSam April 9th, 2013

Krugmanは結論した。もしサッチャーがイギリス経済を救ったと主張する人が現れたら、何故その救済は実現するのにそれ程時間が掛かったのかとその人に尋ねるべきだと。

彼は同じ問い掛けをフランクリン・ルーズベルトに行ったことが一度でもあるのだろうか?

Ron April 9th, 2013

1)何かこのグラフには私の目には映らないように出来ているものでもあるというのか?Krugmanには1981年直後から始まり1988年まで継続した上昇が見えていないのか?

2)この比率の上昇のどれぐらいがイギリスの改善によるものでどれぐらいがフランスの衰退によるものなのか?イギリスが実際には改善しておらずフランスが衰退したことによってこの比率が上昇したという可能性もあると思う。

Shawn April 9th, 2013

Krugmanはとっくの昔にまともに取り合ってもらえる地点を通り過ぎた。彼はケインズ経済学に疑問を呈する経済学者たちには少しの敬意も示さなかった。彼の言うところでは、それらの経済学者たちは無能で、腐敗しており、精神病であるとまで云われていた。

それがまったくの逆だということは(これを見れば)どんな愚か者にでももう理解できるようになったのではないか?

Counterfactual: What would have happened to the UK economy without Thatcher?

James Pethokoukis

サッチャリズムを好もうともそうでなかろうとも、誠実さを欠片でも持っていると主張するのであれば、イギリスが1960年代や1970年代のひどい衰退から立ち直ったということを認めなければならないだろう。このチャートは無視することが出来ない。


だが左翼はこれがサッチャリズムのおかげだと認めることをひどく嫌っている。以前の記事に記したように、Paul Krugmanは「サッチャーがイギリスの経済をよりフレキシブルにし、それによりブレア政権の下での好況が可能になったという可能性もあるかもしれない」とだけしか認めていない。単に「可能性があるかもしれない」と認めただけだ。

サッチャー首相は自由市場の代わりとなるものは存在しないとよく言っていた。確かに、まともなものはないだろう。だが1979年頃には政治的に代替となるものは存在した。労働党だ(現在では旧労働党と呼ばれる)。

ではサッチャーと保守派政党が1979年の選挙で敗れていればどうなっていたか?労働党の1979年のマニフェストを見てみよう。そこにはこう記されている。「我らの道がより良き道」と。(イギリスが衰退していることは誰の目にも明らかであったにも関わらず)左翼はこれまで通りの政策しか提案していなかったことがよく示されている(というより、むしろそれが目的だから)。強力な労組、政府による産業の国有化、懲罰的な課税。北海油田から少しばかりの支援を受けた社会民主主義によって扇動されるケインズ主義。マニフェストの内容を見てみよう。

「産業に対する我々の戦略は労働組合や企業の経営部門との国家的なパートナーシップを通じて富と雇用を生み出すことにある。保守党は雇用を生み出すために、上昇し続ける価格を抑えるために、産業を近代化するためには政府が主導しなければならないということを認めないだろう。彼らは19世紀の自由市場の時代に戻るためにイギリス国民の未来を喜んで賭けに差し出すだろう。彼らは自動車時代におけるファーシング通貨のように危険なほど時代遅れだ」。

そもそもとしてイギリスを衰退させてきた労働党の取るような政策が市場重視の保守派政権の下で起こった悲劇の転換と同種のものを起こすことが出来ただろうか?あり得ない。

悲劇がさらに数年間続いた後で旧労働党からより市場重視の新労働党への転換が恐らくは発生したかもしれない。だがブレアの労働党の方針転換を可能にしたのはサッチャーの成功だった。レーガン大統領の成功がビル・クリントンと新しい民主党を生み出したのと同じように。

もしくはアメリカの1980年代の成功がイギリスを刺激し1990年頃には自由市場による改革を結局は促したかもしれない。だがその頃にはイギリスの衰退は今よりも遥かにひどいものになっただろう。1979年のイギリスの一人あたり実質GDPはアメリカの64%だった。イギリスの成長率が上昇していなければ1990年までに限定してさえもこの比率が実際の数字である68%ではなく50%になっていただろう(現在は73%)。もしそうなっていればイギリスは最早先進国ではなく(現在でもとても先進国とは呼べないというのに)第三世界に遥かに近くなっていただろう。

その意味では、他に選択肢は存在していなかった。

FactsB4Fiction April 9th, 2013

自身のグラフがイギリスとフランスがGDPで見て大体同じぐらいの水準になっているということを未だに無視している。イギリスにはサッチャーがいてフランスにはいなかったというのに。そしてイギリスは新しい労働党の下でのみ初めてフランスに追いついている。それにここでは為替変動が無視されている。

Greg April 9th, 2013

例えば、一人が1億円を持っていたとする。もう一人は1万円からスタートしたとしよう。億万長者の方は1億円をすべて貯得していた。もう一人は働いて1万円を1億円にまで増やした。だが両者は同じ水準なので、もう一人の労働の方は全く評価に値しないとでも言うのだろうか?

FactsB4Fiction April 9th, 2013

ヒトラーによって占領されたフランスが、1945年から1960年までの開放による15年間でかなりの部分回復を見せたとしてもイギリスに対して「億万長者」になったと言うのか?

Greg April 9th, 2013

私が言ったことを正しく言い直さなければならないとすれば、君が言っていることは単なる藁人形に過ぎないということが理解できるだろう。

私が言っていることは、君が展開している主張の前提(同じ水準に達したこと以外は重要ではない)の愚かしさに関してだ。私のコメントはイギリス/フランスと直接的に関わっているのではない。君のコメントは君が思っているのとは異なり核心を突いたものでも何でもないと単に述べているだけに過ぎない。

FactsB4Fiction April 9th, 2013

私の主張はそのグラフが記事の反対のことを示しているということだと言っている。フランスはサッチャーに代表されるような自由主義政策を取ってこなかった。だがイギリスとは同程度のGDPを達成している。ブレア/ブラウンが初めてイギリスをフランスよりも上位にしている。フィクションの前の事実だ。これはイギリスとフランスの話でそれがこの記事のすべてだ。フィクションの億万長者の話ではない。だというのに君は「イギリス/フランスと直接的に関わっているのではない」とコメントしている。どうして理解できないのか?

Greg April 9th, 2013

「どうして理解できないのか」だって?

それは君の論理があまりにも愚かすぎるからだ。間違った前提からは正しい結論に辿り着くことは出来ないだろう。

それに君が思っている「事実」というものは甚だしい単純化によって構成されているに過ぎない。ここに実際の事実がある。

・1960年にはフランスとイギリスのGDPは大体同じだった
・1960年から1980年の期間にイギリスのGDPはフランスに対して大きな落ち込みを見せた
・1980年から2005年の期間にイギリスの改善率はフランスを大きく上回った
・それによって2000年にフランスとイギリスのGDPは再び同じぐらいの水準になった

比較すると君が事実と認識していることは、
・1960年には両国のGDPはほとんど同じ
・2000年にも両国のGDPはほとんど同じ
これだけ

「サッチャーがいなかったフランスがどうしてイギリスと同じGDPの水準なのか?この筆者の中心的な主張に対する補強とは到底言えない」

君が無視している事実を無視しなければいいだけの話だ。

FactsB4Fiction April 9th, 2013

私の主張はこのグラフが甚だしく単純化されていて筆者の意図とは反対のことを示していると言っている。

・開始時点でフランスとイギリスは同地点にいた
・最終地点でもフランスとイギリスは同地点にいた

フランスは国家による統制が続けられたままだった。イギリスはサッチャーの下で国家による統制が廃棄された。それにも関わらずフランスの方が上位にいた。イギリスは国家による統制に回帰したブラウンの労働党の下で初めてフランスに追いついた。社会主義のフランスがイギリスの上を行っていた。サッチャーのイギリスはフランスに一度も追いつかなかった。労働党のイギリスがそれを行った。だがそれを維持することは出来ない。

イギリスもフランスもどちらも同じぐらい酷いことになると言うことは出来るだろう。だがそのチャートは将来のことは何も示してはいない。少なくともそのグラフ上では、フランスはサッチャーと逆の政策を取りながらもイギリスと同程度のGDPであり続けた。

どうしてイギリスを(自身のデータによると)自由市場を拒絶しながらも遥かに上回ったフランスと比較するのか?

どうしてポール・クルーグマンの言うことは面白いように外れるのか?

How many more populist “victories” can we survive?

Scot Sumner

Salonは2月のギリシャ政府との合意をギリシャの勝利だと報じている。

「ギリシャの左翼政権が債権者との新たな合意に達した1週間後、Paul Krugmanはこの合意に対する左翼側の批判は誤りに基づいたものだと主張している。実はギリシャ側が勝利した内容だと議論している」。

そしてそのPaul Krugmanがアルゼンチンの「特筆すべき成功」と議論していたものに関する2012年のコラムがある(今回も爆笑もののコントが展開される)。

「アルゼンチンに滞在していたMatt Yglesiasは1ペソを1ドルと等価に保つ政策からの離脱以降の同国の回復から得られる教訓と題した記事を書いた」

「ここでは他のものを付け加えたいと思う。アルゼンチンに関する報道は基本的な事実を正しく理解するのに、通説と呼ばれているものがどれ程有害な効果を与えているのかを示す好例となっている。我々は頻繁にアイルランドが不況から回復したという話を聞かされる。実際には回復など存在しないというのに。彼らの論理はこうだ。アイルランドは回復しているはずだ。何故ならばアイルランドは正しいことを行っている。よってそれを報道するだけでよい」

「その逆に、アルゼンチンに関する記事はほとんど悲観一色だ。彼らの論理はこうだ。アルゼンチンは無責任だ。アルゼンチンは幾つかの産業を再び国有化している。ポピュリズムを極端なまでに扇動している。よってアルゼンチンの経済は非常に悪いに違いない」。

公平を期すと、アルゼンチンは金融緩和の後にその経済は急激な回復を見せていた(その点では彼に同意している)。対立があるのは彼が長期の問題であるサプライサイドの問題を極端なまでに軽視していることだ。すでに長期が到来しているみたいで、アルゼンチンの経済は彼が3年前にコラムを書いて以降不況(デマンドサイドとは関係がない)に陥っている。そして2015年は悲惨なことになるだろう。

同じコラムの中で、彼はアルゼンチンよりはましなもののそれでも絶望的なほどに国家統制主義的なブラジルの経済のことを褒め称えている。

「明らかなことに、ブラジル経済は非常に好調だと私は考える。そして経済政策に関するリーダーシップも適切だ。だがどうしてブラジルは印象的な「BRIC」だと評価されてアルゼンチンはいつも軽んじられるのか?実際には我々はその理由を知っている。だがそのようなことは経済のレポートの中には記述されないだろう」。

どうしてアルゼンチンが軽んじられているかだって?それは恐らく我々の中にはケインズ派のようには需要に取りつかれていない人間がいるからだろう。我々はアルゼンチンに大きな問題が迫っているのを知っている。ところで、この惨状を生み出した(頭の弱い人間だけがヘッジファンドに債務の返還を求められたせいだと思っている)アルゼンチンの大統領は2010年に死去して、彼の妻にこの惨状が引き継がれた。ブラジルも彼が褒め称えて以降、非常に危険な状態に陥っている。そして以下のリンク先の経済予測は2015年のブラジル経済の見通しを「恐怖だ」と呼んでいる。需要を刺激することによってこの状況が改善されるわけでもない。ブラジルとアルゼンチンはすでに高率のインフレに襲われている。

ここに来年度のラテンアメリカ経済の見通しがまとめられている。

「多くのラテンアメリカ諸国は今年も成長率の二分化に直面するだろう。端的に表現すると、2つの海洋で区分できるということが出来る。大西洋側でありラテンアメリカで最大の大きさを誇るアルゼンチン、ブラジル、ベネズエラは0.2%、0.9%、5.5%経済が縮小するだろう。それがLatinFocus Consensus Forecastsのパネリストたちの予想だ(アルゼンチンはインフレ率を大きくごまかしているので実際のアルゼンチンの不況はもっと凄まじい可能性がある)。その一方でチリ、コロンビア、メキシコ、ペルーは2.9%、3.4%、2.9%、3.5%経済が拡大するだろうと予想されている」。

ちょっと待ってほしい。どちらの側がより国家統制主義的な経済だったかを今思い出そうとしているところだ。ラテンアメリカの大西洋側だったか太平洋側だったか?この次の段落にはその答えが書かれている。

「この分割はこれらの国々がまだ不況ではないアジアの方を向いているか未だに不況のヨーロッパの方を向いているかということにはほとんど関係がない。この違いは資源価格の高騰と外国からの直接投資の流入によって生み出された好況だった頃に取っていた各国の政策に大きな違いがあったことが最大の理由だ(よくやり玉に挙げられるしばき上げと呼ばれるものが勝利するという当然ながらも皮肉な結果に)。この好況期に、大西洋側の国々は支出を増やす一方で貯蓄をせず逆にラテンアメリカの太平洋側の国々は投資を増やした。さらにラテンアメリカの大西洋側の国々は政府が積極的に経済に介入を行った結果企業の利益は減少し投資が妨げられることになった。これとは対照的にラテンアメリカの太平洋側の国々は投資家が歓迎するような構造改革を行っていた」。

だがイデオロギーにとらわれていない人には強力に見える上記のような証拠も何の意味も持たない。共和党のサプライサイド側のアプローチを採用したラテンアメリカの太平洋側の国々の方が良い結果を残すことなど天地がひっくり返ってもあり得ないと散々非難されてきたのではなかったのか?もちろんKrugmanはチリの自由経済の成功と云われているものは単に「シカゴボーイズによるファンタジー」だと主張した。

「実は彼らにとって都合の悪いことがある。ピノチェトの経済政策は伝えられているよりも遥かに曖昧だ。だが現在ではシカゴボーイズが登場して、自由化を行い、チリに好況がもたらされたと語られるようになっている」

「だが、上のチャートから分かるように、実際に起こったこととはこのようなことだ。チリは1970年代に大規模な経済危機に襲われた。それは部分的にはアレンデ政権が原因だった。それから巨額の資本が流入しチリの経済は不況によって失われたGDPを大部分回復させた。1980年代にチリは再び大規模な経済危機を迎えることになった。今回はチリだけではなくラテン諸国全体が危機に襲われたのだが、チリのダメージは他の国よりも遥かに大きかった。チリが1970年代初めのGDPをはっきりと上回ったのはその頃までには自由主義政策が大きく緩和された1980年代の後半になってようやくだった」。

ミルトン・フリードマンの変動相場制に移行せよとの助言を無視したことにより、シカゴボーイズが1980年代初期にチリを混乱させたのは事実だ。だが自由主義政策の緩和と云われているものとは一体何のことだろうか?ここには1975年にシカゴ流の改革が始まって以降のFraser Instituteが作成しているチリの経済自由度のランキングがある(指数は最大で10までで括弧の中身はランキングだ)。

1975:    3.60  (71)

1980:   5.38  (48)

1990:    6.78  (27)

2000:   7.41  (33)

2010:   7.94   (7)

「ファンタジー」があるとすれば、チリが1970年代の後半以降自由主義政策から転向したという考えだろう。

恐らくブラジルは貧困が著しい北東部の沿岸地域にPaul Romerが提案しているようなチャーターシティを建設してみても良かっただろう。フリードマンが軍事独裁的なピノチェト体制にアドバイスしていたのと同じ頃にフリードマンからアドバイスを受けた他の国がフリー・トレード・ゾーンを採用したことを知っているだろう。この体制はピノチェトよりも遥かに暴力的であったにも関わらず、このアドバイスに対して奇妙なことにフリードマンは左翼からまったく批判を受けなかった。恐らくこの体制が数千万人を虐殺している時に、あまりにも多くの左翼の著名な知識人がこの体制を何十年にも渡って称賛し続けていたという事実を隠しておきたいからだろう。どこの国か分かるだろうか?ヒント、アルファベット順でチリのすぐ後にある(中国の改革開放政策はフリードマンのアドバイスに影響を受けたことが知られている)。その国の最大のフリー・トレード・ゾーンの大通りは1981年ではこのような状態だったのが現在ではこのようになっている。



以下、寄せられたコメント。

Patrick R. Sullivan

「実は彼らにとって都合の悪いことがある。ピノチェトの経済政策は伝えられているよりも遥かに曖昧だ。だが現在ではシカゴボーイズが登場して、自由化を行い、チリに好況がもたらされたと語られるようになっている」。

このような馬鹿げた主張はとっくに反証されている。James Rolph Edwardsの「Painful Birth: How Chile Became a Free and Prosperous Society」という本にはチリの内情が事細かに記されている。

これは私のレビューだが、

『チリの小説家Alberto Fuguetがインタビューで答えているように、チリの「隠しておきたい秘密」とは、ピノチェトがチリを「カストロ流のマルキスト国家に変えようと試みていた以前の統治者たちからの贈り物のようなものだったということだ。違いは、以前の統治者たちがチリを変えたというのではなく、彼が変えたというところだ」。Fuguetによると、彼はチリを「近代的で、開放的で、自由な社会に変えた」。それが彼の意図であろうとなかろうと、彼が制度化した経済政策(見えざる手)によってそうするように導かれたのだろう。

『「James Rolph Edwards」のこの短い本はそれらの経済政策が実際にはどのようなものであったかを説明している。モンタナ州立大学の経済学者である彼は非常に簡潔に、だが専門用語はほとんど用いることなくこの本を書き終えている。読者は、アレンデが敷いた価格コントロールの廃止がチリの店頭に再び物を並ばせるようになったことを知るだろう。国有化された産業の民営化が経済に正しいインセンティブ構造を回復させたことを知るだろう。政府支出の削減が中央銀行からマネタイゼーションの必要性を奪ったことを知るだろう。他にも政府による様々な経済の阻害要因があったことが記されている。これはとても誠実さに溢れた本だ」。

Patrick R. Sullivan

Paul Krugmanにはこのまま間違った主張をさせ続けておいた方がよいと思う。

「チリは1970年代に大規模な経済危機に襲われた。それは部分的にはアレンデ政権が原因だった」。

部分的に?恐らく彼は残りの部分はミルトン・フリードマンがピノチェトに対してたった一度のしかも45分の会談で与えたよりも遥かに遥かにアレンデ政権にアドバイスを与えていたフィデル・カストロのせいだと言いたいのだろう。そして彼らはどうすればチリのハイパーインフレを終わらせることが出来るのかを話し合った。

1971年に、カストロは多くのチリ人の反感を買いながらもチリで1か月を過ごした(彼に対して空っぽの入れ物を見せつけるデモが行われた)。後に彼はフランスの大使に対してこのように語っていたという(Pablo Nerudaの政治的庇護者でチリの大使Jorge Edwardsによる言葉)。「アレンデはブルジョア階級による強固な政治支配を打破することなくしては彼の政策を実行することは出来ないだろう」。

Patrick R. Sullivan

ヒラリー・クリントンが選挙戦を戦っている現在、一時的にホンジュラスの指導者となったRoberto Michelettiが振り返った2009年の危機の回顧録が思い起こされる。ヒラリーは彼に特使を送っていた(Dan Restrepo)。

http://panampost.com/elena-toledo/2015/05/04/ex-president-micheletti-honduras-hellbent-on-repeating-2009-crisis/

———-quote——–

ヒラリーはZelayaに権力を渡すように私に言ってきた。だが幸運なことにAlejandro Peña Esclusaと呼ばれるベネズエラ人が私にこのように語ってきた。「大統領、あなたはZelayaに権力を渡してはなりません。何故ならばそのアメリカ人は以前にも我々を欺いたことがあるのです。彼女は我々にチャベスに権力を再び戻すべきだと言いました。そしてどのようになるのかを見ようではないかと」。そのアメリカ人が私にそのように言ってくる時にはいつでもこのことが思い出される。

彼女のアドバイスを聞き入れれば数百万人のホンジュラス人が苦境に立たされることになるだろうと私は信じている。そのアメリカ人は(国内の)左翼にこびへつらうためにチャベスのご機嫌伺いをしている。だが我々は、この21世紀の社会主義の茶番劇を主導したベネズエラが現在どれ程悲惨なことになってしまっているのかをとっくの昔に見てしまっている。本来であればアメリカ大陸で最も豊かになっていてもおかしくない程の石油埋蔵量を誇る(サウジの埋蔵量を上回ると云われている)ベネズエラの国民が貧困層、富裕層共に食べる物にも苦慮しているのだから。

メキシコとホンジュラスを除いて、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ニカラグア、エルサルバドル、これらはすべて左翼政権であることを覚えておく必要がある(左翼がこれらの国々を称賛して皆がこれに倣うべきだと扇動していたがこれらの国々が悲惨なことになるとさっさと逃げ出して知らない振りを始めたのは言うまでもない)。チャベスの計画は50万人の中央アメリカ票を用いてメキシコの左翼指導者Manuel López Obradorを当選させることにあった。だが彼の計画がホンジュラスで失敗した今ではそれを実行することは出来ないだろう。

———endquote——-

Patrick R. Sullivan

「不人気な改革が危機の時に実行されれば改革の印象が悪くなるだろう。ピノチェトのチリはその好例だ」。

間違いだ。ピノチェトはアレンデに対する軍事クーデター時には大変に人気だった。チリの最高裁はアレンデの行動は憲法違反だという判決を下した。チリの国民投票では81対47でアレンデの退陣が支持されていた。

ピノチェトがクーデターを起こしてから5年後に彼の統治に対する投票が行われた。彼は4分の3の投票を得て勝利した。敵意をむき出しにした反ピノチェトのニューヨークタイムズのレポーターでさえも、その投票がその時のチリ人の心境を正確に反映したものだと認めざるを得なかった。

ピノチェトが彼の政策を「軍による独裁」なしで実行に移せたかどうかは議論が分かれるところだろう。だが彼は非常によく訓練され(カストロの腹心の部下Manuel Pineroによって)組織された敵と戦わなければならなかった。その敵は1986年までにはロケット攻撃でピノチェトをほぼ暗殺しかけるというところまで迫っていたのだった。

実はアメリカでは20年以上格差が拡大していなかった?

Bipartisan Baloney About Top 1 Percent Income Gains

ALAN REYNOLDS

1月20日の議会教書演説でオバマ大統領は「所得上位の所得が低下したことはこれまで一度もない(中略)所得格差が今までよりもさらに拡大している」と語った。その翌日にFox NewsのアンカーBrett Baierは「Emmanuel Saezによると、景気回復期の2009年から2012年の間で、所得上位は2002年から2007年の好況期よりもシェアを拡大させた。言い換えると、所得格差はブッシュ政権の時代よりも拡大している」と語った。

Bernie Sanders議員も「最近では、経済に新たに生まれた所得の99%が所得上位1%に集中している」と語った。同様に、Ted Cruz議員は「オバマ大統領の下で、彼が常日頃から非難している所得上位1%はそのシェアを拡大させた」と語っている。

左寄りの民主党と右寄りの共和党の両者の間で政治的に都合がよく非常にもてはやされる統計があればそれがどのようなものであろうとも馬鹿げたものだと決めてかかっていい。両党派によるたわごとだ。

2013年の11月に、「申告されたキャピタルゲイン(株などの資産の値上がり益)とボーナスは(税率の引き上げを避けるために)2013年から2012年にシフトされたので、2013年の所得シェアが発表される時には所得上位1%の所得がある程度大きく低下することが予想される。恐ろしいまでに愚かなメディアは間違いなく減少を増加として報道するだろう」と私は書いた。予想通りに、ニューヨークタイムズは所得上位1%の所得が14.9%減少したことを増加したと報道して「景気回復からの所得の増加は未だに所得上位1%だけに集中している」と結論した。そこには恐ろしいまでの無知が表れている。

それから3週間後の2月17日に、ニューヨークタイムズは事実を報道しようとする姿勢を僅かだけ見せた。「所得格差は金融危機以降実際には拡大していない」という記事を書いたDavid Leonhardtは自分が付けた記事のタイトルに驚きを見せた。「このようなことが起こり得るのか?」。この驚愕の真実とされているものはイデオロギーに惑わされずにきちんとデータを確認することが出来る数少ないリベラル派の経済学者の一人Stephen Roseより伝えられた。

「驚愕すべきことに」とLeonhardtは語り「Mr. Roseの主張は新しく発見されたデータや以前には見つかっていなかったデータに基づくものではなかった。多くの記者やコメンテーターたちが所得格差が拡大したことの証拠として頻繁に用いていたのとまったく同じデータだった」と語った。冗談も休み休みに言え。1月6日にブルッキングスのGary Burtlessは「2000年以降、ほとんどのアメリカ人の所得が上昇している一方で、所得上位1%の実質所得は減少している」と書いている。かなり前から私もPiketty and Saezのデータを用いて以下のようなグラフを作成し同様の指摘をしている。


(馬鹿な人たちがデータを一切見ることなくアメリカでは格差が拡大し続けている!と言っているそのまさにすぐ横で、その主張の唯一の根拠でさえもが20年近くアメリカでは格差が拡大していないことを示している!)

メディアの人間がすべきことは、Piketty and Saezの表4-6にある所得上位1%の実質所得の数字から作成したこのグラフを見ることだけだ。私が予想したように、所得上位の所得は増税を避けるために2012年に増加し2013年に14.9%減少した。そしてSaezからの要請通りに2012年と2013年の所得を平均した。それにも関わらず2012年から2013年の所得上位1%の所得は明らかに2005年から2007年を大きく下回っていて1999年から2000年の水準にも達していない。

Leonhardtは所得上位の所得が「増加していない」どころか減少しているということまでは認めることが出来なかったようだ。2012年から2013年の所得上位1%の所得は2007年から20.6%減少している。2000年以降からも11.2%減少している。所得格差が拡大し続けていると主張している人間はまともにデータも確認出来ないのだろう。