2016年7月12日火曜日

黒人は賃金面で見て差別されていない?

The Journey to Becoming a School Reformer

Timothy Taylor

Roland Fryerは経済学者から学校教育者へと転身した自らの体験に関する興味深いエッセイを「21st Century Inequality: The Declining Significance of Discrimination」というタイトルで執筆している。

彼は「2003年当時40歳だった人々の記録に着目しながらNational Longitudinal Survey of Youthのデータ」を詳しく分析したと語っていた。彼は黒人と白人の間の生のデータの結果の違いを幾つかの点から調べていた。それから彼は当時40歳だった黒人が8学年生(大体、中学2年生ぐらい)だった頃に受けていたテストの点数でそのデータを調整した。これは、8学年生当時にテストの点数が同じだった黒人と白人とを比較していることを本質的に意味している。非常に驚くことに、40歳時点での黒人と白人との間の賃金格差はテストの点数を調整するときれいさっぱり消えてしまった。平均的に見ると、黒人の大学入学率は白人よりも低い。だが8学年生時でのテストの点数で調整すると黒人の大学入学率は白人よりも大幅に高いことが判明した。黒人と白人の間の大きな違いの幾つかはテストの点数を調整した後でも残る。だがその違いの大きさは大きく縮小する。

それを彼はグラフにしている。

彼はその時に考えたことを以下のように説明している。

「子供の時に存在していた学習到達度の違いは大人になってからの社会的格差の多くの点と相関していると私は報告した。当時は、これでとりあえずの疑問は解消したと思っていた。だが8学年生時の学習到達度の違いはどのように説明すれば良いのだろうという疑問が気になるようになってきた。私は、過去10年間この疑問に取り組んできた。私は、差別がアメリカから消滅したと言っているわけではない(他に超差別国家がたくさん存在する)。だがこれらのデータは、差別ではなく学習到達度の違いが黒人と白人の違いの多くを説明する決定的な要因だと考えるようになった」。

次の疑問は、黒人の生徒が学習到達度において白人に遅れを取り出すのは何時頃か?ということだった。

「黒人の生徒が学習到達度において遅れを見せ始めるのはいつごろか?発達心理学者は9ヶ月の幼児の認知能力をBayley Scale of Infant Developmentという尺度で測ることに成功している。私たちは集められた1万1000人の幼児のデータを調べ、人種間に有意なスコアの違いが存在しないということを発見した。だが幼児たちが2歳になるとギャップが開き始めることが確認でき、幼児が大きくなるとともにそのギャップも拡大する。5歳時までには、認知能力において黒人の子供は白人の子供に8ヶ月の遅れを見せ始める。そして8学年生になると、そのギャップは12ヶ月にまで拡大する」。

8学年生時に見られる認知能力のギャップがすでに5歳時において見られるということは私にとって驚きだった。以前にもコメントしているように、このことに対する考えうる一つの対策の可能性としては生まれてから数年以内のリスク児童に対する家庭訪問プログラムをもっと真剣に考えることだろう。考えうる他の対応としては3歳から5歳時までの学校前プログラムをさらに拡充することだ。だがこれらのプログラムが永続する効果を与えるのかどうかを調べた証拠はむしろ否定的だ(リスク児童に限ってみれば効果は少し強まるが)。

Fryerの方法論は学習到達度をどのように改善させるかに集中していた。そして経済学者として、彼は本を読みテストにパスした生徒に金銭を支払うという極めて単純な試みをスタートさせた。ここにその時の様子を彼がスケッチしたものがある。

「傲慢な経済学者の常として、これは簡単だろうと初めは考えていた。要するに、単にインセンティブを変えればいいだけと考えていた。良いパフォーマンスを示した学校に報酬を与えるというのが私の提案だった」。

「このような試みを始める前に誰かが私に警告していてくれたらと今では思う。このような試みが、これほどの信じられない程の不評を買うなど誰も教えてくれなかった。大勢が私の家を取り囲んで、生徒の学習意欲を壊そうとしているとか黒人にとって最悪のことをしているなど集中砲火を浴びせたのだった」。

「私たちはこの試みを実行に移すことを決断し10億円の資金を集めた。私たちはダラス、ヒューストン、ワシントンDC、ニューヨーク、シカゴでインセンティブを提供した。私たちは(単に遊び心から)教師にもインセンティブを与えてみた。これで関わった人すべてにインセンティブが与えられたことになる」。

「数多くの批判的な報道、怒れる市民たち、そして10億円の資金から学んだことは、子どもたちはインセンティブに反応するということだった。だが教師へのインセンティブは有意な影響を与えていなかった。インセンティブは期待(予想)通りの働きを見せてくれた。ところが、インセンティブはそれ以上の働きは見せてはくれなかった。私は、インセンティブは(例えそれが与えられなかった、与えられなくなったとしても)教師や子どもたちに学校は素晴らしいものだと伝え、子どもたちは課題により真剣に取り組むようになるだろうと考えていた。違っていた(要するに、一時的なインセンティブには永続的な効果はなかった)。一冊の本を読むのに2ドルのインセンティブを与える。子どもたちはもっと本を読むようになった。それは予想通りの結果だった。このことは私に、子どもたちにインセンティブが与える力、その限界を教えてくれた」。

そこでFryerとその仲間たちは、成功したチャーター・スクールとそこまでは成功していないチャーター・スクールを調べることにした。彼らは数年間に渡ってインタビューとビデオ撮影を行い5つのルールを見いだした。

More time in school.

(省略)

Human Capital Management

(省略)

Small Group Tutoring

「3番めの方法は一般的には私がチュータリングと呼んでいるものだが、関係者たちはスモール・ラーニング・コミュニティと呼んでいる。基本的に、彼らが行っていることは1つのクラスの子どもたちを6人以下にして学習させることだ」。

Data-Driven Instruction and Student Performance Management.

「成績の良くない学校もデータが重要だということを知っている。私が中等部の学校を訪れた時、彼らは喜んでデータルームを見せてくれた。私がよく見掛けたものは緑、黄色、赤のスティッカーが貼られたチャートだった。それは成績の良い生徒、普通の生徒、良くない生徒を表していた。成績の良くない生徒にどのようなことをするようになったのかと尋ねると彼らは、まだその段階にまでは行っていない、だが少なくとも成績の悪い生徒を把握していると答えた。同じ質問を成績の良い学校のデータルームで尋ねると、彼らは3つのブロックに分けて教育を行っていると答えた。彼らは成績の良くない生徒を把握しているだけではなく、生徒が学習につまる部分やパターンを識別しそれに対する処方を2日か3日で提供すると答えた。彼らは将来の授業のためにそれらをもっと改善する必要があるとも答えた」。

Culture and Expectations

(省略)

この5つのルールはあまりに普通すぎると思ったのではないか?彼らは自分たちのアプローチを実践するため20のヒューストンの公立学校でテストを行った。それには4つの高校も含まれ参加した生徒の人数は1万6000人だった。

「このテストを開始する前は、小学校での黒人と白人の学習到達度の違いは5ヶ月ほどだった。数カ月後には、学習到達度の違いは算数ではほぼ消滅し国語でもある程度の改善が見られた。中学校では、数学の点数は恐らく4年から5年でギャップが埋まるだろうというペースで上昇していた。だが読解では改善が見られなかった。他の結果としては高校の卒業生の100%が2年制から4年制の大学に進学するだけの学力があると認められていた」。

(以下、省略)

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