2016年1月18日月曜日

(金融)規制は大きく緩和されたと故意に偽り続けていた馬鹿な経済学者に大量の人が騙された?Part6

Meltdowns and Myths: Did Deregulation Cause the Financial Crisis?

James L. Gattuso

「問題は、人々の知識が乏しいことではなくあまりに多くの真実でないことを知っていることだ」 Mark Twain

簡単な答えが正しいものであることはあまりない。その原則は金融危機の原因に関する議論にも当てはまるように思われる。簡単で政治的に都合のいい犯人を探すため多くの政治家はブッシュ政権による規制緩和を非難した。

例えば、Nancy Pelosiは「ブッシュ政権の8年にも及ぶ失敗した規制緩和政策により銀行を救済する結果となり納税者に潜在的に多大の負担を強いることとなった」と述べている。同様にオバマ大統領も「最大の問題は規制の緩和だ」と主張した。

だがこの答えにはある大きな問題がある。金融業界はブッシュ政権の時代に規制緩和されていないということだ。仮に金融業界に今まで「規制緩和の時代」というものがあったとすればそれは遥か昔の話だ。それ以降の変化はほとんどが現在では論争にすらなっていない。

Basic Regulatory Structures Never in Doubt

文字通りの意味で金融業界は決して「規制緩和」されていない。規制緩和の試みすらなかった。規制の廃止を提案した者も誰もいない。簡単に言うと規制当局の仕事は一度も脅かされることはなかった。

そもそも規制緩和という単語は特定のルールの緩和や廃止の簡略化された呼び方として用いられてきた。規制緩和の時代があったとすればそれは1970年代と1980年代だろう。この時代は経済学者(と消費者)が長く続いてきた金融業界への多くの制限に疑問を提示し始めた時代だった。

その中で最も重要だったものは銀行に一つの州以上での活動を禁止していた規制だ。そのような規制は州と連邦政府の働きかけにより1994までに大部分が廃止された。この規制を復活して欲しいと思う者は現在では誰もいないだろう。地域または全米で活動できるようになった銀行はリスクをバランスさせることが遥かに容易になったので「規制緩和」はシステムを安定させるのに役立った。

Gramm-Leach-Bliley and Beyond

その次の大きな「規制緩和」は銀行が証券業を営むことを禁じた大恐慌時代に作られた制限の廃止だろう。その禁止は1999のグラハム・リーチ・ベイリー法によって終了した。

論争がない訳ではないもののこの法案は金融危機を拡大したのではなく緩和したと言えるだろう。

事実、クリントン大統領は最近のインタビューで以下のようにこの法案を擁護している。「あの法案が今回の金融危機と何の関係があるのか分かりません。実際、現在のようにまで状況を安定化させるのに役だったものの一つはバンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収でしょう。あの法案に私が署名していなければ買収は遥かに困難だったはずです」。

2000に議会は特定の種類の金融商品をCommodity Futures Trading Commission(CFTC)の管轄外とする法案を通した。その中には「クレジット・デフォルト・スワップ」が含まれる。この法案が「規制緩和」なのかは明らかではない。この法案が通る前と後とで扱いに変化がないからだ。CFTCがこれを規制していたとしても金融危機が防がれたかは定かではない。事実、クリントン政権で財務長官だったロバート・ルービンを含む多くの政策当局者が規制にはメリットよりもデメリットの方が大きかっただろうと議論している。

その法案が議会を通過してからの9年間(ブッシュ政権の8年間を含む)、議会は金融業界の負担を緩和するような法案を一つも通過させていない。

Regulatory Agency Trends

では規制当局はどうだったのか?彼らはブッシュ政権の下で規制緩和に熱心だったのか?ここでも、答えはいいえだ。

規制の制定に関して(規制当局によるある特定のルールの公布)、SECが金融部門において最も強力な組織だろう。GAOのデータによるとSECはブッシュ大統領の就任以降(経済に10億円以上の影響を与えるとして定義された)重大で規制の負担を変更させる23の行政手続を完了させた。その中で、わずか8つ(3分の1ぐらい)が負担を軽減させたものだ。恐らく多くの人は驚くだろうがおの方面でのブッシュ大統領の記録は2期目だけで20のうち9つで負担を軽減させたクリントン政権よりも緩和的でない。

その他の規制機関はSECほど規制の変更を行っていない。FRBは1996以降5つの主要な規制の変更を報告している(その内の4つが規制の緩和)。FDICによって報告されているものは1997の新しい自己資本基準の導入だけだった。

もちろん、規制当局の仕事の多くは規制の制定というよりはむしろ日常の活動の中で行われている。それを知るためには規制当局の予算を調べることが有益だろう。

ここでもブッシュ政権の期間に規制当局の活動が弱められたという証拠はない。金融と銀行規制(SECを除く)の総予算は2000の(1ドル=100円として)2000億円から2008の2300億円へと増加した。SECの予算はというと同期間に357億円から629億円へと大幅に増加している。同期間にこれらの期間の職員の数は16000人でほぼ一定だった。

A False Narrative

金融危機時には、「規制緩和」を非難する誘惑に惑わされる人が多くいるだろう。危機が間違った助言に基づいて必要なルールを廃止したことによって引き起こされたのであれば答えは簡単かもしれない。それらのルールを回復させることだ。

だがその物語は単に真実ではない。ブッシュ政権時に金融規制の緩和がほとんどなかったというだけではなく、ブッシュ政権以前の規制改革のほとんどが危機の原因になったのではなくむしろ危機を緩和した。

もちろん、これは規制の変更を一切考慮すべきではないということを意味しない。金融危機の勃発時には規制の範囲と方法に関する議論は避けられないかもしれない。だがそれは過去に一度も存在しなかった規制の理想郷へと戻るといったようなお伽話ではあり得ない。新しい規制の体系はすべての不確実性と意図せざる結果を考慮しなければならない。政策当局者はそれ以外の態度を取るべきではない。

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