2016年1月18日月曜日

(金融)規制は大きく緩和されたと故意に偽り続けていた馬鹿な経済学者に大量の人が騙された?Part2

規制政策の多くは金融危機の直接的な原因となった。過去の政策(特に住宅規制と資本規制)を調べることなしには歴史から学ぶことは出来ないだろう。

金融危機に対して規制政策が果たした役割は歪められた形で伝えられている。このエッセイでは以下の神話と誤解を正そうと思う。

神話1: 規制当局は新しい金融商品に関して何も知らなかった

神話2: 規制緩和によって市場は危険な取引を行うことが可能になった

神話3: 政策当局は金融市場を規制するのに市場の規律に頼りすぎていた

神話4: 金融危機は主に短期の現象だ

神話5: 金融危機を防ぐ唯一の方法はより規制を強化することだ

Myth 1: Banking regulators were in the dark as new financial instruments reshaped the financial industry.

何十年も前から金融業界では多くの金融商品が開発されてきた。それらにはCDO(債務担保証券)、クレジット・デフォルト・スワップ、SPV(特別目的事業体)、プライベートラベルの住宅ローン証券が含まれる。これらの新商品の特徴について説明されることはないままにこれらはまとめて現在では「シャドウバンキングシステム」と呼ばれるものを作り上げたとされる。これにより銀行は住宅ローン証券を短期債でファイナンスすることが可能になった。これはそれらの資産のリスクに対する市場の認識が変化した時に金融機関に流動的な準備が不足することを意味する。さらに損失をカバーするための十分な資本が欠けることも意味する。

金融業界に起こった劇的な構造変化は一般大衆にはほとんど気が付かれなかっただろう。メディアもほとんど無知だった。だが規制当局がこれらの発展に気が付いていなかったというのは神話だ。

現実はというと規制当局がこれらの新商品を監督し承認してきた。例えば、2006のスピーチでFRBのBen Bernankeは、

「リスクの売買を可能にした新商品の発展により多くの銀行は伝統的な貸出慣行から(現在の信用状況、市場の状態、収益機会の下で)最適な資産の組み合わせを模索することが可能になった。現在の銀行は債務者、ポートフォリオ濃度、満期、ローンの大きさなどを管理、制御することが可能となり問題資産が損失を生み出す前に対処する、または問題資産を処分することさえ可能になった。多くの銀行はリスクマネジメントの一環として自身のポートフォリオにストレステストも行っている」。

「銀行はローンシンジケーション、ローンの売買取引、クレジット・デリバティブ、証券化などにより信用リスクやその他のポートフォリオリスクを積極的に管理できるようになった。例えばクレジット・デリバティブの取引残高は過去10年で拡大し2005には(1ドル=100円として名目値で)1800兆円に達した。よく名前の知られた企業のクレジット・デフォルト・スワップの取引残高は各企業が発行した債務の取引残高を現在では上回っている」。

バーナンキはこれらの新商品を銀行監督当局と規制される側の金融機関との協調の賜物だと説明している。同様にまた同じ時期にIMFもこれらの新商品は「銀行業界と金融システム全体をより頑健なものにした」と報告している。

新しい金融商品がもたらすであろうシステム全体への影響に規制当局が気が付かなかったというのはまったくの神話だ。現実はというと規制当局はシステミックリスクの監視に非常に熱心だった。だが金融業界と同様に規制当局も新商品がシステミックリスクを低下させると考えていた。規制当局にシステミックリスクを監視させることを義務化させなかったのが問題ではない。規制当局に欠けていたのは判断と考察力だ。

Myth 2: Deregulation allowed the market to adopt risky practices, such as using agency ratings of mortgage securities.

ある論文が指摘しているように、「市場の規律は投資家が格付け機関に過度に依存したために崩壊した」というのは神話だ。市場ではなく、格付け機関の使用を強制したのは規制当局だというのが事実だ。銀行規制当局、特に2002の1月1日に施行されたルール以降はダブルA、トリプルAに格付けされた資産を保有する銀行の自己資本比率規制に猶予を与えた。

市場は規制当局ほど格付けに取り憑かれていたのでも何でもない。格付けされた証券の多くは市場で取引されてさえいない。銀行は市場で取引するためではなく単に自己資本比率規制を満たすただそれだけの目的の為に高格付けの資産を購入している。それらの資産は危険資産と見做されないためだ。

このような格付け機関の使用のされ方は当時から批判されていた。ファニー・メイとフレディ・マックはこのことに関して警鐘を鳴らしていた。Shadow Financial Regulatory Committeeを召集した経済学者の集団は市場で取引されていない証券の格付けがインフレされていると警告した。これらの警告にも関わらず政策当局は格付けに依存した資本規制を金融機関に強要した。

規制による自己資本裁定が金融危機時に危機の原因となったとされる多くの金融新商品の主な開発または購入動機だった。例えば銀行はSPVやSIVを用いて住宅ローン証券をファイナンスすることにより自己資本比率規制を完全に逃れることが出来た。クレジット・デフォルト・スワップも規制を逃れるためのリスクの移し替えの手段として用いられた。

Myth 3: Policy makers relied too much on market discipline to regulate financial risk taking.

専門家?(Alan Greenspanを含む)はリスクの管理に関して予想よりも市場が非合理的だったと不満を表明した。彼らの主張によると市場は不安定で規制の強化が答えだとされた。

幾人かの経営者が深刻な計算違いをしたというのは確かだろう。彼らは住宅価格の低下のリスクを過小評価していたしリスクの隔離を過大評価していただろう。

だが大きな欠陥は規制の構造、特に商業銀行、投資銀行、フレディ・マック、ファニー・メイなどに対する資本規制にある。これらの会社に市場の規律が欠けていたのは彼らが取ったリスクの大部分を負担するのが株主や経営陣ではなく納税者だったからだ。

Shadow Financial Regulatory Committeeは1988にバーゼル合意がまだ協議中だった最初期から資本の「リスク・バスケット」アプローチを批判していた。その代替案として経済学者は銀行に自身が保有する資産のリスクと預金の間のレイヤーとして機能する無担保債務の発行を求めることを提案していた。最近になって他の経済学者の集団がそのようなアプローチへの支持を繰り返している。

Myth 4: The financial crisis was primarily a short-term panic.

今回の金融危機は4つの側面を持つ。

悪い債務、これはデベロッパーが住宅を多く作りすぎたこと、消費者が住宅を購入しすぎたこと、貸し手が非合理的な貸付を行ったこと、金融機関が住宅の信用リスクを過度に負ったことを意味する。

過度なレバレッジ、これはフレディ・マック、ファニー・メイ、ベアー・スターンズなどの主要な会社の債務資本比率が高すぎて資産価値の低下によってそれらの会社の経営が危機に陥る可能性があったことを意味する。

ドミノ効果、これはある会社での問題が他の会社にも波及する可能性があることを意味する。

21世紀型の銀行破綻、これは住宅ローン証券を他の会社からの短期の借入の担保として用いていた金融機関がカウンターパーティーから融資の延長を受けにくい状態に追い込まれることを意味する。

初めの2つは少なくとも10年ぐらいを掛けて展開してきた根本的な問題だ。後の2つは2008に急浮上してきた金融パニックの反映だ。

あまりにも多くの政策当局者が金融パニックだけに目を奪われている。例えばBernankeが2009の秋のジャクソンホールでの会合で金融危機の回顧録を提示した時に「パニック」という単語は何十回も用いられたが「住宅価格」という単語が用いられたのはわずか2回だけで「住宅ローンのデフォルト」という単語が用いられたのはたったの1回だけだった。

そのような考え方では政策当局者にもっと深い根本的な政策の欠陥を修正させるのではなく規制組織や規制の権限の方に目を向けさせてしまう。我々は政府の証券化に対する支援のコストベネフィット分析、住宅政策の目的、金銭的リスクに対する政府の保護とリスクテイキングの抑制とをどのように和解させるかなどのより根本的な問題を議論する必要がある。

Myth 5: The only way to prevent this crisis would have been to have more vigorous regulation.

金融機関は大人による監視がなければひどい放火を始めてしまう10代の子供のようだという神話がある。実際は、マッチを付けガソリンを撒き新聞に火を点けたのは議会と規制当局だ。

住宅政策は住宅の購入を増加させることに取り憑かれていた。この政策により(頭金が必要とされなくなったことと加えて)恐らく「住宅の自己所有」という単語が無意味なものとなる程の地点にまで押し上げられた。政策の目的は住宅の保有を増やすことだったのだろうが実際の結果は投機と債務だ。

金融危機を防止する最も簡単な方法は住宅購入に掛かる頭金を低下させ続けている政府の介入を止めてむしろ頭金を増加させることだ。妥当な水準の頭金を維持することにより過去に住宅価格を高騰させた投機を防ぐことが出来るだろう。それによりデフォルトを減少させることが出来る。

金融危機を防ぐ他の方法は銀行資本を規制するのにリスクバスケットや格付け機関以外を用いることだ。より良い方法はストレステストを行うことだろう。前にも述べたがその他の方法は金融機関に無担保債務を発行することを要請することだ。無担保債務は資産価格の変動から預金保護基金を隔離するのに役立つだろう。その上、もしそのような債務が市場で取引されればその価格は市場が示したリスクの指標として用いることが可能で規制当局に問題の早期の警報を与えるだろう。

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