CRACK LIVES MATTER
Lloyd Billingsley
人種的偏見に偏った警察、白人至上社会が無垢な黒人を苦しめている、というメッセージを広めたがっている政治家とセレブが11月の選挙が近づくに連れて活動を活発にしている。警察に対する戦いは20年前の選挙の時にも似たようなおとぎ話が語られていたことを思い出させる。
CIAを陰から操ったアメリカ政府が、ニカラグアのコントラに資金を提供する目的でアメリカ全土の黒人コミュニティにクラック・コカインを拡散させたというのが20年前に突如広められた話だ。それはSan Jose Mercury NewsのGary Webbによる「Dark Alliance: The Story Behind the Crack Explosion」という一連の記事が発端だった。
Final CallのLouis Farrakhanがこの一連の記事をトップ・ニュースと変え、黒人指導者Jesse Jacksonがこの話に飛びついた。Congressional Black Caucusの議長Maxine WatersはCIAの責任者John Deutchを呼びつけた。活動家たちが「隠蔽だ!」と叫んで何度も証言を中断させたため、似たような話が上院で諜報委員会が開かれている間ずっと繰り返されることになった。
問題はWashington PostとLos Angelesの調査が確認したようにその話が真実ではなかったということだ。実際その話はニュースにも値しないくだらないものだった。Mercury Newsの編集長Jerry Cepposは、10年前からあるおとぎ話に彼がさらなる脚色を付け加えただけだと認めた。
この陰謀論は初めはChristic Instituteという非営利の団体によって語られていた。この団体の代表はハーバードで鍛えられたDaniel Sheehanという弁護士で、彼とこの団体のエグゼクティブ・ディレクターを務めるSara Nelsonは、マルクス主義の独裁者によって人々は開放され社会的正義を確立することができると信じていた。この団体の基本的な教義では、マルクス主義の独裁に反対する人はファシストか殺人鬼であると定義され教えられていた。
1986年に、彼は引退した軍人とCIAの組織員とによる「秘密のチーム」に対して訴訟を起こした。訴えられた人にはアメリカの外交政策に関わったこともあったGen. John Singlaubもいた。このおとぎ話によると、1950年代後半からのアメリカの外交政策は麻薬取引を資金源とした反共産主義の巨大な陰謀とのことだった。秘密のチームはラオスで部族とともに共産主義者と戦いSinglaubはそこで(この団体のおとぎ話によると)たった1人で10万人を殺害したとして訴えられた。この団体の訴えによると、Oliver Northという海軍士官がラオスでの麻薬売買に参加した。これと同じ世界のいたるところに同時に存在する秘密のチームが(この団体の訴えるところでは)ニカラグアのコントラを支援し麻薬取引によって得た資金で資金援助をしたとのことだった。
この訴訟も陰謀論も、この団体の支援者が大勢いた(Ed Asner, Mike Farrell, Martin Sheen, Darryl Hannah, Jane Fondaなど)ハリウッドでは大いに受けた。この陰謀論は当時の人気ドラマ「Miami Vice」や「Wiseguy」などのエピソードとしても用いられた。大統領の側近を務めたこともあるBill Moyersは「The Secret Government」というドキュメンタリーでこの団体を持ち上げた。PBSが制作したこのドキュメンタリーは後に本として出版され、この団体は「Tools for Truth」というカタログの中で資料としてこの本を9ドル95セントで売り歩いていた。
1988年の6月23日に、James King判事は証言が捏造されていることと証拠がないことを理由にすべての訴えを退けた。この団体はBoston Globe、Mother Jones、Nationなどから批判を受けることになったが、Gary Webbは気にせずこの話にさらに手を加えることにした。
「コカイン-CIAのメンバーが1980年代に格安の価格で持ち込み始めるまでは黒人のコミュニティではほとんどといっていいほど手に入れることのできなかった麻薬は」という書き出しで「Dark Alliance」という一連の連載記事はスタートする。Christicsは麻薬が当時選挙戦を戦っていたビル・クリントンが1980年代に州知事を務めていたというアーカンサス州にあるMenaという空港から持ち込まれたと非難していた
Webbのバージョンでは、秘密のチームは麻薬をエルサルバドルからテキサス州にあるアメリカ空軍の基地に持ち運んでいたという。ラジオのトークショーで、彼は「アメリカの歴史で最悪の麻薬汚染を広めたこと、ギャングの拡大に資金援助をしたこと」としてCIAを非難した。よって、今ではギャングまでもCIAのしわざに加えられることになった。
Webbは1997年にMercury Newsを辞職したがその次の年にはCalifornia Assemblyが彼を調査員として雇用した。そのお気楽な一時の仕事が終了すると、彼はフリーランスとしてSacramento News & Reviewなどに記事を投稿するようになった。2004年に彼は自殺したがそれによって彼の陰謀論はさらに人気を集めることになった。
Black Lives Matterによると、警察は白人至上社会の手先で罪のない黒人を好き勝手に抑圧しているということにされている。麻薬をばらまいたという陰謀論のように、この非難も事実に即したものではない。Heather MacDonaldが示したように、警察によって殺害された市民の50%は白人で(白人より圧倒的に犯罪率が高いにも関わらず)黒人は26%を占めるに過ぎなかった。被害者と云われていた人のほとんどは武装し殺傷力の高い手段で警察に脅威を与えていた。
CRACK LIVES MATTER
以下、アメリカ人のコメント
Lloyd Billingsley
Loupdegarre • 7 days ago
Sheehanには現在のイランの惨状にも責任がある。彼は、国王の統治は残酷な独裁だとしてイランの国王は社会的正義の名のもとに追放されなければならないとカーター政権を嘘のデータを使ってたった1人で説得してしまった。彼はパーレビ国王がイランを近代化し反共産主義者だったという事実が気に入らないだけだった。そしてパーレビ国王の代わりとなったものは遥かに悪いものだった。
Stewart Hart Loupdegarre • 6 days ago
デタラメだ!
1953年のCIAによるクーデターがイランのアメリカに対する不信の原因だ!
objectivefactsmatter Stewart Hart • 4 days ago
マルクス主義者の世界でだけ通用する常識というものがここに示された。
Stewart Hart Loupdegarre 2 days ago:
「デタラメだ!1953年のCIAによるクーデターがイランのアメリカに対する不信の原因だ!」
イラン政府は初めから誰も信用していないよ、大馬鹿。イラン人の多くはアメリカに喜んで移り住みたがるだろう。「CIAによるクーデター」というプロパガンダは明らかに政治的目的のために利用されているものだ。まともな大人であればその事件におけるCIAの役割が私たちに対する戦争を呼びかける正当な理由にはならないということが理解できるだろう。それよりも、アメリカとイスラエルとの関係を非難した方がまだましだ。そのような行為もほとんど同じぐらい愚かなものだが、少なくともほんの少しだけは真実が含まれている。イランはシーア派の覇権を阻むものは誰であれ憎んでいる。
君は他人を無知だ愚かだと非難して回る前に事実をしっかりと調べるべきだ。君はマルクス主義がどういうものかということさえも知らないのだろう。
Loupdegarre Stewart Hart • 6 days ago
パーレビ王朝は世界で最も貧しい国の一つだったイランを裕福な民主主義国家へと変貌させた。それからイギリスとアメリカが去りソビエトが介入し始め大惨事を引き起こした「人民民主主義共和国」を創設した。そしてパーレビ国王はこの組織を抑圧した。マルクス主義者とソビエトが、愚かなカーターとターナーにおべっかを使って騙して言いくるめた。1977年に、カーターとターナーはハロウィンの虐殺として知られるある意味では歴史上初めてとも言える自国に対する、自分自身に対するクーデターを成功させた。この時に3000人のCIAの組織員が突如として切り捨てられイランから自力で帰還するように迫られた。カーターに反対していたCIAの職員は全員が非常に効果的に粛清されることになった。「1978年の11月に、カーターはビルダーバーグ・グループのGeorge Ballをブレジンスキーが指揮していた国家安全保障委員会のホワイトハウス直属イラン特別対策チームの最高責任者に指名した。彼はパーレビ国王への支援を取りやめイスラム原理主義のコメイニを支援するようにワシントンに圧力をかけた」。
objectivefactsmatter Stewart Hart • 6 days ago
説得力のある話だ。
Stewart Hart objectivefactsmatter • 4 days ago
あなたたちはチャーチ委員会以前のDCIAの証言が説得力のある話だと思っているのか?歴史修正主義者の右翼のプロパガンダ主義者たちは70年代に議会で委員会が開かれたことを忘れさせたいようだ。その当時の文書とビデオは今でも見ることができるというのに。
objectivefactsmatter Stewart Hart • 4 days ago
説得力のある話?だったらCIAが麻薬をばらまいたという説得力のある証拠を見せてくれ。
イランでCIAが活動を行っていたことがあるということはすでに指摘している。だがそれは君の妄想しているようなものではなかったと言っているだけだ。
Stewart Hart objectivefactsmatter • 4 days ago
wingnutたちがずっこけた。objectivefactsdon'tmatterはCIAがクーデターを指揮したばかりかそれを全米放送のビデオで認めた文書や委員会の様子を撮したビデオまでをも見たことがあると言っている。だというのに彼はこのプロパガンダ記事の主張を信じてしまった。客観的な証拠が示されても、彼は誤った主張の方を信じてしまうようだ。
objectivefactsmatter Stewart Hart • 4 days ago
どうしようもない馬鹿。
君は藁人形を叩いて勝手に喜んでいるだけだ。君は何一つとしてまともにできないのか?これまでのところ、君は何一つまともなことをしていないじゃないか。君は完全に気が狂っている。マルクス主義がどういうものかさえ知らないんじゃないのか?君の誤った考え方はすべてマルクスの批判理論から発生しているのかそれともポリティカル・コレクトネスがプログラムとして脳に組み込まれているせいなのか?
scherado • 7 days ago
歴史を教えてくれてありがとう。
Stewart Hart scherado • 6 days ago
嘘の歴史が語られている以外はこの記事には歴史なんて語られていない。
Loupdegarre Stewart Hart • 6 days ago
マルクスボーイ。
Stewart Hart Loupdegarre • 5 days ago
新しい言い訳はヒムラーのような左派をマルクス主義者だと非難することだ!事実を完全に無視して。
Stewart Hart Loupdegarre • 4 days ago
私のコメントやSheehanが言ったこと書いたことどれ一つとってもマルクス主義とは少しの関わりもない。マルクス主義とはWingnutたちが真実を言う人を貶すために用いる言葉だ。
Loupdegarre Stewart Hart • 4 days ago
典型的なマルクス主義者の言い訳。
objectivefactsmatter Stewart Hart • 4 days ago
違う。マルクス主義は主に共産党宣言によって定義されている価値の集合体のことだ。その世界観はアントニオ・グラムシが示唆したように隠れマルクス主義者やペテン師たちによってマルクス主義の価値を「常識」だと人々に思い込ませるために用いられている。
objectivefactsmatter Stewart Hart • 4 days ago
ヒムラーはマルクス主義の世界観を持っていたぞ、馬鹿。彼とその同志たちは「労働者による世界的な革命」をショートカットして新世界秩序の指導者になりたがっていた。
それに、君をマルクス主義者とラベルするのはそもそも論点ですらない、大馬鹿。
Lady MAGA Roberto Gortez • 6 days ago
君たちはアメリカで独占的な力を持つ彼らが魅力的なビジネスを放棄すると本気で思っているのか?
この記事を掲載することはこのサイトの信頼性を傷つける。彼らは麻薬ディーラーにお金を渡していたと知っていたと認めた。だが彼らは麻薬を買っていないと主張した。
このウェブサイトはBarry Sealsのことはどう説明するのか?分からない。知りたくもない。何も知りたくはない。
ほっておけ。この話を再び持ち出してきたことに恥を知れ。
objectivefactsmatter Lady MAGA • 5 days ago
事実はそのようなおとぎ話をサポートしていないからだよ。
What if CIA ordered sting operations to penetrate drug supply lines and so forth to achieve a certain end and some genius then said that cash raised should be used for slush funds since there was no agenda to accumulate evidence for use in trials? The government already participates in stings that accumulate wealth. We just have strict rules for how those funds are processed domestically. The CIA is not necessarily bound by those laws depending on how and where they operate and how the various laws are interpreted.
(省略)
I'm not saying it's OK to sell drugs in America, or anywhere else, to raise cash for the war on Communism. But if that is what happened in effect you need to be clear on what can be proved rather than just wringing hands and feeding these myths that the war on Communism and drugs was really about a war on poor people or minorities or whatever. Deal in facts before you feed sketchy agitprop narratives. Facts first.
Stewart Hart objectivefactsmatter • 4 days ago
一方、現実の世界では…
「CIAがヘロインを南アジアからキューバまで運びアメリカまで数十年間秘密裏に持ち運んでいたことを知らないほど無知な人間がいるのであれば、その人は無知すぎてワシントンで活動することはできないだろう。その逆にCIAがアメリカに麻薬を持ち運んでいると国民に伝えようとするようなナイーブな人がいれば、その人もナイーブすぎてワシントンで活動することはできないだろう」。
-Bob Fink, investigative staff, Pike Committee (the Senate Select Committee on Government Operations)
Bob Fink、Pike Committeeの調査員。
objectivefactsmatter Stewart Hart • 4 days ago
摩訶不思議な権力者への擦り寄りだ。
Wild Child • 4 days ago
素晴らしい記事だ。
Stewart Hart • 6 days ago
これはジャーナリズムではない。これは犯罪者たちの誤った主張が正しいかのようなフリをしながら、多くの、数多くの事実を無視しているプロパガンダだ。WebbはCIA自体によって裏付けられている。Cristic instituteの訴訟は一部の隙もない完璧なものだった。すべての描写が正しかった。Sheehanはマルクス主義に関してそのような愚かなことは一度も言っていない。実際、彼はそれと反対のことを多く言っていた。
故意に情報弱者であろうとする人間はこの戯言に騙されるのかもしれない。だが事実と歴史を知っている人間はこのようなガラクタには騙されないだろう。
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Stewart Hartという人は心の底から陰謀論を信じていたみたいなので(CIA陰謀説を本気で信じている人は大勢いる)、他の記事も参考にすることにした。
トルーマン大統領によって1947年に創設されて以降、CIAは奇妙な批判にさらされてきた。1950年代のLSDによるマインドコントロール実験のようなものは本当だと知られているもののケネディ大統領の暗殺や貯蓄&投資組合を破綻させたなどというものは笑い話となっている。1996年に、今度は麻薬をばらまいていると糾弾された。
San Jose Mercury-NewsのGary Webbによる記事がこの騒動の発端だった。彼の話によると、CIAはロサンゼルスの黒人コミュニティを使ってクラック・コカインを売りさばき中央アメリカでの活動の資金源にしたという。
陰謀論が好きな人たちにとってこの話は格好の話題となった。トークラジオは連日この話題を取り上げ、Maxine Waters議員のような黒人指導者は彼の記事を都市部の黒人コミュニティを破壊しようとする陰謀があったことの証拠だと主張した。
この記事で糾弾された人の1人は、今では引退していて最も人々の支持を集めていたRobert "Bobby" Nievesだった。
「まず理解しておいて欲しいことは、当時の中央アメリカは陰謀論者にとっての天国だったということです。Christic Instituteという団体、Gary Webbのような人たちは政治的利益のために日夜面白そうな話を考えていました」と彼は語った。「CIAが麻薬のディーラーだったという印象を人々の心に与えようとする話より面白そうなものはないでしょう」。
だがその記事が出版されて数週間が経った頃、Webbの同僚たちはその記事の信憑性を疑うようになっていた。ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズのベテラン記者、Webb自身の編集長は数少ない事実を巨大な陰謀論にまで捏造させたとして彼を非難した。
最も大きな問題は、彼の話を真に受ければ、CIAがわざわざコカインを加工してクラック・コカインを製造していたというところだろう。それは単なる陰謀論だ。実生活とは関わりのない奇妙な現実の捉え方だ。後に彼はインタビューで、CIAが組織としてもしくはCIAの誰かが麻薬の売買を実行したもしくはそれから利益を得ていたという証拠は何一つないということを認めている。
だが未だにCIAが黒人コミュニティにクラック・コカインをばらまいたという話は信じられている。彼の記事を見て怒りに駆られた大衆に答えるために、CIAは中央アメリカに関連した麻薬取引に関する内部調査を実施した。議会によって承認された独立した監視組織のFrederick Hitzが内部調査を実行した。CIAは2部に渡る彼のレポートの機密解除されたバージョンの方を公開した。
このレポートはこの騒動に関連する複雑な内情をはっきりとさせた。まずこのレポートはニカラグアの同盟相手が麻薬を扱っていたことをCIAが知っていたという訴えを退けた。だがCIAは多くのケースで麻薬に関する訴えをあまり真剣に気に留めていなかったと加えた。
The War on Communism
自らをキューバとソビエトの傀儡と見做していたマルクス主義のSandinistasが1979年に当時の政権を打倒した。レーガン大統領は大統領に就任するとすぐに控えめではあるもののマルクス主義者と戦う勢力に対する支援を開始した。彼らはニカラグアの抵抗軍、あるいはもっとシンプルにコントラとして知られている。
同じくマルクス主義者が国を乗っ取ろうとしていたブルマ、ラオス、アフガニスタンと同様に、ニカラグアも麻薬取引を行っていた。1981年に、Nicaraguan Revolutionary Democratic Alliance (ADREN)のメンバーはCIAとともにマルクス主義を打倒しようとしていた。Hitzレポートに記されているように、ADRENの指導者は「資金を調達するためにアメリカへの麻薬の密輸を行う」ことを決定したとCIAへの電報には記されていた。その電報には「最初の試験的な密輸」がマイアミに向かう飛行機を通して1981年の6月に行われたと記されてあった。
コントラの戦いの間を通して言えることは、レポートによるとCIAは「最初の試験的な取引」が行われたかどうかをあまり懸命には証明しようとしなかったもしくは訴えを最後まで調査しようとはしなかったということが挙げられる。ADRENは1982年に解散した。だがメンバーの数人はNicaraguan Democratic Force (FDN)に加わった。
他の事例では、CIAはDemocratic Revolutionary Alliance (ADREN)の5人のメンバー(ニカラグアとコスタリカの国境近辺で戦っていた)が麻薬売買に関わっていたとの訴えを受け取った。その5人は麻薬王Jorge Moralesと関わっているとされた。
CIAはADRENとの関係を1984年に解消したが、1987年まではMoralesと関係があるとされる5人のうち4人とは接触を続けた。
「コントラとSandinistasはお互いに戦っていたということを忘れてはならない。麻薬取引に関わっているとお互いを非難する非難合戦がひっきりなしに行われていた。幾つかはおそらく本当の訴えで、訴えの大部分はそもそもが戦いの一部でしかなかった」とHitzは語っている。CIAにとっての問題は、それらの訴えをどうやって調べどのように対応すればよいのかというものだった。
「彼らが取った対応策はそれぞれの訴えを追跡するというものだった」と彼は語っている。「だが幾つかのケースでは、アクションはほとんど取られなかったように思える」。
The Letter
1982年に、「Memorandum of Understanding」(MOU)という一通の手紙がワシントンD.C.で公開された。この手紙を書いたのはWilliam French Smithで受け取ったのはCIAディレクターのWilliam Caseyだった。
語られていたのは現地のCIA職員が犯罪を目撃したもしくは気づいた時に報告が求められていた犯罪のリストに関するものだった。特に情報提供者やCIAが「エージェント」としてリクルートしたいと考えていた対象が入念に調べられた。このリストには殺人からパスポートの偽造に至るまでありとあらゆる種類の犯罪を記すようにと云われていた。だが麻薬の売買だけはこのリストから除外されていた。
コメントは記されていなかった。その後に、司法省での内部議論に基づいたフォロー・アップの手紙がCIAに送られた。
「麻薬の売買をリストに含めるべきかどうかが議論になっています」と1982年2月11日の手紙にSmithはCasey宛に書いた。だが麻薬の売買をリストには含めずに、Smithは麻薬取り締まりに関する現行の連邦法で十分だと答えた。
「このような法律が存在しDrug Enforcement AdministrationとCIAとの関係が良好である中で、麻薬売買をこのリストに含めるよう働きかける必要は特にないと思います」。実際に、CIA職員は麻薬売買を本部まで報告することを求められないということで合意が成立した。Fred Hitzが語ったように、これは「中途半端なメッセージ」だった。
これは意図的なものだったのか?Fred Hitzは憶測を控えている。彼はCIAの職員が一人でも関わったとは信じ難いと答えている。「もしCIAと麻薬との関連が一度でも示されれば政治的ダメージは計り知れないと、この時期にはよく知られていた」からだ。
「私たちが質問したすべての職員、それに上院が質問した人々も含めてが、もしこのプログラムに麻薬が関わっていればそれは失敗を意味するということをよく理解していたことは極めて明らかだ」と彼は語った。
だが、1987年に麻薬売買をリストに加えるかの問題が再び取り沙汰されたように、麻薬違反に関する指示はCIAの本部からは特に出ていなかった。その当時のCIA長官Robert Gatesは同じくCIAのClair Georgeに1987年にメモを送っている。そこには例え麻薬取引の容疑だけであってもその人間との関係を断ち切ることはCIA職員にとって義務であると書かれていた、とレポートには記されている。
Gatesのメモを読んだGeorgeは、CIAが接触した契約者の誰一人として麻薬取引に関わっていないということを確実にさせるために入港管理局、航空会社、麻薬取締局、税関、FBIにまで徹底的に調べさせた。何らかの理由により、このメモはCIAの職員に局全体の方針として発せられることはなかったとHitzはレポートに記している。
Hitzはリストからの麻薬取引の除外もGatesのメモが現地の職員に伝えられなかったこともいずれも官僚主義の弊害だと解釈している。だがこれらのことはCIAを敵視している人たちには批判のネタを与えることになった。
Jonathan Winerはマサチューセッツ州のケリー議員が率いる上院調査委員会のスタッフで国際的な麻薬問題に関する国務長官の前副次官補だった。「イデオロギーとの戦いに勝利することに集中していれば、恐らく麻薬の取締などには注意が削がれるのだろう」と彼は語った。
The Ilopango Air Base
サンサルバドルのIlopango空軍基地での話は、CIAが麻薬を拡散させたという主張を信じたい人たちにとっては人気の話題となった。1985年に、麻薬取締局はCarlos Albert Amadorを追っていたとレポートでは記されている。彼は南コントラ戦線の前パイロットだった。彼はコントラの秘密のミッションを以前は担当していた。だが1985年に、彼にはコスタリカからマイアミへと麻薬を輸送しているという容疑が掛けられた。CIAの電報は、彼は「Ilopango空軍基地のHanger 4へのアクセス権を持っていた」と報じている。
その電報は、「彼は恐らくサンサルバドルで麻薬を積みグランドキャニオンを経由して南フロリダへと向かったと思われる」というDEAのソースを引用している。そしてDEAは彼を調べるためとHanger 4に関わったすべての人間を調べるためにサンサルバドル警察へと尋ねに行ったとも電報は付け加えている。
だがHanger 4には(電報を書いた本人が後にCIAの調査官に語ったことだが)ホワイトハウスから秘密の命令を受けていたOliver Northも関わっていたと見られていた。
CIAの本部は支部に対して、「その施設ではホワイトハウスからの正規の指示を受けた任務しか行われていないのでDEAはHanger 4に関わった人間には調査は行わないだろうと思われる」と語っている。
DEAの前現地調査員であるNievesはCIAの意向がDEAによる麻薬取締条例を上書きしたとの言い掛かりを完全に否定している。
「私には仕事に対する完全な自由裁量が与えられていた」と彼は語った。「私がしていることが邪魔だと言った人は1人もいない。私の仕事に対して介入は一切なかった。優先順位の書き換えも競合もなかった。DEAの使命をまっとうする、それ以外のことはなかった。それが事実だ」。
だが他のDEA職員は、契約労働者に対するCIAの緩い取り扱いが邪魔とまでは言わなくても助けにはならなかったと語っている。
「CIAが契約を交わした一部の労働者は麻薬の持ち込みに関わっていたと私は信じている」とDEAの現地調査員Hector Berrellezは語った。
「CIAの契約労働者の一部、つまり数人のパイロットは麻薬を持ち込んでいた。私が知っているのはそのパイロットの1人が麻薬を持ち運んだと私に語ったからだ」。
Berrellezのように一部は「CIAの契約労働者」が麻薬を持ち込んだと主張しているが、インタビューしたDEAの職員のほとんどはCIAの関与を否定している。私たちはCIAのエージェントが麻薬取引に関する裁判の対象となるとする証拠を一つも見つけることができなかった。
Drug policy: MIA
「もし仕事がスーパーマーケットの陳列棚に並んでいる食品をチェックすることであれば(中略)棚に商品を並べている人の仕事は気に掛けないだろう。それはその人の仕事ではない(DEAの仕事だ)」とCIAが中央アメリカでの麻薬売買をそれほどチェックしなかった理由をJonathan Winerは語った。
DEAの前職員、CIAの高官、Colonel Oliver Northへのインタビューから明らかなようにCIAは中央アメリカでの麻薬の拡散(ソビエトとキューバが拡散させたものだということは左翼は無視する)を無視していなかった。ベトナムの記憶がまだ新しかったこの時期では、ニカラグアへの支援を議会に説得するのは容易な仕事ではなかった。麻薬取引が少しでも疑われればそれは失敗を意味した。
だがCIAの現地の職員とのコミュニケーションが不完全であったことを考えると麻薬の持ち込みを完全に防げたとは確信を持って言い難い。
「麻薬に関する訴えをどのように取り扱ったら良いのか司令部からの具体的な指示はなかった」とHitzは語った。「彼らは何らかのガイダンスに従って動いていた。だが彼らはblack letterとしてそれを公開していなかったしそれを現地に送ってもいなかった」。ニカラグアでは、CIAの職員は彼らの接触者が麻薬取引に関わっていたかの報告は基本的に免除されていた。
1980年代の初期には、麻薬取引の疑いのある接触者をどのように扱うかの指導法が書かれたハンドブックがすでに出回っていた。だがこのガイダンスはコントラには適用されなかった。その指導は麻薬に関する諜報を専門とするCIAエージェントのためのものだったからだ。それは中央アメリカに関して書かれたものではなかった。理由は不明だが、そのハンドブックは15年が経過するまで正式には出版されなかった。
加えて、1980年代の中頃には、CIAを麻薬密売の世界から隔離し続けることはOliver Northの「off-the books」として知られるオペレーションを実行するためのCIA長官Caseyの判断により以前より難しくなっていた。
イラン/コントラ事変で中心的役割を果たしたことに加えて、Oliver Northは麻薬の運搬を副業に行う空運/海運会社を雇ったとも云われている。
Kerry Commissionが報告書を1988年に公開した時、その会社Frigorificos De PuntarenasはNicaraguan Humanitarian Assistance Officeから2600万円を受け取ったとしてリストに記されていた。ニカラグアの抵抗軍への人道的支援として27億円を支出するために議会によって設立された組織だ。
Frigorificosのオーナー、Luis Rodriguezはフロリダ州のマイアミ沖でOcean Hunter/Mr. Shrimpという会社も営んでいた。
1986年に、DEAはユッカという植物の裏に隠されていたOcean Hunter宛のコカイン400パウンドを押収した。Rodriguezは後にどちらの会社も資金を洗浄するために使用したと証言している。
Oliver Northはこのオペレーションに関わったメンバーが麻薬取引に関わっていたということを否定している。だが1987年にこの会社の共同オーナーはNSCを指差した。Moises Nunezは、彼は1985年以降NSCと関係を持っていたとCIAに語っている。
「外交方針が共産主義の拡大を食い止めるということであれば、それは麻薬の拡散を食い止めるという目的とも一致する」と彼はFRONTLINEという番組で語った。「麻薬が流入することを私たちは許容しない。不幸なことに、議会の一部には騒ぎを起こしてニカラグアの抵抗軍に責任をなすりつけたい者がいるようだ。だがそれは事実ではない」。
「彼は誤った情報を与えられているか嘘をついているかどちらかだ」とWinerは語った。「彼の日記は麻薬売買への懸念や彼の会社で麻薬売買に関わっていたと見られる人たちのことで埋められていた。彼は、「私は麻薬の密売人を一度も雇ったことはないし一緒に働いたこともない」と言うことは可能だろう。だが彼の組織がそれをやった」。
Kerryレポートは麻薬とのつながりを持っていたと云われるNicaraguan Humanitarian Assistance Officeに使われた幾つかの会社をリストに挙げたものの、政府の機関がそれらのつながりをどれぐらい知っていたかは明らかにできなかった。
「良い方に解釈すれば、それらの出来事は政府側の不注意を示したものと解釈できる」とHitzはレポートで語っている。「最も悪く解釈すれば、正規の活動を麻薬密売の隠れ蓑に使った会社の活動を見て見ぬふりをした事件として解釈できる」。
Situation Unresolved
この言葉がこの議論をまとめている。レポートにはCIAの優先順位として麻薬の位置付けが低かったことを示す個々の事例で溢れている。そこには訴えの多くが部分的にかあるいはまったく調べられていないことが記されていた。
それは、歴史的に麻薬が紛争の種となってきただけではなく経済全体を動かしてきた国での戦いではごく当然に予想されることだと多くの人は考えるだろう。
「このような国での戦いでは麻薬の密売人、武器の密売人、密入国の斡旋業者に頻繁に遭遇するだろう」とWinerは語っている。「そしてそれはアフガニスタンであろうとコロンビアであろうと南アジアであろうとブルマであろうとどの場所でもどの政府でも当てはまる」。
陰謀論は論外としても、どうしてCIAは繰り返し麻薬の密売人と疑われる人間と接触してしまうのかという疑問は残る。
Fred Hitzはそれに対する回答を持っているようだ。
「これは官僚制の失敗だと思われる」と彼は答えている。「CIAはそれが分かっていなかった。CIAとその官僚性を8年に渡って調べていくうちに、誰一人として全体像を把握せず正しい情報を現地に伝えようとしていなかったことに、予想していたことではあったが悲しい気持ちにさせられた」。
「陰謀はなかった」と彼は答えた。「そこにあったのは無為無策だった。確かにCIAは様々な対応をしたし責めるには酷な事情が存在した。議会で証言をした。世界のいたるところで危機があった。これらのガイドラインを懸命に作成させた。だがそれは言い訳にはならない。
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