Fred Fleitz
党派による対立が強まっている現在にしては珍しく議会が合意することがあった。委員会は非常に重要な事案に関して超党派でそれも全員一致で報告書を提出した。これは150万の機密文書を盗み出してそのうちの数千をメディアへとリークしたNSAの前職員エドワード・スノーデンが勇気ある告発者だったか裏切り者だったかに関する報告書だ。
下院のPermanent Select Committee on Intelligence(私はここで5年働いていた)による報告書は専門家の多くが初めから語っていたことを確認している。彼は告発者ではなく、アメリカの国防に甚大なダメージを与えた不満を抱えた前諜報機関の職員だった。ここにこの報告書の要約がある。
下院の諜報委員会による報告書はこれ以上ないというタイミングで出された。オリバー・ストーン監督のスノーデンの聖人伝が公開される前日で、リベラル派のグループとメディアがスノーデンが国民の自由を守ったので彼に恩赦を与えるようにオバマに請願する新しいキャンペーンを行っている時だったからだ。委員会の報告書は衝撃的だ。
メディアが盛んに宣伝していたこととは真逆に、彼が盗んだ文書のほとんど大部分は個人のプライバシーに影響を与えるようなプログラムとは一切関係がない。彼が盗んだ文書はアメリカの敵対国にとっては非常に利益となる軍事、防衛、諜報活動に関する情報がほぼすべてだ。多くの専門家はすでにそのように結論していたが、この報告書はスノーデンのリークによって受けたダメージを修復するためアメリカ政府がこれまでに少なくとも数百億円を費やし最終的には数千億円を費やすことになるだろうという情報を付け加えている。スノーデンのリークによって最も知られるようになったのはNSAのメタデータ・プログラムだろう。通話記録は集めるが電話の内容には触れないプログラムだ。このプログラムは長年議会の諜報委員会によって監督され、テロリストによる数多くの攻撃を防いだというのに、スノーデンのリークのせいでヒステリーを起こす人たちが現れ、メディアや議会の幾人かのメンバーらが無知な攻撃をしたために、議会とオバマはテロの容疑者を識別して追跡するのを非常に難しくした大きな制約をこのプログラムに課した。
彼を擁護する人たちは、メタデータ・プログラムは憲法に違反し国民のプライバシーを侵害していると主張する。よって彼がそれをメディアにリークしたことは正当化され、それ故恩赦を与えるべきだと主張する。このプログラムを懸念していたと主張している割には正当な法的手続きを彼が踏もうともしなかったということは取り敢えず問題としないとしても、このプログラムは合法であると圧倒的多数の裁判による判決で認められ、議会と司法省がこのプログラムを監視し、ほんのわずかの違反しか存在しないというのが事実だということは一切伝えられない。この話に関してもっと知りたいのであれば、2015年5月の私の記事「NSA Data Collection: Necessary or Unconstitutional」を見て欲しい。
機密が解除された報告書の概要には、彼のリークが敵国やテロリストたちにどのように利益を与えたのかその詳細までは記されていないが(詳細は下院のメンバーであれば見ることができる機密バージョンの方に記されている)、アメリカの諜報機関の職員たちは彼のリークによってISISやアルカイダが西側の監視網から逃れることができるようになったと公に語っている。前CIA長官のJames Woolseyは、彼がNSAの監視技法を漏らしたことで2015年11月のパリでの大規模テロを実行したテロリストたちの通話記録を傍受することができなくなってしまったことを考慮して極刑に処すべきだと主張している。
SNOWDEN WAS NOT A WHISTLEBLOWER.
機密の情報をリークしたというだけでは告発者とは呼べないと委員会は当然のごとく結論している。諜報機関の活動への懸念を表明するのであれば他に法的手段がいくらでも残されていたが、スノーデンはそれらを考慮した痕跡すらまったくなかったと委員会は結論している。もしスノーデンが告発による報復を恐れたというのであれば、彼はそれらの資料を持って下院の諜報委員会を訪れればよかっただけだ。ここでは彼のような諜報機関の契約職員たちからの情報公開/告発をいつでも受け付けているし、実際定期的に受け取ってもいる。
スノーデンは仕事仲間のセキュリティ認証を用いて彼らのパソコンから情報を盗み、そして数千人の諜報機関の従業員と契約労働者の個人情報を削除している。彼と彼の擁護者たちから、どうして正当な告発者がそのような行動をする必要があるのかという理由を未だに聞いたことが無い。
彼が言うところの政府による監視プログラムの存在を知らせたいというのであれば、少しの資料を公開すればそれで済んだはずだ。国防に大損害を与えるあれだけの膨大な機密文書をどうして公開したのか彼は一度もまともな理由を答えていない。これは、彼のリークはアメリカの国防にダメージを与えることと自分の売り込みがすべてで告発とは少しも関係がないことを示していると私は考えている。ワシントン・ポストのWalter Pincusは「本当の告発者であれば公開する文書は最小限にし、それらが国防にダメージを与えないかどうかを確認し、自分の行動の結果を受け入れるため国内に留まるだろう」と似たような考えを示している。
彼が称賛していた告発者の伝統に習って国内に留まるのではなく、彼は香港へと逃亡し、次にロシアへと向かったと報告書には記されている。彼はアメリカの機密をロシア政府に漏らしていないと主張しているにも関わらず、ロシア政府の高官はそうではないと2016年の6月に語っているとも報告書は指摘している。報告書はスノーデンが外国の諜報機関に雇われていたかどうかに関しては沈黙している。彼は外国のエージェントだったと私は信じている。前CIA高官のRobert Baerもそう考えている。彼は、スノーデンが2007年にジュネーブで勤務していた頃にロシアの諜報機関によって勧誘されたとCIAは考えているとロンドン・デイリー・メールに語った。Baerは、スノーデンが最初に香港に向かったのはロシアの諜報機関の関与を「ごまかすため」だと考えている。
スノーデンは仕事での態度が悪いとマネージャーに繰り返し注意されていたこと、正規のプロトコルを完了できなかったことに対して繰り返し叱責されていたことを通して不満を募らせていたと報告書は語っている。Eric Schmittによる2013年のニューヨーク・タイムズの記事でも似たようなことが報告されている。彼はアクセス権を持たない機密ファイルに侵入しようとして捕まった後、ジュネーブの勤務地から自宅に送り返されたと記されている。CIAのジュネーブでの彼の監督官は、彼の行動と勤務態度に大きな変化があったと彼を非難する言葉を幾度も個人ファイルに書き記している(この時から問題行動が目立っていた)。ニューヨーク・タイムズの記事によると、彼を非難するこのレポートは組織間の間隙に落ち込み、彼が契約労働者として雇われた時にNSAへと送られることはなかったという。
SNOWDEN WAS AND REMAINS A SERIAL EXAGGERATOR AND FABRICATOR.
報告書はスノーデンが繰り返し「故意に嘘」をつき続けていることを指摘している。彼が軍を追い出された時のこと、高校を卒業したと嘘をついたこと、エントリーレベルのコンピューター技師だったのにCIAのシニア・アドバイザーだと嘘をついたこと、監督官に対して健康に関して嘘をついたことなど。Director of National IntelligenceのJames Clapperによる2013年3月の議会証言がメディアに対して巨大なリークを始めた理由だとスノーデンは主張しているが、彼はこの情報をその8ヶ月も前から盗み始めていると報告書は記している。報告書は触れていないが、スノーデンのリークに協力したジャーナリストGlenn Greenwaldは、2014年に出版された本「No Place to Hide」でスノーデンは2012年12月1日に彼に最初の接触を試みたと記している。
THE NSA AND OTHER U.S. INTELLIGENCE AGENCIES HAVE NOT DONE ENOUGH TO PREVENT ANOTHER MASSIVE UNAUTHORIZED DISCLOSURE.
他のことではオバマの政策に大反対しているが、彼がスノーデンを告発者と呼ぶことを拒否し彼を裁判に掛けると言い続けていることは支持している。下院の諜報委員会の報告書は彼の立場を裏付けスノーデンに対する恩赦の可能性を木端微塵に打ち砕いたと信じている(委員会はオバマにスノーデンを恩赦にしないようにとの全会一致の超党派の手紙を送ってもいる)。諜報委員会はオリバー・ストーン監督や左翼などが彼を英雄だとか真の愛国者だとか嘘出鱈目を本当のことにしようと活動を活発にしている時に、国民に真実を伝える素晴らしい報告書を提出してくれた。
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