Noah Beck
2011年の3月に始めったシリアの内戦により47万人が亡くなったと、Syrian Centre for Policy Researchは2月に報じている。それは一日あたり262人、月あたり7860人が死亡していることを意味する。戦闘は今も変わらぬペースで続いているので、一日あたり200人という数字を当てはめると戦死者は52万人を超えていることになる。
そのような数字は、中東を基準としても衝撃的だ。だが戦闘はあまりにも激化して日常化してしまったので、悲劇的な映像がたまに流れる時以外は国際的な注意をひくことはほとんどなくなってしまっている。最も最近の事例は流血にまみれ廃墟に包まれた5歳のシリア人の少年Omran Daqneeshだろう。
彼の悲劇的な映像は世界中で怒りを引き起こした。同じくシリア人の少年Aylan Kurdiの映像が流れた時と同じように。だがあの少年の例が示すように、シリアでの少年の悲劇が国際的な同情を買ってから1年が経った後も、状況は少しも変わっていない。
状況が変わったとすれば、この複数の勢力が絡んだ代理戦争の被害はむしろ拡大しているように思われる。Aylan Kurdiの映像が流されてから、ロシアはアサド体制を支援するためにシリアで絨毯爆撃を開始した。Syrian Observatory for Human Rights (SOHR)は9ヶ月間のロシアの爆撃により3089人の市民が亡くなったと推計している。これは、ある試算によると、イスラム国に殺害された市民の数よりも多い。
だがシリア自身の爆撃による死亡者が戦死者の大多数を占めている。Syrian Network for Human Rightsによると、アサド政権は2011年の3月から2014年の6月までに10万9347人のシリア市民を殺害した(戦死者の88%を占めている)。これは一日あたり91人の市民が亡くなっていることを意味する。最近ではSOHRは、2014年の11月から2016年の6月までの20ヶ月に9307人のシリア市民が亡くなったと報告している。
これを2011年から2014年までにイスラエルによって殺害されたと云われているパレスチナ人の人数と比べてみよう。反イスラエルバイアスが掛かっていると糾弾されているヒューマンライツ・ウォッチによると2011年には37人が、2012年には103人が、2013年には15人が2014年には1500人(ハマスが人口の非常に多いガザ地区からイスラエルに向かってミサイル攻撃をした年)がイスラエルによって殺害されたと云われている。それは4年間で1655人だったことを意味する(ほとんどが最終年に集中している)。ほぼおなじ4年の間に、シリア市民の死亡者数は(あくまでヒューマンライツ・ウォッチが申告している)パレスチナ人の死亡者数の76倍以上だったことになる。
それにも関わらず、ヨーロッパ連合(EU)はイスラエルは戦争を引き起こしているとしてイスラエル製品だけにボイコットを促した。シリアやロシア、イランというシリアでの流血に責任がある国の製品やサービスにはヨーロッパの消費者はまったく警告を与えていないというのに。人権派の弁護士Arsen Ostrovskyは、人権に対する懸念という理由からイスラエル製品に対するボイコットを呼び掛けている団体、EUなどからこれらの国が一つもターゲットとされていない様子をつぶさに記している。シリアでアサド政権を支援していることに加えて、イランは麻薬の使用から同性愛者であることなどありとあらゆる理由で人々を処刑している。だが、恐ろしいまでに滑稽なことだが、グーグルで検索すると「イスラエルの学術機関をボイコットする」とは表示されるが「イランの学術機関をボイコットする」とか「シリアの学術機関をボイコットする」では表示されない。このことが問題を簡潔に表している。
実際、冒頭で紹介した国際社会の怒りというものは遥かに流血の少ないイスラエルに対するリアクションに比べると恥ずかしいことにあってないようなものだ。Omran Daqneeshがイスラエルの攻撃によって傷ついたガザ地区のパレスチナの少年だったとしよう。シリアの時のほんの数秒ほどの同情とは異なり、大学のキャンパス、メディア、NGO、地球に存在する世界中の機関が怒りに我を忘れるだろう。イスラエルの大使は攻撃され、フランスにあるシナゴーグは炎に包まれるだろう(2014年にはたった一週間で8箇所が攻撃された)。世界中のユダヤ人が攻撃され暴行を受け、EU、国連、オバマからの非難で溢れかえるだろう。緊急の国連決議と小委員会が招集され光のような速さで非難決議が発せられるだろう。国際的な調査団が派遣される。ハマスやテロリストたちが先に戦争を開始させているにも関わらず、もしくは被害を最大化させるために人間の盾を用いているということにはお構いなく国際的な非難がイスラエルを洪水のように襲うだろう。イスラエルは、被害を最小化させるために非常に危険でどこの国も行っていないような方法で戦っているというのに、特定の思想の人々によって取り憑かれたように悪魔のように非難されるだろう。
どうしてイスラエル人の命はそれほどまでに軽いのか?どうして学生活動家、国連、EU、メディア、そして他の残りの国々はシリア市民の殺害よりも疑惑だらけのパレスチナ市民の殺害をそれほど重く見るのか?そのような行為はシリア人に対して極めて不正義だ。そしてそのような行為は建国以来テロリストの攻撃に晒され続けてきたイスラエルに対しても極めて不正義である。イスラエルは、アフガニスタンでのイギリス軍の前司令官であるCol. Richard Kempによると、歴史の中で他のどの国よりも市民を守る努力を行っている国だと云われている。
イスラエルを非難することに世界がとりつかれているせいで、シリアやイラン、ハマスなどの真の悪が世界最悪の犯罪に従事することを可能にしている。
MN dude • 9 days ago
ユダヤ人を盲目的に憎悪してしまったイスラム教徒の手によってこれまた同じくユダヤ人を盲目的に憎悪してしまったイスラム教徒が数十万人と殺害されているわけか。
Snorbak MN dude • 9 days ago
君は要点を突いた。彼らは自分たち自身の憎しみの被害者だ。
Robert Hanson • 4 days ago
サウジアラビアはイエメンで3000人の市民を虐殺した。このこともほとんど言及されない。奇妙な世界に住んでいるものだ。
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