2016年12月10日土曜日

イスラム過激派は(反米ではなく)異教徒すべてを攻撃の対象としている?Part1

CONFIRMED: ISLAM, NOT ‘GRIEVANCES,’ FUELS MUSLIM HATE FOR THE WEST

RAYMOND IBRAHIM

古くからある(そして不毛な)議論がそれを解決するのに最も適した立場にいる人たちによって決着を見たようだ。政治経済学を教えるAndrew Grippによると、

「9月11日以降、アメリカと西側の政治の決定的な断層線の一つはアルカイダやISISのようなジハーディストは宗教を動機としているのかそれとも政治を動機としているのかを巡る考えの対立だった。もっとはっきりと言うと、西側の外交政策に対する不満の表れなのかどうかということだった。あるグループはイスラムの教義が彼らの暴力の源泉だと主張し、他のグループは彼らのような過激派はイスラムではなく宗教を装って西側の影響力と介入を排除しようとしているだけだと主張した。

「ジハーディストたちの行動がコーラン、ハディース、それにイスラム教をよく知る人たちが言っていることからどれぐらい一貫して予測可能か」ということを示唆した後で彼は、

「だが、このことを調べるのは長年に渡って難しい問題となっていた。それは部分的にはアルカイダが意図的に両者を使い分けて話していたからだ。Raymond Ibrahimが「The Al Qaeda Reader」で示したように、アルカイダは西側に向けてメッセージを発している時は西側の政治に不満があるかのような表現を用いる(西側が引き上げさえすれば平和が訪れるといったような印象を人々の深層心理に刷り込むために)。だがイスラム世界に向かってメッセージを発する時には彼らは極めて洗練された宗教的議論を展開する。表面的には非難されるような彼らの行動が、聖なるテキストを深く読むと実は正当化されていると説明をする」

これが私がアルカイダがイスラム世界へ向けて発した内部向けのコミニケと西側へ向けて発したコミニケとをそれぞれ1つずつ比較して翻訳し出版しようと思った最大の理由だ。それらのトーンと目的の際立った違いを示すためだ。10年前に私がこの本のまえがきで書いたように、

「アルカイダとその同調者(左翼)たちのプロパガンダとは異なり、この膨大な量の翻訳は過激派のイスラム教徒たちの戦いは西側に限定されるのでもなければ政治的不満に端を発するものでもないことが再び明らかにされた。彼らの戦い、すなわち彼らが信じるところのジハードは時間や空間を飛び越えてそして信念に深く根ざしている」。

だが今となっては、本人たちの口から直接聞けるのだから世界の人たちは私の本を必ずしも頼りとする必要はないだろう。「Why We Hate You & Why We Fight You」というタイトルの記事で、イスラム国は6つの理由を挙げている。とは言え、第一の理由が形を変えただけではあるが。

『我々はお前たちが嫌いだ。第一にして最大の理由は、お前たちが異教徒だからだ。自覚していようともなかろうとも、お前たちはアラーの唯一神性を否定している。お前たちは彼を冒涜している。お前たちは彼の予言とその預言者に対して嘘を言っている。そしてお前たちはイスラムの戒律に背くすべての悪魔的行いを自由気ままに行っている。これらの理由により、我々は我々の憎悪と敵意をお前たちにぶつけるようにと神より命を受けた。これにはすでに良い前例がある。「我々はお前たちとの係わりを断つ。お前たちがアラー以外に捧げるものすべてから関わりを断つ。我々はお前たちを拒絶する。そして我々とお前たちの間には、お前たちがアラーだけを信じるようになるまでは敵意と憎しみが永遠に生じるだろう」(Al-Mumtahanah 4 [i.e., Koran 60:4])。お前たちの不信心がお前たちを憎悪する最大の理由であるとともに、お前たちと戦う最大の理由でもある。お前たちがイスラム教徒になることによりイスラム教を認めるようになるか、ジズヤを払い(ただし払えるだけの裕福さがあればの話だが)イスラムの支配の下、屈辱に生きるかを選ぶまでは不信心者と戦うようにと我々は命令されたからだ[per Koran 9:29]』。

これはとてもシンプルだ。それも伝統的なイスラムの世界観に合致している。繰り返し繰り返し指摘されたように、イスラム教徒が自分たちと国籍、民族、文化、言葉がまったく同じ自分の国の男性や女性をただたんにキリスト教徒であるというだけの理由で大量に処刑しているのに、西側の「異教徒」をイスラム教徒がテロで殺害することのどこに少しでも驚きや「政治に対する不満」という擁護が介入する余地があるのか?

第二の理由と第三の理由は本質的には第一の理由と同じだ。世俗主義者と無神論者はアラーを信じていないため、アラーに逆らっているため憎悪され攻撃される。第四の理由として挙げられている「イスラムに対する犯罪」とはイスラムの正統性を認めることを拒むことが「犯罪」とされている。

そして西側の外交政策に対する「不満」は第五と第六の理由としてようやく挙げられているに過ぎない。それも付け足しとして。

「ここで最も重要なことは、お前たちの外交政策が我々を憎悪に駆り立てていると主張している者がいるが、そのような理由は我々にとってどうでもいいということだ。だから我々はこのリストでも最後の方でしか言及していない。事実として、お前たちがイスラムに対する外交政策を変更したとしても我々はお前たちを憎悪し続けるだろう。お前たちがイスラムに改宗するまでは我々がお前たちを憎悪する唯一にして最大の理由が存在し続けるからだ。お前たちがジズヤを支払い屈辱に震えながらイスラムの下で生きることを選んだとしても、我々はお前たちを憎悪し続けるだろう」。

この憎悪は西側の人々には理解が出来ないものだ。この憎悪こそが非イスラムの妻をイスラムの夫が憎悪する原因で、アメリカの「最大の友人で同盟相手」であるサウジとカタールがいたるところで西側に対する憎悪を煽り立てている原因だ。

そしてアルカイダをジハードへと駆り立てているものも常にこの憎悪だ。非イスラム教徒に対して憎悪を呼び掛けるコーランの一節はすべて頻繁にアルカイダによって引用されている(現在のアルカイダの指導者、Ayman Zawahiriはどうしてイスラム教徒はイスラム教徒ではない者を憎悪するようにコーランは命じているのかということを60ページに渡って書き綴っている。「The Al Qaeda Reader」の63ページから115ページを参照)。

オサマ・ビン・ラディンはかつてこのように書いた。

イスラム教徒と異教徒との関係に関して、それは「 Most High’s Word」という文書にまとめられている。「我々はお前たちを断罪する。お前たちがアラーだけを信じるようになるまでは敵意と憎悪が我々とお前たちの間を永遠に分かつだろう」(ISISが最近出版した文書にあるコーランの一節)。従って異教徒、無神論者に対する心の底からの敵意がある。この強烈な敵意は異教徒、無神論者がイスラムに改宗するか、ズィンミーとなるか、イスラム教徒が弱く充分な力がない場合以外には戦いが停止することはないだろうということを意味する(ビン・ラディンは、異教徒の前ではこの対立は「外交政策」によって引き起こされたものだと主張することにより真の動機を偽装しなければならないと語っている)。だがもしこの憎悪が心から消えたとすれば、それこそが最大の背教行為だ!従って、この憎悪こそがイスラム教徒と異教徒との関係の根本であり根源でもある。戦い、敵意、そして憎悪こそが我々と異教徒、無神論者との関係の源なのだ(The Al Qaeda Reader, p. 43)。

だが彼が西側に発していたすべてのコミニケでは、ビン・ラディンはアルカイダの戦いはすべて西側の外交政策に原因があると主張していた。それらをやめればテロリズムは終焉する、と人々の深層心理に働き掛けていた。驚くべきことに、このレトリックは多くの所謂「専門家」によって額面通りに受け入れられてきた(前CIAエージェントで、「Imperial Hubris」という本の筆者のMichael Scheuerのように)。そして疲れも知らずに繰り返される質問「どうして彼らは私たちを憎悪するのか」に対するデフォルトの答えとされた。2014年に西側の外交政策に対する「不満」がISISを駆り立てる原因だとオバマが語った時のように。

もちろん、西側の指導者がアルカイダの「不満」を額面通りに信じてそして今ではISISがジハードの真の目的をはっきりと告げているにも関わらずこれまで通りの振る舞いを続けることも本人たちの勝手だ。だがこの期に及んで「政治的不満」が原因だと語る指導者、アナリスト、「専門家」は未だに増殖を続ける愚か者と嘘つきのカテゴリーに含まれることになる。

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