2016年5月21日土曜日

日本でリフレ派が総崩れしていたその頃、アメリカではケインズ派が悲惨な総崩れをしていた?パート4

FAILED FISCALIST FORECASTS

Mark Sadowski

金融政策がゼロ金利の下でも緊縮の影響を打ち消すことが出来るかどうかのテストという議論が最近再び議題に上がるようになってきた。Russ Robertsは論争の口火を切った(リンクは省略)。

Simon Wren-Lewisはそれに反論しようとした(同じく)。

それに対してScott Sumnerは再反論した(同じく)。

私は以前に同じ内容の話を数か所の場所で行った。だが今度はより完全により明確に議論してみようと思う。

まず手始めに、財政支出の一律削減は2013に行われた緊縮のわずかな部分でしかないということを理解する必要がある。「財政支出の一律削減」はBudget Control Act (BCA)の一環として定められた特定のカテゴリーの支出の自動的削減を指す。始めには2013の1月1日より開始されることになっていたが2012のAmerican Taxpayer Relief Actによって3月1日までの2か月間延期されることになった。この法律にはEGTRRA and JGTRRA(すなわちブッシュ減税)の一部期限切れ、2年に渡る給与税の減税、失業保険給付期間の延長などの期限切れなどにも効力が及んでいる。高額所得者への増税、給与税の増税、失業保険給付期間の延長の継続が2013の1月1日に実施されることになった。

要するに「財政支出の一律削減」は2013の3月1日まで実施されておらず、2013の1月1日に実施された2つの増税のことには関与していない。2012の11月のCBOによる「財政の崖」の分析によると(これには支出の一律削減が2か月間延期されたことが考慮されている)、「財政の崖」が予算に与える影響の70%ぐらいはこの増税によると説明されている。他の人たちがしている分析がまったくもって正確でないのはこれが理由だ。

さらに、CBOによるものであれ信頼できる他の民間のものであれ緊縮の影響を予想しているもののどれ一つも2013のRGDPの年間の成長率のことには言及していない。それらはすべて2013の四半期のRGDPの成長率もしくは2013のQ4からの対前年比のことしか言及していない。これはある年度の初めもしくはその近くに始まった予算の変化がその後の成長にどのような影響を与えるかを知りたい時には妥当な方法だからだ。Q4/Q4は予算の変更以降の4回の四半期の平均を表している。Year/Yearは前年と今年度の四半期成長率の加重平均を表しているのに等しい。今回の事例で言えば、Year/Yearという方法で2013の1月1日から実施された緊縮がまだ一つも行われる前の四半期からのものに8分の3のウェイトを掛けたものが好ましい。これよりもQ4/Q4の方がどうして好ましいのかはこの例を考えてみれば分かるだろう。

CBOが2012の完全な経済予測を最後にした時は(QE3がアナウンスされる丁度3週間前だった)予定されているすべての緊縮が実行されるとすると2013のQ4のRGDP(これはGDPの水準がであって成長率がではない)は0.5%低下すると予想されていた。

すでに紹介した2012の11月のCBOの予測には、緊縮が少しも実行されなかった場合のシナリオも予想されていてその場合には2013のQ4の対前年比RGDPは2.9%ポイント高くなると予想されていた(図1)。これはCBOが2013のQ4の対前年比RGDP成長率が緊縮がなければ2.4%だっただろうと予想していたことを意味している。

2012の11月からのCBOの見通しを注意深く読むと緊縮(給与税の増税、高額所得者への増税、財政支出の一律削減など)が2013のQ4までの対前年比RGDP成長率を1.4%ポイント低下させるはずだと示唆されていることが分かる。

図1は給与税減税の延長(給与税の増税とはそもそも給与税が一時的に減税されていたものを元に戻すこと)一時的な失業保険給付期間の延長の継続があった場合、2013のQ4の対前年比RGDP成長率は0.7%ポイント増加するとCBOが予想していたことを示す(5番目の線)。11ページの脚注15にはこの影響の80%ぐらいが給与税の増税によるものだと記されている。給与税の減税と失業保険給付期間の延長の乗数が同じぐらいだと仮定すると、給与税を増税しないことの経済的影響はRGDPの0.56%ぐらい(0.7%ポイントの80%)と予想されていたことになる。

さらに図1は高額所得者への減税の期限切れを延長しないこと(この減税も10年で期限が切れることになっていた)の経済的影響(3番目の線と4番目の線との差)はRGDPの0.1%と予想されていたことを示している。ATRAによって増税されることになった高額所得者への税率の引き上げはCBOが想定していたものよりも幾らか低かったが、ここでの分析にはそれほど大きな影響は与えないだろうと思われる。

そして最後に、図1は財政支出の一律削減がなければ2014のQ4の対前年比RGDP成長率は0.8%ポイント増加(1番目の線と2番目の線との合計)するだろうと予想されていたことを示している。だが支出の一律削減の実施は2か月間延期された。簡単に求めるのであればここから6分の1(12か月から2か月を差し引く)を引くもしくはRGDPの0.67%という数字が得られる。

これら3つの部分を合計するとRGDPの1.4%になる。これと緊縮が行われなかった場合の2.4%の成長率というCBOの予想と合わせると2013のQ4の前年比RGDPの増加は1.0%と予想されていたことになる。

同じことが他の民間の経済予測にも当てはまる。緊縮の影響(CBOとほぼ同じ内容のものが想定されている)はバンクオブアメリカ、IHSグローバル、ムーディーズ、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、マクロエコノミックアドバイザー、クレディスイスらでGDPの1.0%から2.0%の間で想定されていた。平均は1.6%だった。基調となる予想RGDP成長率(緊縮がなかったと想定した場合の予想)は7社は2.0%から3.5%の間と予想していた。これも平均は2.7%だった。従って、緊縮の影響を調整した2013のQ4の対前年比RGDP成長率の予想の平均は1.1%ぐらいだった。これはCBOの予想とほとんど一致している。

今では2013のQ4の対前年比RGDP成長率が3.1%だったことを我々は知っている。これはCBOの予想や民間の予想よりもはるかに高いばかりか緊縮がない場合と予想されていたものをも上回っている。

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