2016年5月23日月曜日

クルーグマンのリフレ論はフリードマンの焼き直しだった?

What Would Milton Friedman Say about Fed Policy Under Bernanke?

David Beckworth

Milton Friedmanの死去から4年が経ったが、彼の金融政策に関する考えは30年前と変わらず現在でも重要であり続けている。FRB議長(ヘリコプター)ベン・バーナンキでさえも(彼のニックネームはフリードマンの有名な考え、ヘリコプター・マネーから取られている)大きく影響を受けたとしてフリードマンを挙げている。

だがフリードマンの考えは彼に影響を受けたと言っている人にさえもあまり理解されていないのが現実だ(これは政策決定において非常に問題を孕んでいる)。ではフリードマンであれば、現在の金融政策に関してどのようなことを言うのだろうか?

第一に、低金利は金融政策が緩和的であることを必ずしも意味するのではないと言うだろう。

フリードマンは1930年代のFRBの政策と1990年代の日銀の政策をこの点に基づいて批判していた。どちらの中央銀行も低い金利を緩和的な金融政策の証拠として、当時の金融政策は非常に緩和的だったと主張していた。それに対してフリードマンは低金利は緩和的な金融政策の反映ではなく弱い経済の反映でしかないかもしれないとして反論した。

実際に1997年には、彼は低金利を金融緩和と結びつけることを利子率の誤謬と呼んで批判した。低金利が緩和的な金融政策を意味する唯一の時はそれが(緩和的でも引き締め的でもない水準を示す仮想的な利子率)自然利子率を下回っている時だけだと説明した。

このことが現在のFRBに与える教訓としては、現在のフェデラルファンドレートは低いかもしれないが自然利子率も低くなっている可能性を考慮すれば金融政策のスタンスは緩和的ではないかもしれないということだろう。Fedは金融政策のスタンスをフェデラルファンドレートの水準で判断するべきではない。

第二に、Fedはインフレ期待を安定化させることを目標にするべきだとフリードマンは言うだろう。

1992年の彼の本の中で、フリードマンは普通の財務省証券の名目イールドと物価連動国債(TIPS)の実質イールドとのスプレッドを安定化させることをFedに求める法律が制定されることを要請した。このスプレッドは将来のインフレに対する市場の予想として知られている。

フリードマンはFedに期待インフレをターゲットとすることを要請した。フォワード・ルッキングなアプローチなので、これはバックワード・ルッキングなアプローチについて回る「長く可変的なラグ」の問題も避けることが出来るだろう。

最近になって上昇したものの、インフレ期待(TIPSと財務省証券とのスプレッドとしてのインフレ期待)はこのところずっと低下していた。このまま変化がなければ、このインフレ期待の低下は2011の春頃にはデフレ期待となって表れるかもしれない。

市場は将来に総支出がさらに低下するかもしれないと憂慮している。その結果として、インフレ圧力はさらに弱まることになるだろう。もしこのまま変化がなければ、総支出の低下はデフレを発生させるかもしれない。この可能性を憂慮したので、フリードマンはFedがインフレ期待を安定化させるべきだと考えていた。

第三に、Fedは名目所得の変動を最小化させるように行動するべきだとフリードマンは言うだろう。

その生涯を通して、フリードマンはマクロ経済の安定化の手段としての貨幣と価格の安定性の重要性を訴え続けた。名目所得の安定的な増加を大事なゴールの一つとして。フリードマンはそれを望ましいと考えていた。名目所得の突然の変動は賃金と価格が早急に調整できない時には大きなマクロ経済的問題を引き起こすと考えていたためだ。

2003年にフリードマンはFedが1990年代の「貨幣乗数バブル」を貨幣供給率の低下によって打ち消したことを称賛していた。その一方で、フリードマンは1990年代に日銀が名目所得の増加の低下を許したことを嘆いていた。

フリードマンが生きていれば、Fedが2008年の後半と2009年の前半に名目所得が大恐慌以来最も急速に低下するのを許したことにショックを受けただろう。

これらの事態を受けて、フリードマンはFedに名目所得を安定化させるようにと要請しただろう。

第四に、Fedが弾薬不足になることはないとフリードマンは言うだろう。

フリードマンは中央銀行は名目値を決定する能力を失うことはないと考えていた。唯一の制約はその意志だけだと考えていた。フリードマンは高い貨幣増加率に継続的にコミットすることによって1990年代に日銀がデフレを取り除き名目所得を安定化させることが出来ると論じていた。

フリードマンにとって、「糸を押す(日銀はすでに政策金利がゼロに達している)」類の主張は詭弁だった。高い貨幣増加率へのコミットメントだけが必要だと彼は考えていた。

同様に、フリードマンが生きていれば、Fedは弾薬が尽きているといった主張に異議を唱えるだろう。現在よりも経済的状況が遥かに悪く短期利子率がゼロに達していた1930年代に、金融政策が容易く経済を回復させたことを彼は我々に思い出させてくれるだろう。それ故、Fedは現在でも同じことが出来るはずだ。

フリードマンは現在でもより積極的な金融緩和を要請しただろう。バーナンキはその要請に従うべきだ。

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