2016年5月23日月曜日

経済学者は権力に取り入るためなら今まで言っていたことと180度違うことも平然と言ってしまえるのか?

Does the Obama White House really believe the American middle class has stagnated for 40 years?

James Pethokoukis

オバマ政権は過去30年間から40年間アメリカの中間層が経済的に苦しめられてきたという主張を全面的に展開してきた。言い換えると、現在の不況はオバマノミクスのせいではないと言いたいのだろう。

2011年のカンザスでの演説を見てみよう。過去40年間は所得格差の拡大と所得流動性の低下以外には何もなかったと彼は表現した。より最近ではCouncil of Economic Advisers議長のJason Furmanが最近の経済の回復を「中間層の過去40年間の所得の停滞というアメリカ経済に課せられた長年の問題を解決する機会」だと説明している。昨日のWall Street Journalでも彼は今回の景気回復は「過去40年間の中間層の所得の停滞を埋め合わせるのには十分ではない」と再び主張している。それではレーガン政権時代とクリントン政権時代の好況は本当はそれほど大きなものでもなかったのか?

データを簡単に振り返ってみよう。彼はCBOのデータを持ち出してきてアメリカの中央所得が1973年以降17%しか増加していないと主張した。その数字はCBOからの2014年のこの報告書の課税前の「市場所得」(政府からの移転を除いたもの)を指していると考えてほぼ間違いないだろう。だがその報告書には「インフレ調整後の課税後所得」は1979年から2011年に40%増加したとも書かれている。彼の挙げている数字の2倍以上だ。

どちらにしても、Furmanの最近の著作や見方は、2008年のリセッション前のものとは特に1970年代以降のアメリカ経済の発展に関する部分では完全に異なっているように思われる。ここに悲観論者Larry Mishelと楽観論者Stephen Roseとの間で行われた討論に対する過去の彼の発言の記録が残っている。

「だがその事実は完全に無関係というわけではない(中略)どちらかといえば所得格差の拡大をどうするかを話し合った方が有益だと思われる。だが(中略)Roseは正しい。アメリカ国民は30年前よりも遥かに豊かになっている。今日の労働者の所得は30年前の労働者のものを遥かに上回っている」

「政府の統計は一旦無視して常識で考えてみよう。中間層どころかアッパー・ミドルまでが長距離電話の電話代を心配していたのはいつ頃だったか?空での旅行が高価なぜいたく品だったのはいつ頃だったか?エアコン、食器洗い機、カラーテレビを持っていたのがほんの一部だったのはいつ頃だったか?DVD、iPod、デジタルカメラを誰も持っていなかったのはいつ頃だったか?そして多くのアメリカ人がすぐに故障したり、ガソリンをすぐに使い果たしたり、大気汚染物質をまき散らすような車に乗っていたのはいつ頃だったか?今では標準装備のエアコンやCDプレイヤーが装備されていなかったのはいつ頃だったか?」

「平均寿命は現在では4年延びている。大学進学率は12%上昇した。住宅の所有も今ではより一般的になっている」

「Mishelが挙げている賃金統計には多くの欠陥があることが知られている。そのすべてが同じ方向にバイアスが掛かっている。その中でも大きなものは、賃金は(給付も寛容になって技術も進歩している)医療保険のコストを差し引いた後で申告されることだ。医療は賃金統計の唯一の問題というわけではない。他の給付も同様に増加している。それに加えて賃金の比較はインフレ率に大きく影響を受ける。そのインフレ率にはほとんどすべての経済学者から上方バイアス(統計上のインフレ率が本当のインフレ率よりも高くなるバイアス。それにより実質変数は本当の値よりも見掛け上低くなる)があると考えられていることが非常によく知られている。そして1970年代にはそれほど存在しなかった移民の大量流入が無視されている」。

よって生活水準は過去よりも現在の方が遥かに高いことが確認された。そして停滞論者へのFurmanの批判は2008年の不況やその後の(過去の景気回復局面と比較して)鈍い回復の後でも成立していると考える。政治的レトリックは無視するとして、現在のアメリカ人は1970年代よりも遥かに豊かだ。オバマ政権はこの事実を認めることを恐れるべきではない。

例えば、ニューヨーク・タイムズは中間層(所得が420万円から1200万円として定義)が1960年代以降その割合を低下させ続けているものの、「そのシフトは下ではなく上の所得階層へと多くのアメリカ人が移動していることによって引き起こされている。少なくとも2000年代までは」と(何十年間も国民を、今では世界中をミスリードし続けた後で)最近になってようやく認めることが出来るようになったようだ。

さらにここにBrookingsのRob Shapiroによる新しい記事がある。その記事には1980年代から1990年代にかけて、「ほぼすべてのタイプの家計で大きく堅調な所得の増加が見られた。その家計の世帯主が男性であるか、女性であるか、黒人、白人、ヒスパニック、もしくは高卒、大卒かには関係なかった」と記されている。不幸なことに、Shapiroも付け加えているように、「これらのデータはこの広範囲な所得の増加が今世紀の初めごろに停止していることも示している。2002年から2013年の間に、9年間の景気拡大期と2年間の景気後退期があったにも関わらず多くの家計の所得は停滞した」。

リベラル派が1980年代初期から始まった(そしてクリントン政権にも引き継がれた)自由化政策が所得格差の拡大と中間層の没落以外の何物ももたらしていないと主張したがるその動機はよく理解している。現在の民主党は1950年代の高い税率と労働組合の時代が懐かしいようだ。だがありもしない過去を捏造して政治的に都合のよい教訓を引き出すのでは、皆に恩恵が行き渡った1980年代や1990年代の高成長を再現することは出来ないだろう。

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