2016年5月5日木曜日

イラク攻撃が国連決議違反だというのは嘘だった?

International law & the 2003 Iraq war (contd.)

Jeff Weintraub

ここに私が2003年のイラク攻撃に関して(それが起こる前と後で)多くの人に送ったメッセージの一つがある。

特に議論になったのはイラク攻撃が国際法の下で「違法」だったかどうかだ。ほとんどの人は違法だと考えていた。だが過去にも指摘したように、その主張は間違っている。またはできうる限りで最も寛容な表現をするとすれば、その結論をサポートするためと称して提示された議論はどれも驚くほど説得力がないというものだった。

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あなたと私の間で昨年交わしたやり取りを補足する内容の記事を丁度見つけたところです。あなたも知っているように、私はサダム・フセインとその体制に対する軍事行動は「法律上」正当化されると考えていたし今でもそう考えています(これは、重要なのはイラク攻撃が倫理的、政治的、慎重な判断の下にだったかなどによって必要かつ正当化されるかどうかであって、私はそのように考えていますが、それは法律上の問題とは異なるものです)。私は多くの人が他のことを主張していることに気が付きました。ですが以前にあなたに送った理由から彼らの議論がまったく説得的ではないと思っている訳です。

偶然から、私があなたに対して行った議論のコアとなる部分を述べなおしている記事を見つけました(Philip Bobbittを含む、他の人によるものもです。この人物はコアとなる議論を実にコンパクトにまとめています。さらに国連安全保障決議687の言葉の正確に意味するところもより詳しく説明しています。あなたも関心を持つのではないのかと思います。

「もう一度繰り返そう。国連決議678(1990)はイラクに対する武力行使を認めている。国連決議687(1991)は1991年の連合軍のメンバーとイラクとの間の停戦の条件を示している。国連決議1441(2002)はイラクは国連決議687の重大な違反をしていることを再び確認していて違反し続けてきた国連決議に従う最後のチャンスをイラクに与えている。イラクは停戦合意に違反していたのでそれ故、停戦合意を結んだメンバー国は攻撃を再開することが正当化される。仮に論争があるとすれば決議687に関するものだろう。安全保障理事会は連合国のメンバーとイラクとの間の停戦を宣言しているので、などのように議論は続き、それ故攻撃の再開を承認するのは安全保障理事会に委ねられる。だがこの議論は本当か?決議687には停戦は安全保障理事会とイラクとではなく連合国のメンバーとイラクとの間で調印されているとはっきりと書かれている。停戦は安全保障理事会によって単に仲介されたに過ぎない。ここまで見ていくと、2つの勢力によって調印された停戦合意が、一方の側が違反したことに対してもう一方の側が攻撃を再開するのに、停戦を仲介しただけの第三者によって承認されなければならないという議論が如何に馬鹿げたものであるかがあなたにも理解できるのではないかと信じている」

「これが、イギリスの政府(そしてその法務長官によって正しいと宣言された)とアメリカの政府が行っていた議論だ。後者の場合は「増大する」脅威とか「予防原則」などの議論に巻き込まれてしまったが」

彼の議論の残りの部分は私があなたとの議論で以前にも強調した他のテーマにも触れています。イラク攻撃に「法的」正当性がないという振りをしようとしている人達は国際法の役割を強めようとしているのではなく実際は破壊しようとしているということです。これはイラク攻撃の反対者にもRichard Perleのような人物にも両方に当て嵌まります。この点と他の面においても、トニー・ブレア首相の立場は最も一貫したもので一般的に敬意に値するものでもあります。

補足:以下の議論は決議688の存在を無視している。これはサダム・フセインの体制に虐殺とイラク国民への抑圧を止めるように求めたものだ。そして、多くのイラク人が指摘しているように、これもまた1991年から2003年の期間に完全にまた連続的に破られている。だが純粋に法律の観点からは、ここでは決議687に焦点を絞った方がよいと恐らく思われる。私が知っている限り、停戦の条件を成文化した他の決議とは異なり、彼が敗れた戦争を停戦することを国連が承認し、それにサダム・フセイン自身が同意したものだからだ。以前にも述べたように、これがサダム・フセインのイラクを法律的にも他の面でも非常に特殊なものにしている多くの要素のうちの一つだ。

「補足:私は決議687の文言は第一次ブッシュ政権の驚くほどの先見性を持った誰か、によって書かれたものだと思っている。再びイラクを攻撃する必要が生じてくると理解していた誰かが、第33項に連合国のメンバーではない国はどこであれ(拒否権を無茶苦茶に悪用するソビエトや中国を含む)アメリカはそれを無視することができる文言を書いたのだろう。だが失敗をカバーするため、イラクが決議687の停戦合意に違反しているとの独立した確認文書が探し求められることになった。そしてそれが決議1441だった…」

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