Scott Sumner
2013にケインズ経済学が大破綻して以来、これまでにケインズモデルを必死に擁護しようとする人たちを数多く見てきた。この記事では、それらの擁護の中で私が遭遇したものをまとめて何故それらが誤りであるのかを見ていく。
ウォールストリートジャーナルに寄稿された財政赤字を削減するための政府支出の削減を訴えた80人のCEOの手紙に激怒して、350人の経済学者たちが財政刺激策を求める手紙を公開した(これらの経済学者は80人のCEOたちを馬鹿だの経済のことを何も知らないなどの罵倒していた)。
『この年度の終わりには、我々は「財政の崖」に直面する。それには2番底の不況を回避するために皆がやめるべきだと賛成している自動的な支出の削減が伴われる』。
だが不況は少しも起こらなかった。それどころか2013に成長率は加速した。これほど多くの経済学者が間違ったのは1981にイギリスのサッチャー首相を罵倒する手紙を書いたこれまた364人の経済学者の恥ずかしい事件以来見たことがない。では彼らの言い訳とはどのようなものだろうか?ここに私がよく遭遇したものをまとめてある。
3.第二のトリックは緊縮の規模を小さく見せようとすることだ:トリックの一つは州と地方の政府支出を含む総政府支出を用いることだ。そして緊縮が早く始まったと主張する。だが州と地方の支出には財政政策に関する連邦政府の判断は企業の投資に対する影響と同程度にしかほとんど影響を与えない。連邦政府の政策当局者の視点から見ると、州と地方の支出、それと民間の投資は等しく内生的なものだ。「G」という記号に騙されないようにしていただきたい。ここで重要なのは連邦政府の支出だ。州と地方の支出は成長率に影響を与えるかもしれないし与えないかもしれない。だがそれは(景気刺激を目的とした)財政政策ではない。
4.他のトリックは税と移転を無視して政府産出を見ることだ:これはGDPの計算式の「G」という記号が支出ではなく産出であることによって正当化されようとする。リカードの等価性をモデルに組み込むニュー・ケインズ派であれば政府産出を用いることは許されるかもしれない。だがケインズ派の99%はリカードの等価性を信じていない。そして彼らは給付の削減と給与税の増税は総需要を低下させると頻繁に不満を述べている。従って、今頃になって税と移転は重要ではないと突然言い始めるのは恥ずかしい行いだ。
5.ケインズ経済学とは財政赤字に関するものだと教科書を持ち出してきて主張する:政府の公開している数字を見ると、財政赤字が2012の108兆7000億円から2013の68兆円へと膨大な規模で減少していることが見て取れるだろう。だがケインズ派にとってはさらに都合が悪いことがある。財政年度は10月1日から9月30日までを1年と数える。だが2013の財政緊縮は2013の1月1日に大きな増税が行われるまでは行われてはいなかった。2013の財政年度から3か月は過ぎている。この観点から暦年の2013の財政赤字を計算して、2012の106兆1000億円から2013の56兆1000億円という数字が得られた。1年で50兆円というすさまじい規模の削減だ。これは間違いなく緊縮だ。重要なのは景気循環調整済みの数字だと主張する人もいるかもしれない。だが我々が景気循環のどの辺りに位置しているかを正確に知っている人は誰もいないし、そもそも成長率も50兆円もの財政赤字を削減できるほどにはトレンド成長率と比較して高くはない。2013が財政緊縮の年だったというのは疑いようがない。
ケインズ派の言い訳に騙されないようにしてほしい。彼らが2013の緊縮によって大不況が起こると警告していた。彼らがこれはマネタリストへのテストだと言っていた。彼らに自分たちが言っていたことを修正させてはならない。
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