Mark Sadowski
金融政策がゼロ金利の下でも緊縮の影響を打ち消すことが出来るかどうかのテストという議論が最近再び議題に上がるようになってきた。Russ Robertsは論争の口火を切った(リンクは省略)。
それに対してScott Sumnerは再反論した(同じく)。
私は以前に同じ内容の話を数か所の場所で行った。だが今度はより完全により明確に議論してみようと思う。
まず手始めに、財政支出の一律削減は2013に行われた緊縮のわずかな部分でしかないということを理解する必要がある。「財政支出の一律削減」はBudget Control Act (BCA)の一環として定められた特定のカテゴリーの支出の自動的削減を指す。始めには2013の1月1日より開始されることになっていたが2012のAmerican Taxpayer Relief Actによって3月1日までの2か月間延期されることになった。この法律にはEGTRRA and JGTRRA(すなわちブッシュ減税)の一部期限切れ、2年に渡る給与税の減税、失業保険給付期間の延長などの期限切れなどにも効力が及んでいる。高額所得者への増税、給与税の増税、失業保険給付期間の延長の継続が2013の1月1日に実施されることになった。
CBOが2012の完全な経済予測を最後にした時は(QE3がアナウンスされる丁度3週間前だった)予定されているすべての緊縮が実行されるとすると2013のQ4のRGDP(これはGDPの水準がであって成長率がではない)は0.5%低下すると予想されていた。
すでに紹介した2012の11月のCBOの予測には、緊縮が少しも実行されなかった場合のシナリオも予想されていてその場合には2013のQ4の対前年比RGDPは2.9%ポイント高くなると予想されていた(図1)。これはCBOが2013のQ4の対前年比RGDP成長率が緊縮がなければ2.4%だっただろうと予想していたことを意味している。
2012の11月からのCBOの見通しを注意深く読むと緊縮(給与税の増税、高額所得者への増税、財政支出の一律削減など)が2013のQ4までの対前年比RGDP成長率を1.4%ポイント低下させるはずだと示唆されていることが分かる。
図1は給与税減税の延長(給与税の増税とはそもそも給与税が一時的に減税されていたものを元に戻すこと)一時的な失業保険給付期間の延長の継続があった場合、2013のQ4の対前年比RGDP成長率は0.7%ポイント増加するとCBOが予想していたことを示す(5番目の線)。11ページの脚注15にはこの影響の80%ぐらいが給与税の増税によるものだと記されている。給与税の減税と失業保険給付期間の延長の乗数が同じぐらいだと仮定すると、給与税を増税しないことの経済的影響はRGDPの0.56%ぐらい(0.7%ポイントの80%)と予想されていたことになる。
同じことが他の民間の経済予測にも当てはまる。緊縮の影響(CBOとほぼ同じ内容のものが想定されている)はバンクオブアメリカ、IHSグローバル、ムーディーズ、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、マクロエコノミックアドバイザー、クレディスイスらでGDPの1.0%から2.0%の間で想定されていた。平均は1.6%だった。基調となる予想RGDP成長率(緊縮がなかったと想定した場合の予想)は7社は2.0%から3.5%の間と予想していた。これも平均は2.7%だった。従って、緊縮の影響を調整した2013のQ4の対前年比RGDP成長率の予想の平均は1.1%ぐらいだった。これはCBOの予想とほとんど一致している。
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