2016年5月5日木曜日

ハマスのミサイル攻撃は命中していないから何の問題もないと言っている人たちは愚かなのか?

The real story in Gaza (Ami Isseroff)

Jeff Weintraub

イスラエル軍は誘拐されたイスラエル兵士Gilad Shalitを救出するためにガザの一部に再侵攻した。この軍事作戦の結果がどうなるかはまだ分からない。そしてガザの内部で不幸な出来事や他の場所で政治的反発が起こるかもしれない。従って世界中で感情的な反発が手に負えなくなる前に、この軍事行動が起こるに至った背景をはっきりさせる必要がある。もちろんこういう出来事は大抵は複雑なものだ。だが基本的な問題は変わらない。イスラエルが昨年ガザから撤退して以来、ガザは様々なパレスチナのグループからイスラエルに対するテロ攻撃の基地として用いられてきたということだ。Gilad Shalit氏が人質に取られた事件は最後の一打に過ぎない。

Ami Isseroffは以下のように説明してくれている。

「2001以降、Popular Resistance committeesとハマスはイスラエルに対して数千種類のロケットを打ち込んだ。最も「人気」だったのはハマスのカッサム・ロケットだ。だが他の「ブランド」も存在する。軍事的、外交的行動を含めて何らの行動を取らずにそのように継続した攻撃を市民に対して許した他の国となると想像することすら不可能だろう」

「ロケット攻撃と他のテロ行為は和平合意を中断させて妨害する意図で行われた。イスラエルにさらなる領土の割譲と軍の撤退を求める和平合意をだ。現在のロケット攻撃とテロ攻撃はPalestinian Prisoners' documentの合意を阻む目的の下で行われた。そして恐らくその目的は達成されたかもしれない」

Sderotのような町へのロケット攻撃は(住民のほとんどは低所得の中東系ユダヤ人だ)イスラエルのガザからの撤退で終了するのではなくむしろ激化した。カッサム・ロケットは照準が不正確でこれまでのところは大人数を殺害するには至っていない。だが学校やアパートメントなどに被弾するのは時間の問題だ。その一方で、蓄積された精神的被害の方は甚大なものとなっている。最近の「Sderotに雨のように降り注ぐロケット」というタイトルのレポートにはこの爆撃が与えた住民への被害が記されている。

「Sderotに何年も降り注がれたカッサム・ロケットの嵐はこの砂漠の町から普通の感覚というものを奪い去った」

「最近では攻撃があまりにも激烈になったので、この町での日常生活というものは完全に消滅しようとしている。この町の不動産価格は暴落した。店は閉められた。人々はこの町を去ろうとしている。そしてほとんど全員が上空からの突然の死亡の恐怖に襲われていると語っている」

「この町の学校は特に破壊された。そして幼稚園、教室、校庭に降り注いだのはカッサムだけではない」

「子供たちは机の下に隠れて頭を手で覆うことを学ぶ。1950年代のアメリカで見られた光景だ。唯一の違いはソビエトの核攻撃の恐れは一度も実現しなかったことと、この町ではロケットが毎日のように降り注いでいることだろう」

『「ロシアン・ルーレットのようなものです」とHoriは語った。「いつ落ちるかは分からない、どこに落ちるかも分からない」』

「ちょうど2週間前に、ロケットがこの町の高校を直撃した。けが人はいなかった」

「だがこの町が受けているダメージは物理的なものを遥かに上回っている。ロケットはこの町全体を恐怖のどん底に叩き落し、それによってここでの生活に変更を余儀なくさせている」

「幾人かの親たちは子供をより安全な町の親戚のところへと送っている。他の親たちは子供たちを学校から引き離して家に閉じ込めている。引っ越したという人もいる。家の買い手が実質存在しないというにも関わらず」

『「生活が完全に破壊されてしまいました」と学校ネットワークの代表Arie Maimonは語った。「まるで中国の拷問のようです。シェルターに駆け込むために一晩に3回は起こされます。状況は悪くなる一方です」と語った』

Maimonは政府の代表と話し合い、Sderotの学校は天井と壁を補強するための資金と生徒と教師に対して心理カウンセリングをより必要としていると説明した。

だがどれだけの資金があってもロケット攻撃を止めることは出来ないだろう。

『「お金ではすべてを解決することは出来ない」と彼は語った。「射撃場に座っているアヒルが奇跡を待っているようなものだ」』

「パレスチナの政府は攻撃を止めることもできなければそのつもりもない。少し前であれば、どちらも少しは可能性があっただろう。だがパレスチナの政府を現在支配しているハマスはむしろそれらの攻撃を正当化している。最近の記事の中で、Ami Isseroffはここから得られる幾つかの教訓を指摘している。

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「ガザのテロは占領を止めさせることが狙いだと表向きはされてきた。国際社会はそのような理由によりパレスチナ人を非難することは無理だと言い続けてきた。ガザからの撤退はその状況を変えると言い続けてきた」

「今では入植地は存在しない。テロの被害者は「占領地」の「不法に入植」した「入植者」ではない。テロの被害者は町での生活やキブツでの生活、ガザ地区周辺での極めて苦しい生活を余儀なくされている貧しいイスラエル人だ」

「だがすべての陣営が何一つ変わったことがなかったかのように旧来のルールに従って未だに言い争いと行動を続けている。パレスチナ側は相も変わらずテロと無政府主義のような行動を繰り返している。イスラエルはガザ撤退後も結局はガザからの財の流通を監視せざるを得ない。これを止めればテロ組織が大幅な武装強化を果たし安全保障上の重大な問題を生み出してしまうためだ。国際社会は撤退の成功と平和を確保するためのすべての資金を提供するべきだ。結局はアメリカとその他の世界が2つの国家の解決案を主張しているのだからだ。SderotやAshkelonに被弾するすべてのカッサム・ロケットがその可能性をさらに遠ざけている」

「ガザからの撤退は正しいことだった。それを残念に思うべきではない。だが今では我々は正しい判断を下したのだという確証を求める必要がある。可能であれば、誰も死ぬべきではないし誰も殺されるべきではない。だがテロは止めさせなければならない」

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私の意見では、シャロン首相はガザから撤退すると一旦決めたのであればアッバス首相やパレスチナの代表と話し合った方がよかったと思われる。交渉してからの撤退はアッバス首相の立場を強めイスラエル撤退後のガザの政治的状況を改善したかもしれない。そしてそもそもガザに入植地を建設したのはひどい誤りだった。だが現在では入植地はどこにも存在しない。これらのテロ攻撃を正当化する理由は何もない。そしてガザがテロ攻撃の拠点として使われ続ける限り、状況は急速に悪化して持続不可能なものとなるだろう。

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