ALAN REYNOLDS
1月20日の議会教書演説でオバマ大統領は「所得上位の所得が低下したことはこれまで一度もない(中略)所得格差が今までよりもさらに拡大している」と語った。その翌日にFox NewsのアンカーBrett Baierは「Emmanuel Saezによると、景気回復期の2009年から2012年の間で、所得上位は2002年から2007年の好況期よりもシェアを拡大させた。言い換えると、所得格差はブッシュ政権の時代よりも拡大している」と語った。
2013年の11月に、「申告されたキャピタルゲイン(株などの資産の値上がり益)とボーナスは(税率の引き上げを避けるために)2013年から2012年にシフトされたので、2013年の所得シェアが発表される時には所得上位1%の所得がある程度大きく低下することが予想される。恐ろしいまでに愚かなメディアは間違いなく減少を増加として報道するだろう」と私は書いた。予想通りに、ニューヨークタイムズは所得上位1%の所得が14.9%減少したことを増加したと報道して「景気回復からの所得の増加は未だに所得上位1%だけに集中している」と結論した。そこには恐ろしいまでの無知が表れている。
それから3週間後の2月17日に、ニューヨークタイムズは事実を報道しようとする姿勢を僅かだけ見せた。「所得格差は金融危機以降実際には拡大していない」という記事を書いたDavid Leonhardtは自分が付けた記事のタイトルに驚きを見せた。「このようなことが起こり得るのか?」。この驚愕の真実とされているものはイデオロギーに惑わされずにきちんとデータを確認することが出来る数少ないリベラル派の経済学者の一人Stephen Roseより伝えられた。
「驚愕すべきことに」とLeonhardtは語り「Mr. Roseの主張は新しく発見されたデータや以前には見つかっていなかったデータに基づくものではなかった。多くの記者やコメンテーターたちが所得格差が拡大したことの証拠として頻繁に用いていたのとまったく同じデータだった」と語った。冗談も休み休みに言え。1月6日にブルッキングスのGary Burtlessは「2000年以降、ほとんどのアメリカ人の所得が上昇している一方で、所得上位1%の実質所得は減少している」と書いている。かなり前から私もPiketty and Saezのデータを用いて以下のようなグラフを作成し同様の指摘をしている。
(馬鹿な人たちがデータを一切見ることなくアメリカでは格差が拡大し続けている!と言っているそのまさにすぐ横で、その主張の唯一の根拠でさえもが20年近くアメリカでは格差が拡大していないことを示している!)
メディアの人間がすべきことは、Piketty and Saezの表4-6にある所得上位1%の実質所得の数字から作成したこのグラフを見ることだけだ。私が予想したように、所得上位の所得は増税を避けるために2012年に増加し2013年に14.9%減少した。そしてSaezからの要請通りに2012年と2013年の所得を平均した。それにも関わらず2012年から2013年の所得上位1%の所得は明らかに2005年から2007年を大きく下回っていて1999年から2000年の水準にも達していない。
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