The Myth of Corporate Profits
MATT PALUMBO
企業利益の増加はアメリカの労働者の賃金を犠牲にしているのか?ベンチャー・キャピタリストで資産家のNick Hanauerはそのように考えているようだ。彼は「企業利益はここ50年で過去最高を記録し失業率も過去最高を記録している。富裕層が雇用を作っているというのが真実であれば、失業率はもっと低いはずだろう」と語っている。ThinkProgressというウェブサイトの記事の見出しも「Corporate Profits Hit Record High While Worker Wages Hit Record Low」というものだった。
まず始めに彼らの主張が本当かどうかを見てみよう。そもそも最近の不況が住宅バブルの破裂ではなく企業利益の増加の結果だという彼らの主張は奇妙だ。恐らくはHanauerは企業利益の多さを総需要の低下の原因と非難したいのだろう。富裕層が十分に所得を消費しないために経済が均衡から乖離しているといつも彼が主張しているように。一人あたり消費者支出が所得上位1%の所得シェアと比例的に増加していることは彼は無視する。
上の図はGDP比で見た課税後の企業利益(配当前)と失業率との関係を示している。逆の関係があるようには思われない。むしろほとんどの期間において、企業利益が減少すると失業率が上昇しているように思われる。
法人税の減税が雇用を増加させるという確かな証拠もある(リンクは省略)。アメリカの法人税率は他のどの国よりも高い(これは実効税率で見ても同じだ)。これによりアメリカの企業には事業を海外で行い利益も海外に保持しておく強いインセンティブが生まれる。アメリカのすべての企業が国内だけで事業を行うように強制されたとしても、法人税率の高さは(税がない場合と比較して)投資の量を減少させるだろう。
最近の数年を例外として、企業利益と失業率はほとんど相関を示さない。
ThinkProgressというウェブサイトの記事は以下のような図を作成して企業利益と賃金に負の関係があると主張した。上の線は企業利益(課税前なのか課税後なのかさえも説明していない)で、下の線は賃金を示していると説明されている(どちらもGDP比)。
ここで比較されているものは企業利益と企業従業員ではなくすべての労働者の賃金だということに気が付いただろうか?企業利益が超過しているというのであればそれはすべての労働者ではなく企業に勤める労働者の賃金を犠牲にしているのでなければならない(魔法でも想定しているのでない限りは)。同様に、平均的な労働者の所得の19%を占める付加給付もこのグラフには表れていない。企業利益と労働者の報酬は経済全体ではなく企業所得の割合で見なければならない。
最も重要なことに、右側のy軸と左側のy軸とでは縮尺が異なる。自分たちが欲した結果を得るために彼らが捏造を加えたことは明らかだ(尺度を色々と変えているうちに分かったことだ)。企業従業員の報酬と課税前の企業利益とを比較してy軸に操作を加えなかった時には、以下のようなグラフが得られる。
過去を見れば、企業利益は企業所得の12%、従業員報酬は63%で推移してきた。これは課税前利益なので実際にはもっと少ない。法人税の税率を引き下げると雇用が増加するのと同じように、最近のコラムで紹介した一連の研究は法人所得税が引き下げられればどれぐらい労働者の賃金が増加するのかを詳細に説明している。
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