2015年8月12日水曜日

格差研究の専門家の集まりにリベラル派のブロガー(自称専門家)が乗り込んで討論を挑んだその結果 Part2

Measuring Economic Well-Being: What, How and Why

Richard Burkhauser

同じデータを見ているはずなのに奇妙な解釈をする人がいるのは珍しくない。従って事実を正しく述べるということは簡単なように見えて意外と難しい。これから1989以降所得格差が拡大したのかどうかに関する私の意見を述べる。3月のCurrent Population Survey (CPS)から分かると思われることともっと深い疑問、所得格差は本当に重要な問題なのか?に関してだ。

厚生の変化に興味がある他の経済学者と同じように私も一般公開向けのCPSを用いてアメリカの平均的な世帯の所得とその分布を普通は調べている。最近(長い交渉の果てに)私は統計局が世帯所得のジニ係数(Gary Burtlessがコメントで参照している)を推計するのに用いている内部CPSデータへのアクセスを許可された。私が見た所では彼がしているような2時点間のジニ係数の単純な比較は1989以降の所得格差のトレンドを過大評価しているし所得格差の拡大が問題だという彼の主張を私に納得させるのに失敗している。

CPSのデータを用いている図1は2005のドルを基準として1967から2005の期間にアメリカの中央所得がどのように変化したかを示している。この期間に中央所得は大幅に増加しているがその増加の幅にも変動があることが分かる。従って年度を選べば中央所得が増加したとも減少したとも同じだったと示すことも可能だ。長期のトレンドから景気循環の影響を取り除くためには例えば景気が最も良かった時と最も良かった時または景気が最も悪かった時と最も悪かった時を比較するのが最も良いと私は考えている。これにより1980年代(1979から1989)の景気循環時の所得と1990年代(1989から2000)の景気循環時の所得とを比較することが可能になる。または1983から1993、1993から2004の比較だ。どちらの方法でもアメリカの中央所得は1980年代も1990年代も大幅に増加している。これこそが真に重要なニュースだ。長期的な経済成長により平均的なアメリカ人の厚生が改善した。

所得分布がどうなったのかを解釈することはより込み入っている。Reynoldsが取り上げていたBurkhauser, Oshio, and Rovba(近日発表予定の)では単に単年度のジニ係数を用いるのではなく1979-1989-2000のアメリカの景気循環の山での所得分布の全体像を示しそれを1990年代のイギリス、ドイツ、日本の景気循環の山での所得分布の全体像と比較している。1989の所得分布を1979の所得分布と比較してみると(図2)所謂中間層と呼ばれる人達が1980年代に大幅に減少していることが分かる。これはReynoldsやBurtlessが議論していたジニ係数の上昇と整合的だ。だがここで見逃してはならないのは「消えた」中間層のほとんど全員が分布の右側(所得の多い側)に移動したということで分布の左側(所得の低い側)に移動した人はほとんどいないという事実だ。ようするにアメリカで1980年代に所得格差が拡大したといってもそれは消えた中間層が尋常でないほどに豊かになったからだ。

1990年代になるとさらに良くなる。2000の所得分布は1989の所得分布をそのまま右に移したような形だ。すなわち2000の所得分布のすべての地点が1989の所得分布よりも改善している。これは我々の社会が達成した素晴らしいことだ。だがこれをドイツや日本と比較してみるとますます素晴らしいものに見えてくる(図3と図4)。イギリスは我々の1990年代と同様の結果を示している(図5)。

これまでに示した世帯所得から所得の推計値と社会保障税を差し引いたものは税を差し引いていないものと全体像としてはそれほど異なるというわけではない。だがこれらはReynoldsとBurtlessが議論していたジニ係数の上昇の背後にあるものは何かという問題に関してより込み入った見方を示している。

我々はジニ係数も同時に推計している。そして1989から2000の期間に課税後の所得格差が縮小、同期間に課税前の所得格差には何の変化もないことを発見した。ではBurtlessが参照している(統計局が内部CPSデータを用いて発表している)ジニ係数の上昇とは一体何なのか?

統計局に頼るのではなく自分達自身でジニ係数を推計している他の多くの研究者と同様に我々も一般公開向けのCPSを用いてジニ係数を推計している。Shuaizhang Feng and Stephen Jenkinsと私の共著の新しい研究に基づく図6に見られるようにトップコーディングを調整していない一般公開向けのデータを用いれば1989から2000の期間に課税前所得に所得格差の大きな拡大が見られた。だがこれはトップコードの大幅な増加と1995以降のセル平均の使用の大幅な増加、そして1993のCPSの調査方法の変更が原因だ。我々はこの問題を1975から2004の期間を選び全期間で一貫したトップコーディングを行うことにより修正した。

Burkhauser, Butler, Feng, and Houtenville (2004)でこの方法は体系的に労働所得格差の水準を過小評価しているものの(1992から1993と1994から1995の一時的なスパイクを調整した)未調整の統計局の内部ジニ係数と外部ジニ係数のトレンドを捉えていることを示した。我々の結果は一般公開向けのデータの所得上位2%と3%を単純に「刈り込んだ」ものと同様だ。従って我々の結果は所得分布全体の97%から98%の世帯所得とその分布がどうなっているかを一貫して示している。私はBurtlessとReynoldsが適切にこれらの問題を修正した一般公開向けのCPSデータはこの集団に対しては正確にトレンドを把握しているということに少なくとも同意すると信じる。

内部CPSデータへのアクセス権を得てから我々が注意深く記してきたことはこれらのデータであっても所得分布の上位で不均一な検閲が行われているという問題があるということだ。Burtlessは内部CPSデータからの一部である統計局のジニ係数は検閲に対して修正されていないと述べている。ReynoldsがそしてBurkhauser, Feng, and Jenkins (2006)で我々が独立して議論しているように1975から2004の期間において一般公開向けのデータと同様に内部CPSデータは所得分布の上位を体系的に把握していない。一般公開向けのCPS同様に、トップコーディングを含む内部検閲は個人の所得総額ではなく個々の所得源に対して行われる。そして我々は1つ以上の所得源がトップコードされている世帯に住んでいる個人の割合は0.1%から0.8%の間で変化していることを発見した。

我々が一貫したトップコーディングの方法を用いて内部の所得データを調整した時には未修正の内部データを用いたものと比較して1989以降のジニ係数の上昇がより穏やかであることを発見した。1989から2000では6.82%ではなく4.67%だった。だがこれでさえも上昇として高すぎる。何故ならトップコーディングと検閲を調整した後でさえも内部CPSデータには1992から1993のスパイクが見られたからだ。未調整の内部データに比べればスパイクは低いもののこれはまだありえないほどに高すぎる。事実、1993から2004までのジニ係数のトレンドだけを見れば(1992から1993のスパイク以降で利用可能なすべての年度の内部データ)ジニ係数は1.45%、2.43%しか上昇していない。まとめると内部データによって捕捉されたという所得格差の拡大というのは一度検閲が調整されると所得分布全体の99%に関して調整後の一般公開向けのCPSのデータとほとんど同じことを語っている(このコラムはそもそもBurtlessが所得格差の拡大はCPSの内部データを用いて推計されたジニ係数によっても確認されていると主張していることに対する反論となっている)。1990年代に渡って全体の分布は所得格差がほんの少しまたはまったく拡大することなく右へと移動した。1989以降世帯所得格差はほんの少しまたは前の10年間と比べると遥かに少なく拡大した。これは非常に良いニュースだ。

CPSデータは所得分布の上位1%または2%を調べるのには少し向いていないということにはReynoldsやBurtlessに同意する。悲しいことに他のデータもまたこの集団を調べるのに向いているということはなく所得分布全体の99%に比べると所得上位1%の所得が1989以降どのように変化したのかに関して不確実な所がある。

だがこれは本当に重要なことなのか?経済はゼロサムではない。私の利益は他の人の損失ではないしその逆も然りだ。私は所得上位1%の所得の増加が他の人達に害を与えたという証拠を一つも見たことがない。過去の景気循環期において富裕層の所得と低所得層の所得は同じ方向に動いていた。Robert NardelliやHank McKinnellに対してそれより遥かに多くのTiger Woods、Steve Jobs、Oprah Winfrey、Bill Gatesのような人がいる。彼らが我々のために生み出した財やサービスの価値は彼らが受け取った所得を圧倒的に上回っている。それが市場経済の結果であるしそれが重要なことだ。

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