2015年8月12日水曜日

「大きな政府(増税)が経済成長にとって有害ではないというのは経済学者の間でコンセンサスになっている」というのは一体何だったのか?Part8

World Bank Report Shows Big Government Reduces Economic Growth

Brian Koenig

世界銀行から新たに発表された報告書は魅力的な結論に達している。高い政府支出と大きな公的部門が大幅に経済成長を低下させるという内容だ。事実、大多数の主流派の経済学者や機関が同様の結論に達している。Cato InstituteのDaniel J. Mitchellは社会主義の時代は終わり経済学の分野は(政府の権限は弱められ経済はより民営化される)より自由放任の方向へと向かっていることの表れだと説明している。

世界銀行の長い報告書ではヨーロッパの経済と政府に関して記述されている第7章で以下の疑問が提起されている。

ヨーロッパの政府は他よりも大きいのか?

大きな政府はヨーロッパの経済成長を低下させているのか?

どのようにすれば政府をより効率的に出来るか?

財政再建はヨーロッパの最優先政策課題か?

「大きな政府が経済成長に有害だと考える有力な根拠が数多くある」と報告書は記し、「課税は恐らく最も明白なものだ」としている。経済成長率の低下は民間部門から公的部門への富の再分配が引き金となって起こる。

「政府が支出するためには民間部門へ課税しなければならない。だが課税は資源の配分を歪める。生産者と消費者は納税額を減らすためにそれぞれの行動を変化させる。従って課税がなければ行われていたであろう活動は課税によって消滅する。労働者は労働時間を減らしたり、キャリアプランを引き下げたり、新しいスキルを身に付けたりするのに興味をなくすだろう。企業家は生産を縮小させたり、投資を減少させたり、イノベートする機会を見送ったりするだろう」。

時間が経過すれば社会主義的な政府は民間部門の雇用を麻痺させ公的部門へと依存させる抑圧的な官僚主義を生み出すと筆者は加えている。

公的な賃金や給付に頼る人々の集団が大きくなる程、公的プログラムへの政治的欲求は拡大し課税の超過負担は大きくなる。経済成長の低下と併せてそのような流れは政府の移転に頼る人々の割合を上昇させますます悪循環へと導くだろう(Alesina and Wacziarg 1998)。政府の肥大化は民間部門を発展させようとするのではなくむしろ自分達の権益を拡大させることに必死な利益団体の活動をますます活発化させるだろう(Olson 1982)。

ヨーロッパの政府は他の国に比べて大きく専横的だと筆者は説明する。ヨーロッパの政府は他の国に比べてGDPの10%分多く支出している。そして、「政府支出のGDPに占める割合が高い国は経済成長が低下している」と説明している。簡潔に言うとヨーロッパでは政府の規模が10%拡大する毎に経済成長率が0.6から0.9%ポイント低下する。これら政府の拡大は増税を伴うことが多い。

世界銀行の驚くべき暴露の他にもその他の主流派の集団も自由放任経済の考えを理解し始めている。European Central Bankの経済学者による新しい研究も同様の結論に達している。ヨーロッパの政治家がスペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガルなどの国の危険な国債をECBに購入するように圧力を掛けていた間にECBの経済学者は大きな政府と高い政府支出が経済に与える影響を示した研究を発表していたのだった。

ECBの研究は1970から2008の期間の先進国、発展途上国を含めた108の国を対象に分析している。「我々の結果は政府の規模が経済成長に大きな負の影響を与えていることを示している」ことを筆者は解明している。「興味深いことに、政府消費はどの国をサンプルにしようと関係なく一貫して産出の成長率に負の影響を示した」。

MitchellはECBの研究から2つの重要なことが学べるとしている。第一に、データは大きな政府が経済的衰退への案内人であることを示していて政府の予算が税によってファイナンスされようとも借入によってファイナンスされようとも関係ないことが明らかにされている。問題はあまりに多くの政策当局者がこれら2つの違いを区別できていないことにあるとMitchellは主張し、「例えるなら、病気の原因(大きな政府)ではなく症状(財政赤字)に誤って注力している」と説明している。Catoの研究員である彼はさらに主張する。

「第二に、ヨーロッパの腐敗した政治家はMitchell’s Lawに従事している。これは一つの悪い政府の政策が他の悪い政府の政策を正当化されるのに用いられる様子を表現したものだ。ヨーロッパの政治家は際限なく政府支出を増やすことによって衰退への道を選んだ。そしてその結果起こった財政危機を今度はECBによるインフレ的な金融政策の正当化に用いようとしている」。

さらにMitchellは同様の結論に達した最近の3つの研究を引用している。

2人のHarvardの経済学者による研究は、「緊縮政策は政府支出の削減に基づくものであれば多くの場合経済は拡大に向かう」。

OECDは最近の研究で福祉プログラムは「労働時間が減少するにも関わらず純可処分所得を増加させるので」人々を福祉に依存させることにより経済に破壊的であると記している。

IMFからの研究は、「年金や医療などの義務的経費への削減が経済成長に最も効果的だった」。

「これは特筆すべきことだ」とMitchellは加える。「世界全体が大きな政府と経済成長に負の関係があることに気が付き始めたようだ」。

世界銀行は大きな政府と社会的移転が経済成長に最も有害だと結論している。「ヨーロッパに対する回帰分析の結果は」と切り出し、「社会的移転が経済成長に負の影響を与えていることを一貫して示した」と報告書は明言している。この大変な暴露は現在一体何がアメリカの経済成長を低下させているのかを簡潔に例証している。オバマ大統領のヨーロッパ型の社会主義がギリシャやポルトガル、その他すべてのヨーロッパの国々のような福祉依存的、財政破滅的方向へとアメリカを向かわせているということだ。

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