2015年8月12日水曜日

「大きな政府(増税)が経済成長にとって有害ではないというのは経済学者の間でコンセンサスになっている」というのは一体何だったのか?Part5

The Proper Size of Government

Charles Lammam

政府の規模と経済成長の関係を調べた膨大な数の実証研究に基づけばアメリカは政府の規模を縮小すべきだ。

オバマ大統領は彼の改革を阻害している主要な要因として政府の規模に関する議論を挙げている。

例えば彼は最近以下のような演説をしている。

「ここ何年かの間、この街(ワシントンDC)は政府の規模に関する議論で対立してきた。それは重要な議論で我々の建国期にまで遡る。だがその議論が民主制の最も基本的な機能を実行するのを妨げるのであれば、我々は国民に対して正しいことをしているとはいえない」。

この議論の解決を手助けするために事実を調べてみよう。膨大な数の実証研究が政府の規模と経済成長の関係を調べていてそしてそれらの研究に基づけばアメリカには政府の規模を縮小させる余地がかなりある。加えて最近のカナダの経験は政府の規模を縮小させても経済的指標と社会的指標との間にトレードオフが発生しない事例となっている。事実、より小さな政府はアメリカ国民に対して良い結果をもたらすだろう。

過去何年にも渡って経済学者は政府の規模が経済成長と(平均寿命、乳幼児死亡率、殺人率、教育水準、生徒の読解力などの)社会的指標に与える影響を調べてきた。最近、大きな政府が有害であることを示した膨大な研究群の中にカナダのFraser Instituteより出版された研究が追加された。Measuring Government in the 21st Centuryと題したカナダの経済学者Livio Di Matteoによるものだ。

彼の分析は政府の支出が財産権の保護のような基本的なサービスに向けられている時には正のリターンがあることを示した他の研究の結果を確認している。だが彼の発見は政府の支出が経済成長を阻害し社会的指標を改善させなくなる分岐点が存在することをも示している。

これらの発見を支持する論理は少し直感に反するかもしれない。政府のプログラムとサービスが経済的、社会的厚生に寄与することは自明と思っている人が中にはいるかもしれないからだ。警察職員の増員は治安を改善させるかもしれない。新規のインフラ投資は交易と取引を活発化させるかもしれない。教育への新規の投資は子どもたちの学習を助け生産的な大人へと成長させるかもしれない。実際、ある程度の水準までの公共サービスは経済成長と社会的指標を改善させる手助けとなっていることを研究は示している。議論になっているのはそこではない。

根本的に問題となっているのはどの水準で政府の支出が経済成長を阻害するようになり社会的指標が改善しなくなるかまたは社会的指標を改善させるのにはるかに大きな限界費用を必要とするようになるのかだ。政府の支出はそれが企業への補助金、無駄な事業、政府職員への寛大な賃金や給付などに向けられるほど非生産的になる。これらの事例ではその他のアメリカ国民は新たな政府支出から利益を得ているとは感じないだろう。

他の研究者と同様に彼は政府の総支出をGDPに占める割合として分析した。その方法にも欠点がある。何故ならば政府の規制や(市場を歪め政府の規模を見掛け上小さく見せる)様々な税控除を分析から除外しているからだ。だがこれが現在利用可能な中では最適な指標の一つだ。

彼は国際間のデータを調べ(様々な交絡要因を制御した後で)政府の支出がGDPの26%の時に一人あたりGDP成長率が最大化されるということを発見した(26%は高過ぎると異議が寄せられている)。経済成長率は政府の支出がこの水準を上回ると低下を始める。言い換えると政府の規模と経済成長にはこぶ型の関係がある(この関係は経済学者Gerald Scullyにちなんで、Scully Curveと呼ばれる)。

OECDのデータによるとアメリカの政府の規模は2012でGDPの約40%となっている。彼の推計は国際間のデータに基づくものではあるが彼の分析はオバマ大統領がアメリカの経済成長をさらに加速させるために政府の規模を縮小させるべきだということを示している。この結論はアメリカの政府の規模が縮小すれば高い経済成長率を達成することが出来ることを発見した多くの研究と整合的だ。

Canada as Example

このことの生きた事例としてアメリカ人はカナダを見るべきだ。20世紀後半を通してカナダでは政府の規模を拡大させることが支持されてきた。これにより1970から1992に掛けてカナダの政府の規模がGDPに占める割合は大幅に拡大した。1970にGDPの36%だった政府の規模(アメリカよりも2%ポイント高い)は1992に53%にまで拡大した(アメリカよりも14%ポイント高い)。

この政府の規模の大幅な拡大により(同時に政府債務の大幅な増加を伴って)、カナダは危険な経路へと転落していき不要な国際的注目を集めることになった。事実、1995の1月12日の記事でWSJはカナダの債務問題を指摘しカナダは「第三世界の名誉ある住人になった」と述べそして「債務の壁に突き当たる」かもしれないと警告した。

しばらくして連邦政府と州政府は政府支出の削減と改革に向けた行動を取り始めた。これによりカナダ政府の経済への関与には大きな構造的変化が生まれることになった。カナダの改革により連邦政府の赤字は削減され、政府の規模と範囲は縮小され、税制改革を行う余地が生まれ、最終的には経済成長と雇用創出を促進することとなった。

この最後の点は強調に値する。カナダの政府支出がGDPに占める割合は1992の53%から2007には39%へと低下した。そしてこの4分の1以上の政府の規模の縮小にも関わらず経済は成長し、雇用は拡大し、貧困率は劇的に低下した。

グラフが示すようにアメリカの政府支出は2000以降増加している。2009にGDPの43%を占めた後その後低下した。実証研究は(カナダの経験も併せて)政府の規模を縮小させることによりアメリカの経済成長率を加速させることが出来ることを示している。

これらの事実は超党派の合意事項とすべきだ。そしてオバマ大統領の残りの任期の主要な政策議題の基とすべきだ。ワシントンでは議論の対象が豊富にあるだろう。適切な政府の規模はそのうちの一つである必要はない。

0 件のコメント:

コメントを投稿