2016年3月19日土曜日

2013年に全米を駆け巡った弩級のニュース?医療保険は加入者の健康状態も死亡率も改善させていなかった?パート2

Devastating News for ObamaCare Backers

John Goodman

ホワイトハウスで、民主党内で、(圧倒的にリベラル派が多い)医療政策コミュニティの間で、激しい苦痛が先週巻き起こった。その理由は、メディケイドと保険に加入していない人の健康状態の間に何の違いも見られないことを新しい研究が発見したからだ。

このことが、Affordable Care Act (ObamaCare)を私たちに押し付けてきた人たちに対して与えた打撃はどれだけ強調しても強調し過ぎることはない。要するに、オバマケアとは以下の考えに支えられている。人々をメディケイドに加入させれば、彼らはより良い医療を受けることになるだろうという考えだ(毎年、何万人もの命が救われるとオバマ大統領は私たちに語った)。

その考えは危機に晒されている。来年度から、オバマケアにより3400万人が新たに保険に加入すると政権内では予想されている。その半分ぐらいがメディケイドに加入するだろう。残りの半分はエクスチェンジで保険を購入すると想定されている。そこには連邦政府から保険料に対する(寛大な)補助金が与えられるだろう。マサチューセッツ州の医療保険改革をオバマ政権は前例としているので、それらの人々はメディケイドの医者への支払い率よりも10%高いだけの保険に加入するだろう。それらの保険をここではメディケイド・プラスと呼ぶことにする。

だが、メディケイドが保険に加入していなかった人たちを少しも健康にしていないのであれば、オバマケア全体が巨額の無駄ということになる。

[実際、結果は完全には失望的という訳ではない。メディケイドに加入した人たちの方がうつ病の発症は少なかった。彼らは(保険に加入していない人たちと比べて)ほんのわずかだけより幸福だと答えた。自己負担額に関しては、メディケイドに加入した人たちの方が2万1500円、毎年の医療費の自己負担額が少なかった。だが、言うまでもなくメディケイドに費やしている金額(軽く50兆円以上)よりも遥かに遥かに少ない金額でこの自己負担額を埋めることが出来る]。

[Aaron Carroll and Austin Fraktはこの研究が「サンプルサイズが小さすぎる」かもしれないと語っている。それぞれの病気のカテゴリーに対して人数が少ないため有意差を検出することに失敗しているという意味だ。だがウォール・ストリート・ジャーナル誌が指摘しているように、この研究が対象にしたのがメディケイドの加入者ではなく新薬ということにしてこの結果をFDAに送ったとしても(メディケイドへの)認可は得られないだろうとのことだった]。

先週発表されたその研究は、この結果を初めて発見したものという訳ではない。事実、メディケイドの加入者の方が保険に加入していない人よりも結果が悪いことを示した研究が数多くある。これらの研究はありとあらゆる難癖をつけられて、存在しなかったことにされてきた。だが、公平な精神の人間であればメディケイドがどれぐらいの違いを生み出すのかはオープンクエスチョンだと言うべきだっただろう。

それも先週終わった。オレゴン州の財政が逼迫していたおかげで、経済学者たちは2重盲検法を行う絶好の機会を得た(研究者にとってのゴールドスタンダードだ)。そしてその結果は、オバマケアの支持者たちにとって非常に非常に悪いものだった。

その研究は、どうしてそのような結果になったのかその理由までは推測していない。だが私がそれを試みようと思う。

この国の保険非加入者は、自分で支払うことが出来ない時には無料の医療へのアクセスを持っている。例えば私が住んでいるテキサス州のダラスでは、郡全体が、必要とする家族に無料の医療を行う医療区の一部分に含まれている。この無料の医療区は連邦貧困基準250%の人々までをカバーする。家族の所得に基づいて、要するに所得が少なければ支払いも少なく所得が多ければ支払いも多くなる。Parkland Memorial Hospitalとその衛星病院がこの地域での医療の主なプロバイダーだ。

あなたはこの保険に加入していない人たちのことを、実際にはこの形で「保険に加入している」と言うことも出来るだろう。だが政府の統計では、彼らは「保険に加入していない人」として数えられる。彼らがメディケイドに加入した場合には、「保険に加入している人」として数えられる。頻繁にあることだが、保険に加入していない人とメディケイドに加入している人は同じ治療を同じ医者から同じ施設で受けている。一方のグループが「保険に加入している」とラベルされ、もう一方のグループが「保険に加入していない」とラベルされているにも関わらずだ。

ここに、私が「Handbook on State Health Reform」に書いたものがある。

[テキサス州ダラスのParkland Memorial Hospitalの事例を考えてみる。保険に加入していない患者もメディケイドに加入している患者も同じ緊急救命室に入り同じ医者から診察を受けている。病室は同じで、ベッドも同じで、治療も同じだ]

[その結果として、患者には長々とした入力欄に記入したりメディケイドの加入に(絶対ではなくても)必要とされる質問に答える理由がない。さらに、それらの患者を治療した医者と看護士に支払われる金額は患者が保険に加入していようといなくても同じだ。それ故、医者や看護士は誰が誰によってカバーされているかそれ以前にそもそも保険に加入しているかどうかも気にも留めない傾向にある。実際、誰がどのような保険に加入しているのかまたはしていないのかを気に掛ける唯一の人々は病院の管理者であったりする]

[Parklandの隣りにある、児童メディカル・センターでも同じような光景が繰り広げられる。メディケイド、S-CHIP、保険に加入していないほとんどがヒスパニック系の児童は全員が同じ緊急救命室に入り同じ医者から診察を受け同じ治療を受ける]

[興味深いことに、どちらの施設でも雇われスタッフが人々を公的医療保険に加入させようと涙ぐましいまでの努力を行っている。患者が入院するかどうかも決まってなくて緊急救命室で治療を待っている間にもだ。だが彼らは患者を公的医療保険に加入させるのに毎回のように失敗している!1人の患者が同意した後には、スタッフたちは部屋という部屋を駆け巡ってこの官僚的な作業を気持ちを奮い立たせながら何度も何度も繰り返している。しかも、病院のベッドの上でさえも患者が加入を拒否する率は高い。加入しても彼らが受ける治療に(または金銭的負担に)何らの影響も与えないからだ]。

ダラスで行われていることが他の都市でも同じであれば「保険に加入していない人を加入させる」というのはどの場所でもほとんど意味を為さない。

国全体として、メディケイドの加入資格がある人々の3分の1は面倒だといって加入を断る。数多くの人がメディケイドに価値があると思っていないことを示唆している。オレゴン州では、状況はより劇的だ。アビック・ロイが説明しているように、

「抽選に選ばれた3万5169人のオレゴン州人のうちで、たったの30%の人たちだけが実際にメディケイドに加入した(オレゴン州は財政が逼迫していたためか、メディケイドに加入を希望していた人の中から実際に加入する人を抽選で選ぶことにした。これが抽選でなければ、例えば健康状態の悪い人を州が優先的に加入させる、所得の特に低い人(所得と健康状態は相関する可能性がある)が優先的に加入するなどのバイアスが生まれる可能性があったが、抽選で選ばれたことによって完全にランダムで選ばれたことになったのでメディケイドに加入した人と加入しなかった人とで条件が同じになった。今回の研究が特に注目を集めているのはそのため)。実際、給付を受け取るのに必要な記入欄に嫌々ながらも記入したのは抽選に選ばれたうちの60%の人だけだった。この事例は、保険に加入していないオレゴン州人がメディケイドをどのように見ているかを物語っている」。

マサチューセッツ州の事例を考えてみよう。ロムニーケアは統計上の「非保険者」の率を半分にカットした。だが医者や看護士やクリニックは増やさなかった。私が言える限りでは、以前と同じ人が以前と同じ場所に行って、以前に受けていたのとほとんどまったく同じ治療を受けている。病院の緊急救命室へのトラフィックは今までよりも高くなった。コミュニティ・ヘルス・センターへのトラフィックはほとんど変わっていない。

以下、寄せられた怒りのコメント。

Ken says:

45兆円の無駄。

Buster says:

この結果は、保険に加入した人はメディカルケアの使用を増やすがその増加はその人の健康状態を改善させないことを示した過去の研究群とも整合的だ。

Peter Ferrara says:

医療政策での真の問題は経済政策全般とまったく同じだ。私たちは、自分たちをプログレッシブと呼ぶ人たちとは会話することさえ出来ないということだ。彼らは自分たちと意見を同じくする新聞や放送局の中だけに閉じこもる。そしてその新聞や放送局は市場寄りの議論や真実、またはジョンがここで語っているような市場寄りの政策を支持する結果を示した研究などは一切報道しない。結果として、これは私たちの国が公共政策に関する真の議論を拒絶していることを意味する。特に市場寄りの政策に関する議論を。そして、これが何百兆円、何千兆円という損失となって私たちに降りかかっている。オバマケアはその一部でしかない。

Doctor Tom says:

Ralph Weberという方へ。

田舎で単身、手術を行っている身としては、あなたの主張に同意することは出来ない。私は自分が扱える以上の患者を診てきた。だが私への支払いは政府や民間の支払い機関によって凍結または引き下げられてきた。

私への支払いは15年間上昇していない。これは、インフレを調整すれば、過去15年間私への支払は毎年減少していっていることを示している。

加えて、私への支払いに関して民間の業者と話し合いをする時には毎度のように彼らはメディケイド/メディケアの償還率の話を持ちだしてそれらとの等価を要求する(ある治療に対して民間の保険はその費用の100を支払うのに対して、メディケアはその80、メディケイドはその60しか支払わないと云われている。ここでは、この医者が民間の保険会社にもっと支払いを増やしてくれと掛け合っているのに、保険会社の方はメディケア/メディケイドは80とか60とかしか払っていないんだからそのぐらいに絞ってもやっていけるんじゃないですか?といった具合に取り合ってくれないと愚痴を溢している)。メディケアは、私が最も頻繁に行っている手術に対する支払いを15%減らしたばかりだ。そしてさらに2%が没収された。

これが、私が医者の看板を下ろして他の仕事を探そうとしている理由だ(オバマケアではメディケアへの支払いを一律30%以上カットしてそのお金を財源に充てることになっている。それによって追加の費用は一切掛からないと宣伝しているが、そんなことは出来るわけがないと保守派は怒っている)。

Frank Timmins says:

GOPのどのリーダーがこの事実を理解しこの発見に基づいてオバマケアへの反対法案を組織するのかが見ものだ。

誰かがこれらの事実を大衆に知らせる前に、どれだけの経済的ダメージが私たちに降りかかってくるのだろうか?

Linda Gorman says:

ポジティブな側面だけを伝えようとするその試みが個人的には一番面白いと思う。

それに対しては、金銭面の負担はカットされたのではなく、シフトされたのだと答えるだろう。

そして、アクセスの増加というのは無駄を増やす以外のことはやっていなかった。

Studebaker says:

Don McCanneのコメントとLinda Gormanのコメントをつなぎ合わせると、こうなる。オレゴン州のメディケイドは無駄な医療へのアクセスを増加させた、そしてその費用を他人のお金で支払わせることによってシフトさせた。

Bob Deuell says:

保険加入者、保険非加入者、メディケイド、メディケア、CHIPの患者を受け持つ外科医として、私は生活習慣がこの「違いのなさ」に大きな役割を果たしたと考える。どれだけ医療につぎ込んでも悪い生活習慣を克服することは出来ないということだ。それは置いておいて、ドクター・グッドマンの指摘は的を射ている。

Wanda J. Jones says:

親愛なるジョンと友人たちへ。

これは良い知らせだ。私にとって前から謎だったのは何故オバマ政権は新規に1500のコミュニティ・ヘルス・センターを建設する計画をキャンセルしたのか?ということだった。これらのセンターは最も貧しい家庭が住んでいる場所に建設されるように特別に制度化されているものだ。あなたも説明しているように支払いは所得に応じてでよく、無料のヘルスケアが提供されている。専門医への支払いも十分なほどだ。それらの病院はパートタイムでボランティアの医者を多く雇っている。理想的とはいえない。だがERよりも良い。どうしてこれがキャンセルされたのか?

私には、その建設のタイミングがオバマケアへの支持を低下させるからだろうとしか思えない。

1970年代には、Hill-Burton Act以降3番目の、新しい病院建設促進法案があった。Hill-Burton Actは新しく建てられる病院に対して資本費用への補助を与えるものだった。今度の法案は資本費用に対して補助を与えるものではない。だが建設代理店により責任を与えるものだった。私は、その法案が顧客に対して本当に費用の掛かる法案だと考えている人から警告を受けた民間のコンサルティング会社の手助けをした。私たちは医療に関する議会の委員会のメンバーで、スタッフとしてその法案を作成した若い人たちを招待した。昼食の時に、私は彼らのうちの一人に、「あなたはこの法案に関係する人や団体は全員がこの法案に反対していると先ほど言いましたよね?それが誰だったのか教えてくれませんか?」と尋ねた。彼は、「私たちだと思います」と答えた。それはその委員会の彼の同僚のスタッフたちという意味だった。これは、マーク・トウェインの「The Mysterious Stranger」の世界に迷い込んだような状況だった。ある男の子たちの集団が森の中で老人に出会う。その老人は小人族の村を歩き回りながら見ている。よく見るとその老人は定期的に杖を取り出し彼らを引っ掻き回して何が起こるのかを見ているようだった。男の子たちが老人にどうしてそんなことをやっているのかと尋ねると、その老人はこう答えた。「彼らは私にとって、蟻みたいなものなんじゃよ。だが蟻よりも反応が多彩で面白くってな」。神よ、この老人が言っているように、ただ面白半分で村をかき回していたようなのです。

大衆には、議会が法案を作成するのを観察してその影響を感じるのを見るだけの十分な時間がある。「違う人を選挙で選べ」と言うのでは十分ではない。法案が作成されるそのメカニズムに問題がある。私たちに前もってどのぐらいの費用が掛かるのかを伝えようとしているOMBやその他の団体にもっと注意を払うべきだ。作成された法案が各種の関係者または団体に与える影響を伝えることにも同様の注意が払われるべきだろう。オバマケアには法案が通過する前にそのような注意が払われていない。そして腐敗したオバマ政権は有益で害のない法案を通す気が明らかにない。

この法案の有害な(意図せざる)結果によって沈められてしまわないよう、次回の選挙までにデモクラットが泣き叫びながらこの法案を廃案にしてくれと懇願してくる未来予想図のことを想像してみよう。

医療へのアクセスに関しても、この政権は理解していないように思われる。今、医療サービスのプロバイダーは合併に次ぐ合併を繰り返して、既存のシステムを維持しながらも将来の世代のための医療システムを構築しようとしている。ベビーブーマー世代が退職してきてさらに移民もこれから急激に増加するので、それら地域の医療システムによって組織され運営される供給体制は、そのシステム内の病院や医療団体によってバックアップされるコミュニティ・ヘルス・センターへの予算配分を通して低所得層を支援することが出来る。言い換えると、開発の才能を持った人たちの所へ行き、彼らに供給システムをアップグレードさせるインセンティブを与えるべきということだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿