2016年3月19日土曜日

Fact-Checking the President on Health Insurance

Scott Harrington

先週の議会での演説でオバマはいつもやっているように民間の医療保険を悪魔のように見せることで自分の意見を正当化しようとした。彼は以下のような内容で攻撃を開始した。「病気になった時に保険会社が支払いを拒否したりまたは費用のすべてを支払わないということを、より多くのアメリカ人が気が付き始めている。このようなことが毎日起こっている」。

そのようなことは保険会社と適正な契約を交わし契約条項を順守している人にあってはならないことだ。だが彼が持ちだした事例には偽りの記述または情報の隠匿による契約の取消が含まれている。医療保険は病気になった後になって保険を購入したり悪意を持って情報を隠匿するような人が多数を占める場合には機能しない。

伝統的な慣行として、保険会社は費用の掛かる健康履歴の調査にではなく応募者が申告する健康状態に関する情報の信頼性に依存してきた。その代わりとして保険会社は契約が成立したすぐ後に費用の高い治療が行われた時など、疑わしいと思われた事例に対してより詳細で費用を掛けた調査を事後的にある程度行ってきた。

この慣行により(すべての応募者を調査する場合または情報の正確性に関係なくすべての支払いに応じる場合と比較して)大幅な費用の節約ができ保険料も引き下げることが出来る。さらに、幾つかの州は記述の誤りや情報の隠匿が病気に直接関係している場合には契約の取消を制限している。多くの州はそうではない。

保険会社を悪く見せるためにオバマは「彼自身も知りさえしなかった胆石のことを報告していなかったため治療の最中に契約を取り消された」というイリノイ州の男性を例に挙げる。「保険会社は彼の治療を延期させた。彼はそのせいでなくなった」と続けた。

彼はこの例を以前にも用いているが、彼の言うことはSubcommittee of Oversight and Investigation of the House Committee on Energy and Commerceでの業界慣行に関する6月16日の公聴会での記録によって退けられている。彼の妹は、Illinois Attorney General’s Officeによる調査の後に保険会社が彼女の兄の契約を再び有効にしていると証言している。彼女は彼女の兄が、予定されていた細胞移植手術を「限られた治療期間」とされる3週から4週の間に「この治療に関して全世界で最も有名な医師の一人」から治療を受けその治療も「極めて成功裡に終了し」、「それによって彼の寿命は約3年半長くなった」と証言している。

オバマの持ち出す2番目の例が「ニキビなどの皮膚病を報告するのを忘れていたために契約をキャンセルされて2回も乳房切除手術を受けることになった」というテキサスの女性だ。彼は「彼女の契約が再び承認された頃には彼女の乳房がんは2倍の大きさになっていた」と語っている。その女性の6月16日の公聴会での証言は彼女の手術が何ヶ月か延期されたことを確認している。その公聴会では皮膚科医のカルテに彼女の皮膚の状態が前がん性のものであるかもしれないと記されていたことが示されている。さらに保険会社は彼女が不整脈の問題を明らかにしていなかったことと彼女が契約時に故意に体重を過少申告していたことを問題にしている。

これら2つの事例は5年間に保険会社が発行した何百万もの契約書の中から特定された20000の契約取り消しに関する11万6000ページもの文書を議会職員が分析して最も悪質な事例として報告されたものだ。保険会社の代表は契約の1%の半分以下だけが取り消されていると証言している(0.1%以下)。

仮に現在の法律や制限では不十分だというのであれば、オバマの提案する医療法案などを採用する必要などまったくなく不正を標的とした様々な手段が明らかに存在する。

演説の後半で、彼はアラバマ州を例に出し医療保険業界で競争を促すために政府による保険が必要だと訴えた。彼はアラバマ州の保険市場の90%が一つの保険会社によって支配されていると非難し、高い市場占有率によって「最も健康な人を都合よく選んで最も健康状態が悪い人を追い出そうとすること、中小企業に高い保険料を吹きかけること、保険料率を操作することによって消費者に不利に働きかけることが容易になる」と主張した。

Birmingham Newsは、アラバマ州最大の保険会社で非営利のBlue Cross and Blue Shield of Alabamaの市場シェアは75%だとこの演説のすぐ後に報じている。その会社の代表は過去10年間「利益」が保険料のわずか0.6%で管理費は保険料の7%だと指摘している。全米の39のBlue Cross and Blue Shieldのプランの中で4番目に低い。

同様に、2007年の12月31日にAlabama Department of Insuranceによる報告書はこの保険会社の保険料に占める医療費還付の割合が92%だったと指摘している。管理費も先程の報道の通り7.5%だった。その純利益(投資による所得も含む)はその年度の保険料の2%だったとも指摘している。

これらの消費者フレンドリーな数字に加えて、今月のConsumer Reportsによる調査によって、Blue Cross and Blue Shield of Alabamaの顧客満足度が41のPPOプランの中で全米で第二位であることが明らかになっている。競争の欠如ではなく、この会社の効率性がその市場占有率を説明しているのだろう。特にUnited HealthcareやAetnaなどの大手がアラバマ州に参入するに際して、明らかな障壁などないことを考慮すればなおさらだ。

法案の作成には注意深い分析とベネフィットとコストに関するきちんとした議論が必要となる。オバマが自分の意見を押し通すために民間の保険を悪く見せようとし続けてもその目的を達することは出来ないだろう。

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