2016年3月19日土曜日

医療経済学に携わって以来、New England Journal of Medicineに先週掲載されたものほど衝撃的なものを思い出すことが出来ない。

イデオロギーを問わず専門家のこれまでの通説は、人々は良い医療を受けるために保険を必要とするだった。実際、ある政治家は「保険に加入していない」と「治療を受けていない」を同じ意味で使っている。それとは別に、ほぼ全員にと言ってもいい程に受け入れられていた通念とはある医療保険は他のものよりも高い価値をもたらすというものだった。だが今回現れた研究がそれらの仮定を打ち砕いた。

・治療を求めている人々の間で、保険に加入している人と保険に加入していない人とが受ける治療の質に違いはなかった。

・異なる種類の保険により支払われていても(メディケイド、マネジドケア、出来高払い制などなど)受ける治療には非常に小さな違いしかなかった。

これがどういうことかというと、保険に加入していない人が加入している人よりも少ない治療しか受けていないと主張した研究が恐らくは100ぐらいはあったはずだ。それらはほとんどすべてが悪い研究だ。方法的に妥当なように見える一つか二つしかない研究でも治療を求めている人とそうでない人との違いを区別できていない。その区別が決定的だ。

Lives at Riskで、我々はDallas Countyで治療を求めている人々の間で保険に加入している低所得者(主に、メディケイド)が受けている治療と保険に加入していない人が受けている治療との間に観察上の違いがないということを見てきた。我々はこれが恐らく全米中でも同じなのだろうと仮説を立てた。

NEJMの研究はその仮説が正しかったということを確認している。これが意味する所は何か?メディケイド全体が(一人あたり10万円の費用の下で、さらに民間保険を大量にクラウドアウトして)保険に加入していることが大事なのだという通説の下に成り立っている。我々は今では本当に重要なのは医者に診てもらうことだということを知っている。その邪魔となっているのは待ち時間による配給と医者への支払いだ。どちらも医療貯蓄口座によって解消することが出来る。

他の通説は保険に加入していない人が自動車の労働団体のようにほとんど無制限の保険を必要としているというものだ。だが保険に加入していない人でその中で低所得の人は資産をそれほど持っていないだろう。何故彼らがそのような保険を必要とするというのだろうか?もちろん必要としていない。給付を制限した保険によって遥かに少ない保険料で保険に加入することが出来るだろう。

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