John Goodman
ホワイトハウスで、民主党内で、(圧倒的にリベラル派が多い)医療政策コミュニティの間で、激しい苦痛が先週巻き起こった。その理由は、メディケイドと保険に加入していない人の健康状態の間に何の違いも見られないことを新しい研究が発見したからだ。
その考えは危機に晒されている。来年度から、オバマケアにより3400万人が新たに保険に加入すると政権内では予想されている。その半分ぐらいがメディケイドに加入するだろう。残りの半分はエクスチェンジで保険を購入すると想定されている。そこには連邦政府から保険料に対する(寛大な)補助金が与えられるだろう。マサチューセッツ州の医療保険改革をオバマ政権は前例としているので、それらの人々はメディケイドの医者への支払い率よりも10%高いだけの保険に加入するだろう。それらの保険をここではメディケイド・プラスと呼ぶことにする。
だが、メディケイドが保険に加入していなかった人たちを少しも健康にしていないのであれば、オバマケア全体が巨額の無駄ということになる。
それも先週終わった。オレゴン州の財政が逼迫していたおかげで、経済学者たちは2重盲検法を行う絶好の機会を得た(研究者にとってのゴールドスタンダードだ)。そしてその結果は、オバマケアの支持者たちにとって非常に非常に悪いものだった。
この国の保険非加入者は、自分で支払うことが出来ない時には無料の医療へのアクセスを持っている。例えば私が住んでいるテキサス州のダラスでは、郡全体が、必要とする家族に無料の医療を行う医療区の一部分に含まれている。この無料の医療区は連邦貧困基準250%の人々までをカバーする。家族の所得に基づいて、要するに所得が少なければ支払いも少なく所得が多ければ支払いも多くなる。Parkland Memorial Hospitalとその衛星病院がこの地域での医療の主なプロバイダーだ。
あなたはこの保険に加入していない人たちのことを、実際にはこの形で「保険に加入している」と言うことも出来るだろう。だが政府の統計では、彼らは「保険に加入していない人」として数えられる。彼らがメディケイドに加入した場合には、「保険に加入している人」として数えられる。頻繁にあることだが、保険に加入していない人とメディケイドに加入している人は同じ治療を同じ医者から同じ施設で受けている。一方のグループが「保険に加入している」とラベルされ、もう一方のグループが「保険に加入していない」とラベルされているにも関わらずだ。
ここに、私が「Handbook on State Health Reform」に書いたものがある。
[テキサス州ダラスのParkland Memorial Hospitalの事例を考えてみる。保険に加入していない患者もメディケイドに加入している患者も同じ緊急救命室に入り同じ医者から診察を受けている。病室は同じで、ベッドも同じで、治療も同じだ]
[Parklandの隣りにある、児童メディカル・センターでも同じような光景が繰り広げられる。メディケイド、S-CHIP、保険に加入していないほとんどがヒスパニック系の児童は全員が同じ緊急救命室に入り同じ医者から診察を受け同じ治療を受ける]
「抽選に選ばれた3万5169人のオレゴン州人のうちで、たったの30%の人たちだけが実際にメディケイドに加入した(オレゴン州は財政が逼迫していたためか、メディケイドに加入を希望していた人の中から実際に加入する人を抽選で選ぶことにした。これが抽選でなければ、例えば健康状態の悪い人を州が優先的に加入させる、所得の特に低い人(所得と健康状態は相関する可能性がある)が優先的に加入するなどのバイアスが生まれる可能性があったが、抽選で選ばれたことによって完全にランダムで選ばれたことになったのでメディケイドに加入した人と加入しなかった人とで条件が同じになった。今回の研究が特に注目を集めているのはそのため)。実際、給付を受け取るのに必要な記入欄に嫌々ながらも記入したのは抽選に選ばれたうちの60%の人だけだった。この事例は、保険に加入していないオレゴン州人がメディケイドをどのように見ているかを物語っている」。
マサチューセッツ州の事例を考えてみよう。ロムニーケアは統計上の「非保険者」の率を半分にカットした。だが医者や看護士やクリニックは増やさなかった。私が言える限りでは、以前と同じ人が以前と同じ場所に行って、以前に受けていたのとほとんどまったく同じ治療を受けている。病院の緊急救命室へのトラフィックは今までよりも高くなった。コミュニティ・ヘルス・センターへのトラフィックはほとんど変わっていない。
以下、寄せられた怒りのコメント。
Ken says:
45兆円の無駄。
Buster says:
この結果は、保険に加入した人はメディカルケアの使用を増やすがその増加はその人の健康状態を改善させないことを示した過去の研究群とも整合的だ。
Peter Ferrara says:
医療政策での真の問題は経済政策全般とまったく同じだ。私たちは、自分たちをプログレッシブと呼ぶ人たちとは会話することさえ出来ないということだ。彼らは自分たちと意見を同じくする新聞や放送局の中だけに閉じこもる。そしてその新聞や放送局は市場寄りの議論や真実、またはジョンがここで語っているような市場寄りの政策を支持する結果を示した研究などは一切報道しない。結果として、これは私たちの国が公共政策に関する真の議論を拒絶していることを意味する。特に市場寄りの政策に関する議論を。そして、これが何百兆円、何千兆円という損失となって私たちに降りかかっている。オバマケアはその一部でしかない。
Doctor Tom says:
Ralph Weberという方へ。
田舎で単身、手術を行っている身としては、あなたの主張に同意することは出来ない。私は自分が扱える以上の患者を診てきた。だが私への支払いは政府や民間の支払い機関によって凍結または引き下げられてきた。
GOPのどのリーダーがこの事実を理解しこの発見に基づいてオバマケアへの反対法案を組織するのかが見ものだ。
誰かがこれらの事実を大衆に知らせる前に、どれだけの経済的ダメージが私たちに降りかかってくるのだろうか?
Linda Gorman says:
ポジティブな側面だけを伝えようとするその試みが個人的には一番面白いと思う。
それに対しては、金銭面の負担はカットされたのではなく、シフトされたのだと答えるだろう。
そして、アクセスの増加というのは無駄を増やす以外のことはやっていなかった。
Studebaker says:
Don McCanneのコメントとLinda Gormanのコメントをつなぎ合わせると、こうなる。オレゴン州のメディケイドは無駄な医療へのアクセスを増加させた、そしてその費用を他人のお金で支払わせることによってシフトさせた。
保険加入者、保険非加入者、メディケイド、メディケア、CHIPの患者を受け持つ外科医として、私は生活習慣がこの「違いのなさ」に大きな役割を果たしたと考える。どれだけ医療につぎ込んでも悪い生活習慣を克服することは出来ないということだ。それは置いておいて、ドクター・グッドマンの指摘は的を射ている。
Wanda J. Jones says:
親愛なるジョンと友人たちへ。
これは良い知らせだ。私にとって前から謎だったのは何故オバマ政権は新規に1500のコミュニティ・ヘルス・センターを建設する計画をキャンセルしたのか?ということだった。これらのセンターは最も貧しい家庭が住んでいる場所に建設されるように特別に制度化されているものだ。あなたも説明しているように支払いは所得に応じてでよく、無料のヘルスケアが提供されている。専門医への支払いも十分なほどだ。それらの病院はパートタイムでボランティアの医者を多く雇っている。理想的とはいえない。だがERよりも良い。どうしてこれがキャンセルされたのか?
大衆には、議会が法案を作成するのを観察してその影響を感じるのを見るだけの十分な時間がある。「違う人を選挙で選べ」と言うのでは十分ではない。法案が作成されるそのメカニズムに問題がある。私たちに前もってどのぐらいの費用が掛かるのかを伝えようとしているOMBやその他の団体にもっと注意を払うべきだ。作成された法案が各種の関係者または団体に与える影響を伝えることにも同様の注意が払われるべきだろう。オバマケアには法案が通過する前にそのような注意が払われていない。そして腐敗したオバマ政権は有益で害のない法案を通す気が明らかにない。
医療へのアクセスに関しても、この政権は理解していないように思われる。今、医療サービスのプロバイダーは合併に次ぐ合併を繰り返して、既存のシステムを維持しながらも将来の世代のための医療システムを構築しようとしている。ベビーブーマー世代が退職してきてさらに移民もこれから急激に増加するので、それら地域の医療システムによって組織され運営される供給体制は、そのシステム内の病院や医療団体によってバックアップされるコミュニティ・ヘルス・センターへの予算配分を通して低所得層を支援することが出来る。言い換えると、開発の才能を持った人たちの所へ行き、彼らに供給システムをアップグレードさせるインセンティブを与えるべきということだ。
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