The U.S. Is The Third Lowest Health Spender of 13 Developed Countries
John R. Graham
Commonwealth Fundと提携した経済学者たちが、最近になってまた医療システムの国際比較の報告書を作成した。これらの報告書はいつもメディアによって歓迎され、アメリカの医療システムはなんて高額なのかと嘆く一連の記事が紙面に並ぶことになる。アメリカと他の国との違いは他の国が公的医療保険を持っていることだとCommonwealth Fundに結論を煽動され、多くの人はそのような「改革」によってアメリカの医療費を削減することができると刷り込まれる。
その結論は的はずれだ。その報告書によると、アメリカの医療支出は2013年でGDPの17.1%ということになっている。2番目のフランスは11.6%だ。ドルに換算すると、アメリカの医療支出は一人あたり90万円ほどでスイスは63万円ほどしか支出していないということになっている(これらの価格はPPPレートで表示されている。その問題点は以前に指摘した)。
これらの数字を見ていると、このお金に見合うだけの価値を得ているのかという疑問が浮かんでくる。だがこの支出がアメリカの負担になっているのかどうかはアメリカの所得が非常に高いことを考えればまったくもってはっきりしない。表1はアメリカのGDPから医療支出を引いたものを表示してある。医療支出を差し引いてもまだ一人あたりで見て他のものに440万円をアメリカ人は支出できることが分かる。これより多いのは、ノルウェーとスイスのたったの2ヶ国しかない。例えば、医療支出を差し引いた後のイギリスの一人あたりGDPは348万円でしかない。従って、もしアメリカの医療支出がイギリスより本当に多かったとしてもそれを差し引いた後でさえアメリカ人はイギリス人よりも91万円以上多く支出できることになる。同様に、カナダ人に対しても60万円以上多い。
実際、高い一人あたりGDPが高い医療支出の原因だということを示した幾つかの証拠がある。David Cutler and Dan Lyは外科医の所得がアメリカの医療支出を幾らか押し上げていると主張した。アメリカの外科医の平均所得は2010年で2300万円ほどで他の12ヶ国は1290万円ほどだ。
これは見た目には大きな違いだ。だが医療システムとはほとんど関係がない。むしろ、労働所得の分布に関係がある。他の国の高額所得者の所得自体がアメリカよりも低い。Cutler and Lyは「高額所得」を所得分布の95パーセンタイルから99パーセンタイルと定義している。彼は、アメリカの外科医は平均的なアメリカの高額所得者よりも37%所得が高いことを示した。だが、他の国の外科医はそれぞれの国の高額所得者よりも45%所得が高い。
アメリカの外科医が給料が低いと嘆くのは他の職業の方が所得が高いからだ。従って、アメリカの外科医の所得を低下させながらも十分な供給が保たれるなどということはまったく起こりそうもない。
興味深いことに、Commonwealth Fundに協力した経済学者たちは医療サービスだけではなく社会サービスに対する支出も調査している。これは極めて妥当だ。何故なら社会サービスは医療サービスを容易に代替するからだ(アメリカでは医療費に計上されているものが他の国では社会サービスに計上されているので)。だがGDPに占める割合として社会サービスの支出が医療サービスの支出に加えられると、アメリカの支出は外れ値ではなくなる。両者の合計はGDPの25%で、アメリカはノルウェーと同じ位置でスイス、オランダ、ドイツ、スウェーデン、フランスを下回る(表2を参照)。社会サービスと医療サービスを差し引いた後で残った所得を比べてみると、アメリカよりも高いのは最早ノルウェーしかない。平均的なフランス人の所得は平均的なアメリカ人よりも150万円も所得が低い。
最後に、アメリカの医療システムと他の国の医療システムは本当にそれほど大きく異なるのか?ということをよく考えてみる必要がある。医療システムが「ユニバーサル」かどうかで定義するのは他の特徴に比べればほとんど重要ではないだろう。表3は13の国を自己負担の割合と政府、民間を問わず第三者が支払う割合とで並べている。アメリカの自己負担率はたったの11%でしかないので、この指標ではアメリカは9番目に位置する。スイスは25%以上を自己負担で支払っている。カナダでさえアメリカよりも自己負担率が高い。
0 件のコメント:
コメントを投稿