John Goodman
アメリカの有名な大学で医療政策を教えている1人の教授が私の本、Pricelessを生徒たちに配ることにした。彼は何人かの有名な「中道左派」のヘルスエコノミストにも連絡を取り、彼らが私の本に対して反対の側から何か付け加えてバランスを取ることが出来るかも尋ねた。以下が彼の得た回答だ。
「Peter OrszagやUwe Reinhardtのような人々はグッドマンの本のすべてに賛成はしなくても、この本はきちんとした経済学に基いており間違いなく読まれるべき本だと私に語った。中道左派の本にグッドマンの書いたような本はあるのだろうか?経済学的に根拠があり、かつGoodman, Mark Pauly, Steve Perenteたちのような学者が読む価値があると認めるようなものだ」。
答えは、ノーだ。そのような本は存在しない。
このことに自分でも驚いている。医療政策に関して発言したがっている人たちの99.9%はリベラル派だ。他の呼び名が好みならば、「プログレッシブ派」だ。それなのに、医療政策に対してリベラル派のアプローチを記した本がないのは何故なのか?
この現象はヘルスケアに限定されないように私には思われる。ミルトン・フリードマンの「資本主義と自由」は経済学的分析を自由経済の正統性を示すために用いた古典例だ。その本の中で、フリードマンは学校バウチャー制度、フラット税、職業ライセンス制度の廃止、年金の民営化、金融政策のルールなどなどを議論している。左翼の側に、これに匹敵する本が存在するだろうか?答えは、ノーだと断言できるだろう。
このことを異なる視点から捉えてみよう。リベラリズムが支配的な政治的イデオロギーだとしてこれが19世紀の古典的リベラリズムに置き換わったものだとするならば、置き換えられたイデオロギーより何処か良くなったと言える所はあるのか?答えが「ノー」であるならば、その理由は何か?
私が見る所では、リベラリズムはそもそもイデオロギーでも何でもない。それは社会学(適切な訳語が分かりません…)だ。同じことが保守主義にも言えるかもしれない。
イデオロギーとは整合性のある考えの集合体だ。社会主義はイデオロギーだ。リバタリアニズムもそうだ。社会主義者は鉄鋼産業や自動車産業を政府は国有化すべきだと信じているとあなたに伝えたと仮定しよう。あなたはそこから彼らは航空産業も国有化したがっていると容易に推測できるだろう。今度は、リバタリアンが玩具やサンドイッチの自由化を信じているとあなたに伝えたと仮定しよう。そこから彼らがルービックキューブも自由化したがっていると推測することは容易だろう。
(省略)
分かった、ではそれは少しばかり年長の子供が能力の低い教師がいる学校で遭遇する環境とそんなに大きく異なるものなのだろうか?そうではない。だが学校前教育を熱烈に支持する人々の多くが、バウチャーやチャータースクール、または教員組合の権利を少しでも侵害するものであれば何であれ、猛烈な反対者だ。そしてそれにはオバマ大統領も含まれる。
最も多額の年金を受け取る場所と最も多額のメディケアの給付を受け取る場所とはしばしば重なる。所得税とは異なりすべての労働者が給与税を支払う。どれだけ所得が低かろうともだ。だがオバマ大統領が改革に反対するのはこれらのプログラムに対してだ。
このブログの読者の中には、民主党(フランクリン・ルーズベルト大統領の時代にまで遡って)とは利益団体の連盟で構成されている、そして選挙に勝つにはそれぞれの利益団体を満足させることが求められると指摘する人もいるだろう。だがここでは彼らの考えに関して話している。選挙のことではない(地味に重要な指摘)。
以下、寄せられたコメント。
John Seater says:
私の考えではその理由は簡単だ。リベラル派の経済政策は経済学によって否定されている。大きな市場の失敗が存在しない場合には、市場は資源や財を配分するのに良い仕事をする。政府の介入は不必要なだけでなく、ほとんど有害でもある。リベラリズムとは政府の支配とほぼ同義だ。すべての物を管理しようとすら欲する。だから、そのような介入は悪い、良くないと言うような経済学はリベラル派の政策を正当化するような分析の枠組みとは成り得ない。
だから、資本主義と自由のような本が左翼の側に存在しないのは、そもそもそのような本を書きようがないからという理由に尽きる。
Greg Scandlen says:
社会学と呼ぶのは持ち上げ過ぎだと思う。あれはそのようなものでは全然ない。「ology」というのは何かを学習することを意味する。彼らにはそのようなものはない。あれは生の政治だ。彼らの政策のほとんどは宣言された目標を達成することはない、または達成できないという山のような証拠があったにも関わらず採用された。だがそれらは選ばれた少数を利するだけだった。
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