John Goodman
David Himmelsteinと彼の妻Steffie WoolhandlerはHarvard Medical Schoolの准教授だ。彼らは一組となってカナダの国民保険をアメリカで宣伝している。彼らはPhysicians for a National Health Programという団体の活動を指揮している。彼らは(Commonwealth Fundを数えないかぎりは)医療の国有化を推進させるために積極的な活動を行っている唯一の学術関係者だ。彼らは愉快な人達だ(少なくとも私にとっては)。彼らは献身的だ。そして彼らは間違っている。
私が初めてDavidと議論したのは15年前の大学のキャンパスでのことだった。彼らと最も最近に議論したものはAnnals of Thoracic Surgeryという雑誌に再び印刷されている。
管理費が安いという神話:経済学系ではなくすべて医療系のジャーナルに掲載された一連の記事の中で、彼らはカナダの医療システムの管理費はアメリカより遥かに少ないと主張した。その額があまりにも少ないので、管理費の節約だけで保険に非加入の人を全員保険に加入させることが出来ると彼らは主張する。だが彼らは経済学者ではない。彼らは民間の医療保険の保険料収集費用を費用として計上している(広告費、代理店の手数料など)。だが公的保険の側では税の徴収費用を無視している。
・カナダ人男性の10人のうち8人が前立腺がん検診を一度も受けていなかった。アメリカの半分以下だった。
・カナダ人男性の10人のうち9人が大腸がん検診を受けていなかった。アメリカでは10人のうち7人だった。
これらのスクリーニング検診の差は何故アメリカのがん患者の生存率がカナダよりも高いのかを部分的に説明しているかもしれない。例えば、
・カナダの乳がんの死亡率は25%高かった。
・カナダの前立腺がんの死亡率は18%高かった。
・カナダの大腸がんの死亡率は13%高かった。
驚くことに、明らかに医者の注意を必要とするような症状にも関わらず治療を行っていない少なくない数の人が両国にいた。だが、
・高齢者の中で、喘息、高血圧、肥満の治療を受けていないカナダ人の割合はアメリカの2倍だった。
・カナダの高齢者で冠状性心疾患の治療を受けていない割合はアメリカの3倍だった。
全員を(カナダの)メディケア(カナダにもメディケアという同じ名前の制度がある)に加入させたはずなのに高齢者しか加入していないアメリカのメディケアに劣る結果となってしまった。
・カナダでもアメリカでも健康状態は所得と相関していた。高額所得層に比べて低所得層のほうが健康状態が悪かった。
・だが明らかにカナダの方により大きな格差がある。両国の非高齢者の白人人口の中で低所得のカナダ人は低所得のアメリカ人よりも22%健康状態が悪かった。
Bill Waters says:
素晴らしい記事だ。CABGのようにカナダ人が国境を超えて受けに来る高額な手術に対する支出もカナダの統計には含まれていない。
Daniel Patrick Moynihanが言ったように、誰もが自分自身の意見を持つ権利があるが自分だけの事実を持つことは出来ない。
Peter Pitts says:
「universal」なhealth careと「government」なhealth careでは何が異なるのか?
残念なことに、前者は政治的に聞こえがよく後者は聞こえが悪い(だからリベラル派は後者の表現を避ける)。実際には両者は同じもので-どちらも「無料」ではない。
http://www.nytimes.com/2007/11/25/us/politics/25mass.html?_health&oref=slogin
要するに、「無料の」医療というものは存在しない。
Linda Gorman says:
あなたの記事は興味深かった。特に、outcomeに関する議論の部分は。だからここでは他のデータも紹介しようと思う。ここに小児がんの生存率(環境因子による影響を受けにくいと考えられる)、心臓病の死亡率、それぞれの5年生存率を比較したアメリカとカナダのデータがある(1年目では両国にそれほど大きな違いは見られない。だが5年目には違いが顕著になってくる)。アメリカは血圧の管理でもヨーロッパ、カナダより良い結果を出している。脊髄損傷の患者の生活の質でもカナダ、イギリスより良い結果を出している。腎臓疾患患者の割合が同じイギリスより人工透析率が高い。次に治療を待っている人々に関するデータがある。スウェーデンの研究者は心臓バイパス手術を待たされている患者の死亡率は1ヶ月毎に11%増加することを示した。患者が待たされている国では死亡率を引き下げようと色々な手段が取られている。Ray et alは「有害事象の半分は治療を待たされている患者の間に発生する。有害事象はすべての行列で均等に見られる。このことは様々な取り組みにもかかわらず手術の前に患者のリスクを低減できていないことを示唆する。重症度の分類をさらに強化したとしても死亡するリスクの高い患者を見つけることが出来るようになるとは考え難い。これらの結果から判断すると受け入れられないほどに高い死亡率の改善には大幅な待ち時間の削減が必要となるだろう」とコメントしている。カナダの待ち時間も長いがそれでも他の国よりは短い。例えば、スウェーデンとイギリスでは心臓外科手術の待ち時間は1年を超えるかもしれないことが指摘されている。ニュージーランドとアイスランドでは6ヶ月以上が当たり前だ。表8は政府が待ち時間を減らそうと色々なプログラムを組んでいるにも関わらず待ち時間が増加していっていることを示している。この問題に関して慎重に調べた研究は単にお金を医療につぎ込むのでは待ち時間が削減されないことを示唆している。政府が様々な医療サービスに関して価格と予算を決定している場合には資源の配分の問題は地域の水準で必然的に作り出される。これらの失敗はシステムの設計者の目には映らない。民間のシステムでは資源は地域のアクターが適しているかを判断しながら配分される。政府のシステムでは外科医と患者は官僚が情報を集め、編集し、調べ、判断を下すのを待たなければならない。このサイクルが終わる頃には重要な情報のほとんどが失われ解決策を示したかのように思われた出来事は時代遅れか機能しなくなっている。
Table 8 Percentage of patients waiting more than 4 months for elective surgery
1998 2001
Australia 17 23
Canada 12 27
New Zealand 22 26
United Kingdom 33 38
United States 1 5
Source: R.J. Blandon et al. 2002. "Inequities in Health Care, A Five Country Survey," Health Affairs, 21, 3, 182-191 as cited in Jeremy Hurst and Luigi Sicilian. July 7, 2003. Tackling Excessive Waiting Times for Elective Surgery: A Comparison of Policies in Twelve OECD Countries, Health Working Paper No. 6, Organization for Economic Co-operation and Development, Paris, France. p. 12.
[1] A. Andrew Ray et al. 2001. “Waiting for Cardiac Surgery: Results of a Risk-Stratified Queuing Process,” Circulation, 104, p.97.
[2] Richard G. Feachem, Neelam K. Sekhri, and Karen L. White. January 19, 2002. “Getting More for Their Dollar: A Comparison of the NHS with California’s Kaiser Permanente,” BMJ, 324, p.135.
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