2016年3月19日土曜日

Is a VAT the Answer? — The Commission, Part III

John Goodman

何処の国も極めて不愉快な財政上の現実に直面している。一人あたりの医療費が一人あたり所得の2倍のペースで増加しているという現実だ。

政府が高齢者に財源の裏付けのない医療と年金を約束しているという事実に加えて、人口の高齢化は1人の労働者が負担する退職者の数が増えることを意味するので、多くの国の財政の見通しは悪夢のようなものになっている。

ではこれに対する答えは何か?オバマ政権は100兆円以上の財政赤字の答えを付加価値税と、選挙が終わった後になって明らかにしている。だが、それは良い考えなのだろうか?

予想される税率:以前の記事で、Larry Kotlikoffとその同僚が試算したものを紹介した。下のグラフが示しているように、

・アメリカでは、賃金所得に掛かる平均税率は現在の40.6%(15.3%の給与税と15%の所得税と州税と地方税)から2030には55%に2050あたりには62.1%に上昇すると予想されている。

・ヨーロッパが同じ経路を辿るとすれば、ヨーロッパの賃金所得に掛かる税率は現在の60.1%から2030には72.5%へ2050には79.3%に上昇するだろう。

それらは平均税率であることに注意する必要がある。限界税率はそれよりも遥かに高いだろう。

理論と現実:税収が何らかの方法で集められなければならないと仮定すると付加価値税が最もよい方法ではないのか?経済学者は生産ではなく消費に課税するためそして売上税よりも課税逃れが難しいため付加価値税を好む傾向がある。だが現実にはどの国も純粋な形では付加価値税を採用していない。様々な種類の財やサービスが除外されていたり税率が低く設定されている。Randall Holcombeはベルギーの標準税率は21%だが他にも12%、6%、ゼロ%の税率があることを報告している。フランスの標準税率は19.6%だが他にも5.5%と2%の税率がある。全体として、仮にアメリカがヨーロッパ型の付加価値税を採用したとすれば5%の付加価値税を収集するためには10%の税率が必要になるだろう。

付加価値税の静学的費用:付加価値税にも高いコンプライアンス費用と執行費用が掛かることが明らかになる。これらの費用は大部分が税率に無関係だ。Holcombeは付加価値税2%の税率の社会的費用は1ドルあたり56セントであると計算している。7%の税率では、費用は1ドルあたり33セントになる。これは低い税率の付加価値税には意味がないこと、だが高い税率であっても膨大な費用が掛かることを意味する。

付加価値税の動学的費用:すべての税は経済活動を阻害し付加価値税もその例外ではない。この分野の実証研究のレビューに基づいて、Holcombeは10%の付加価値税が経済成長率を10%低下させると計算した。この関係性に基づいて、彼は以下のようなことを発見している。

・20年後の2030までには、付加価値税によるアメリカのGDPの年間の損失額は付加価値税が集めた税収の2倍以上になるだろう。

・さらに、付加価値税によるGDPの低下により他のすべての税から発生する税収も(州税、地方税も含めて)低下するだろう。

・これらの影響を考慮すると、3%の付加価値税から発生する税収の純増分は2030の産出の損失額の10分の1となるだろう。

・7%の税率では(2030に91兆5000億円の税収をもたらすはずの税率は)、実際にはその額の3分の1以下に留まることになるだろう。

Holcombeは高い税率は大した増収をもたらさないと結論している。絶対額で見た政府を拡大させないばかりか、それは民間部門を縮小させる。以下の表が示しているように、

・フランスの政府は一人あたりで見て、実際にはアメリカよりも多く支出している訳ではない。だがその税負担のせいで、フランスの一人あたり所得はアメリカより130万円以上少ない。

・スウェーデンの一人あたり政府支出はアメリカよりわずか12.6%多いに過ぎない。だがスウェーデンの所得はアメリカより100万円以上少ない。

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