Peter Suderman
ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載された新しい研究はメディケイドの拡大が肉体上の健康状態を有意に改善させなかったことを発見した。これは保険加入の半分以上をメディケイドに頼っているオバマケアにとっては間違いなく悪いニュースだ。オバマケアの支持者らは、サンプルサイズが小さいからその研究は無効だと主張している。だがメディケイドに遥かに友好的に見えたこの研究の最初の1年目の結果が公開された時はそのように報道されたことも解釈されたこともなかった。2011の6月に最初の第一ラウンドの結果に関して書いていた多くの人たちはその研究の設計の見事さ、その結論の間違いなさなどを絶賛していた。
例えば、Kaiser Health Newsに宛てた記事でNew RepublicのJonathan Cohnはその研究の設計を「他のものとは比べられないほど有益なものにしている」と断言している。左寄りのCentury Foundationはその研究の「発見は反論不可能なもの、論破不可能なもの、絶対的なもの」と声明を出している。Incidental EconomistのAaron Carrollはその研究の厳密性を強調している。「これが無作為化比較対照試験であるということを何度でも何度でも強調したい」と書き、「RCTは因果関係を証明するのに本当に最良の方法だ」と語った。そしてそれがRCTだったので、彼は「私たちは因果関係を語り始めることさえ出来るようになった」と結論した。Ezra Kleinは以下のような見出しでそれを絶賛した。「驚くべき事実!科学が公的医療保険が機能することを証明した」(言うまでもなく、彼は皮肉のつもりでこのタイトルをつけている)。彼はどうしてRCTがそれ程価値が高いのかを説明していた。「研究のゴールドスタンダードは誰が治療を受け誰が受けなかったのかをランダムに選ぶものだ。そのように選ぶことにより、その結果がその2つのグループの違いによって歪められたものではないということを知ることが出来る」と書いている。
そして時間が経った現在、彼らにとって物事はすべてが不明瞭になったようだ。「オレゴンの研究の問題点は」、とKleinは今日の朝に書き記し、「この結果から何を学んでいるのか私たちには分かっていないことにあるのだ」と語った。最初の結果が公表された時には、因果関係を語る準備が出来たはずのCarrollは今では皆に警戒を呼び掛けている。「魂を奪われたかのようなリベラル派の同志たちへ。これは単なる一つの証拠に過ぎない。これは、メディケイドに加入した人々の間で幾つかのことが改善したことを示した。他のことでは、変化は有意ではなかった。それは何の効果もなかったと同じではない。さらに他のことでは、判決はまだ出ていない」と語っている。
今がまさにその時だ。だが私たちはその手の結果を見ることはなかった。彼らたちが必要だと言っていたまさにその厳密さで。客観的な健康状態の指標は確かに少しの改善を見せた。だが有意ではなかった。メディケイドが因果だと言うにはとてもではないが十分ではなかった。何もなかったと言っているのではない。潜在的には興味深くさえある。だがそれは決定的な証拠からはかけ離れているし、メディケイドが客観的な健康状態に観察できる違いを生み出すことが出来るのかと疑いを抱く強い理由にさえなる。
左派の一部はまだ勝利を主張しているが、少し考えただけでも彼らの主張が危機に陥っていることが分かる。
うつ病が減少したという結果は奇妙なものだ。うつ病の治療薬の使用が増加していないのもその一因だ。うつ病の減少という結果は今回オレゴン州のメディケイドに加入することになった人が抽選で選ばれたという事実にかなりの部分起因するものかもしれない。私たちも知っているように、抽選に選ばれたら嬉しいと感じるものだろう?
サンプルサイズが小さくて客観的指標が改善していたとしても有意かどうか検出できないという主張に対しては、百歩譲って改善がメディケイドのおかげだと仮定しても、それはメディケイドの膨大な費用に見合うものだろうか?現在、メディケイドは連邦政府だけで毎年25兆円の費用が掛かっている。その数字は次の10年で57兆円を超える見通しだ。それには各州の費用が含まれていない。その費用に対して、受給者が健康になったかどうかは良くても極めて不明だ。
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